2006年5月アーカイブ

年間ゲーム大賞ノミネート分析

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ボードゲームのアワードとして世界で最も影響力のあるドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)のノミネートが、予告通り28日に発表された。私の予想はほぼ全敗。11の予想のうち、ノミネート入りが郵便馬車のみ、それは俺のサカナだぜが推薦リスト、ケイラスが特別賞。ノミネート+推薦リスト+特別賞の16タイトル中、プレイ済みも6タイトルに留まっている。


例年以上に多くの作品がノーマークだったことは、ノミネート5タイトル中、現時点で一般発売されているのが郵便馬車のみだったこと*1ドイツの大賞予想トトで票が集まらないゲームが選ばれたことからも分かる*2


ノーマークだった原因は、今回ノミネートや推薦リストに多くのゲームを出したメーカーが、リリース情報を事前に流していなかったことが大きい。アミーゴとファランクスを除き、コスモス(ノミネート2、推薦リスト1)、クイーンゲームズ(ノミネート2、推薦リスト2)、ラベンスバーガー(推薦1)など、ゲームの内容が明らかになったのはエッセンやニュルンベルクの事後である。もっとも、コスモスはエラズント、クイーンゲームズは将軍、ラベンスバーガーはセルティカなど看板ゲームがこけて、3番手、4番手くらいが選ばれているので、メーカーが一番驚いているのかもしれない。


さて、どの作品が栄えある大賞に輝くだろうか。シュピールボックスのフォーラムでは今、盛んに議論されている(ドイツ人、好きだなぁ?)。ノミネート作品の中では小箱の海の盗賊に驚きの声が大きい。このことは、大賞予想トトで予想していた人が1人もいなかったということからも分かる。納得できないという声が聞かれるのがジャスト4ファンローマ水道。フリークとしては、郵便馬車がダントツに期待されており、それが無理ならブルームーンシティにということのようだ。その一方で、子どもも一緒に遊べる家族ゲームならば郵便馬車はありえないのでは?という声もあることにはある。


ノミネート5タイトルの対象年令は8才からか10才から、プレイ人数もだいたい2?4人と大差ない。プレイ時間で2タイトルが30分程度、残りが60分程度と二分される。難易度は1が海の盗賊ジャスト4ファン(この2作品がプレイ時間30分程度)、難易度2がローマ水道郵便馬車、難易度3がブルームーンシティ。この難易度評価は、大賞を予想する上で重要な手掛かりとなる。


かつてからノミネート作品は、大賞受賞はまずあり得ないようなジャンル(2人用やアブストラクト)からも選んでバランスを取ってきたが、それは5タイトルのノミネートになってからも続いているように思われる。今回で言うと、初心者的な位置づけ(難易度1)の海の盗賊、アブストラクト系のジャスト4ファン、フリーク寄り(難易度3)のブルームーンシティは受賞可能性が低いだろう*3。とすると残りはローマ水道郵便馬車ということになる。


ここで、フリークに熱狂的に支持されるゲームは大賞を受賞しにくいという法則がある。一昨年のサンクトペテルブルクがそうであり、4年前のプエルトリコがそうだ。これらの作品は、ドイツゲーム賞で1位を獲得している。郵便馬車の作者は奇しくもプエルトリコと同じザイファルト。難易度2とはされているがフリーク向けという声もあり、残念ながら消えてしまいそうだ。郵便馬車が受賞するとすれば、1990年代後半のフリーク路線回帰を審査員が打ち出すことになるだろうが、一般層を広げるという昨今の方針から考えても、その可能性は薄いといわざるを得ない。


となると、残るのがローマ水道だ。難易度は中庸、フリークからもさほど目を付けられていない*4。今までの傾向を見ると、これが一番可能性が高いのではないか。受賞すれば、クイーンゲームズは2003年のアルハンブラ以来、2年ぶり2回目の受賞となる。発表は7月17日。




*1メビウス頒布会ではローマ水道が3月に発売され、今月末にブルームーンシティジャスト4ファンが発売される予定となっている。あとは海の盗賊を残すのみ。すごいヒット率だ。


*2:この予想の参加者はフリーク層だが、自分の好みではなくあくまで審査員が何を選びそうかという主旨で行われている。その予想の中ではマウアーバウアーラムと名誉クレオパトラと建築士魔法の掃除機ハチエンダが上位ながら推薦リストにも入らなかった。


*3:これによってまたもや、クニツィアの無冠の帝王伝説がささやかれることになるだろう。


*4H@LL9000の評価は中の上くらい、ギークでも6.6、play:gameの評価平均は6.2という良くも悪くもない評価がついている。


『ゲーム的人生論』

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おそらく日本で最も名前の知られたゲームデザイナー、鈴木銀一郎氏が1996年に同タイトルで出版した半生記を加筆したもの。実家の履物商からバーテンダーを経て編集者に至る鈴木氏の職歴と、将棋→囲碁→麻雀→SLG→コンピュータ→TRPGに至るゲーム歴をたどりながら、ひたむきにゲームに向き合う氏の人生観を知ることができる。


ボードゲームではディプロマシーが触れられているだけだが、少女野球チームの監督を願われて勝利に導いた「ラムネの味」、母の死をじかに見て死が怖いものではなくなったという「人生はロールプレイング」、風潮に囚われず物事を考え抜く哲学がゲームに必要であることをを説く「DNAと哲学」など、小説家でもある氏の名文にすっかり引き込まれた。


競馬マフィア企業買収ゲームなど鈴木氏の作品を遊んでも、当然のことながら氏がどういう人物かを知ることはできない。何となくクニツィアの影響があるのだろうかと思う程度である。ヒゲを伸ばした、風変わりなお爺ちゃんというぐらいしか知らなかったが、この本を読んで鈴木氏が真のゲームバカ(最上の賛辞のつもりで)であることが分かった。


例えば氏は囲碁五段、将棋三段くらいの腕前だというが、その上達方法は何段という目標を定めて、手筋辞典や詰将棋を延々何百問も解くのである。麻雀では、徹夜して二三時間眠ってまた徹夜とかいう無茶を続けた。ノルマンディー上陸作戦をもとにした自作SLGでは、テストプレイで1ゲーム40時間。テレビゲームは月200時間ということもあったという。


家族もちとは思えないこういう努力と時間のことを氏はSLGばりに「投入量」と呼ぶが、尋常じゃない。もうここまで来ると効率がいいのか?いう疑問も吹っ飛んでしまい、その迫力にただ圧倒される。毎朝4時か5時に飛び起きて制作を始めるというクニツィアもそうだが、ゲームデザイナーたるもの、これぐらい人生をゲームに割かなければ大成しないのかもしれない。


氏はどちらかというと不器用な生き方をしているし、ゲームデザインの方法も虱潰し風でスマートではない。しかし謙虚でひた向きな姿勢は、時として器用貧乏を凌駕する大きな力になる。1%のひらめきと、99%の努力。思い付きでチョチョイのチョイと作られたような作品はオシャレかもしれないが、長い目で見て次世代につながるゲームは、このような姿勢からしか生まれないのだろう。



ゲーム的人生論

ゲーム的人生論





ソロプレイ感

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ボードゲームのネガティブな評価として「ソロプレイ感(またはソリテア感)」というものある。インタラクション(プレイヤー間の相互干渉)が少なく、ゲーム中まるで一人でコンピュータゲームを遊んでいるかのような感覚になることをいう。


インタラクションというのは、システムとして競り、交渉、交換、協力、直接攻撃、数比べ、レース、ブラフなど。いずれもほかの人の動向を絶えず観察し、牽制し、ときに利用するもので、ボードゲームの楽しさの源泉となっている。


ボードゲームの大半は何らかのインタラクションをシステムとしてもっている。しかしこうしたシステムを用いない、あるいは用いたとしても勝敗にあまり影響しないというゲームが「ソロプレイ感」の強いゲームと言われる。直接攻撃・直接妨害がないゲームだけを指すのではないことはBunkeiさんが述べている(「ソロプレイ感とお仕事感と。」)。


最近ではクラウス・トイバーが脱カタンシリーズで発表した紀元1503(2003年)」、「カンダミール(2004年)などがそうで、インタラクションのなさがマイナス評価につながっている(特にカンダミール。例えばH@LL9000の評価を参照)。


サンファン(2004年)」もプレイヤーの行動がほかの人にあまり影響しないという意味でソロプレイ感を感じた人もいるようだが、その元になったボードゲームプエルトリコ(2002年)から見て相対的にということだろう。評価自体は低くなかった。


また変わったところではウボンゴ(2005年)がある。一斉にパズルの早解きを競うこのゲームはインタラクションが薄いけれども、短期決戦のためかこれも評価は悪くない。


こうしたゲームを遊ぶとき、ソロプレイ感を緩和できればもっと楽しさを引き出せるはずだ。


まず考えられるのは、ソロプレイ自体を楽しむということである。ゲーム中は誰からも干渉されない自分だけの世界を大事にする箱庭療法のような楽しみ方だ。あるいは脇目もふらず全力を尽くして疾走するウボンゴ的な楽しみ方(新作郵便馬車(2006年)もそういう面白さがある)。結果はふたを開けてのお楽しみとしてゲーム中はあまり気にしない。あまり干渉を好まない内向性のある人にとっては、直接攻撃のすさみ系ゲームよりは、これ自体でずっと楽しめるだろう。


しかしそうでもない、人が集まるからには人をこそ楽しみたいという人には、そのゲームのより深いところにインタラクションを隠れていないか探すことを勧める。数多くの新作がどんどん発売される今日、多少面白くても1度遊んでそのままというゲームは多い。しかし何度か遊んでみると1度目には気がつかなかったゲームの機微に気づくこともあるのだ。


クレオパトラと建築士もどちらかというとインタラクションが薄いが、ほかのプレイヤーの非公開情報(お金と汚職チップ)を読み、それを自分の行動に反映させると考えれば決してソロプレイ感はない。


さらに、ノリのいいプレイヤーならば、システムとは関係なく、会話レベルでインタラクションをするという楽しみ方もあるだろう。ゲームの登場人物になりきってRPG風にしたり、ボケとツッコミ、ダジャレなどを交えてお笑い風にしたりすれば、世の中に面白くないゲームなんてない。


もっとも、ゲームに合わせて性格や遊び方を変えられるほど器用な人はあまりいないから、現実には、内向的な人、システムの深みを研究したい人、ノリのいい人と遊ぶならば、インタラクションの弱いゲームを出してもよいということになるだろう。ここでの結論はソロプレイ感を感じたらインタラクションの要素をもっと探そう、会話でつなごうということにしておく。


お仕事感

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この頃あちこちで「お仕事」という言葉を聞く。ボードゲームでは「やりたくないのに、状況的にトップのプレイヤーを妨害しなければならない一手」を指すようだ。「お」という文字が付くことで、自己犠牲による妨害という両者にとって悲惨な状況を巧妙に包み隠している*1


例えばこのまま何もしないと次の手番で1位が上がってしまうというようなシチュエーション。不慣れな人が目先の利益に走ろうとしたとき、「お仕事しなきゃあ!」の声が上がる。


ゲーム慣れした人から見れば、全体の順位関係を見ないでつまらない一手を打ち、そのままゲームが終了してしまうというのは耐えられないのかもしれない。その気持ちは分かるが、言ってしまうのは「おせっかい」という問題になる(TGWコラム「困るんです」よりおせっかい参照)。これは別の問題なので、今回は考慮しない。


しかしこれとは別に、同じシチュエーションで自分が止めなければいけないことに自分から気づく場合はどうか。しかもその手は自分に利するものでは全くない。これが終盤延々と繰り返されてぐだぐだになったりすると、「このゲームはお仕事感がある」といってゲームの評価を下げることになる。クラマーによるよいゲームの定義によると、直接的には「キングメーカー効果がないこと」の欠損、間接的には「最後まで全員に勝つチャンスがある」「ゲーム終了までに緊張感が持続する」という2要素の欠損ということになろう。


しかしこの問題は果たしてゲーム・システムの非に一方的に帰せられるものなのだろうか。Bunkeiさんはこうした「お仕事」が、「場の雰囲気に強制されて」「納得して自分の手を選べ」ないものと捉えている(「ソロプレイ感とお仕事感と。」)。たとえそれがシステム的に要請された一手であっても、その手にどれぐらい主体性があるか、自由に好きな手を選べているかはプレイヤーの側の問題なのだ。


プレイヤーの主体性というのは、そのプレイヤーにとってのゲームの目的によって中身が異なる。勝つことを主目的とする所謂トーナメントプレイ寄りならば、「お仕事」をしてゲームを延長させ、その間に少しでも自分の順位が上がる努力をすることになるだろう。その一手はあくまで戦略的な一手であり、「お仕事感」はあるまい。


一方楽しむことを主目的とする所謂カジュアルプレイならば、ウケを取れる一手を狙うか*2、もうこのまま盛り上がりそうにないならば「うっかり」妨害を忘れてゲームを終了させてしまうという手もある。これまた「お仕事感」がなさそうだ(「うっかり」忘れたプレイヤーを、いくら勝ちたいからと言ってほかの人が非難するべきではないことは、hardline1971さんも述べている(「理由のないことは悪くない」)。


こうしてみると「お仕事感」は、プレイヤーが目的意識をもって主体的にゲームに参加することで、同じ手を打っていてもだいぶ緩和されるのではないかという期待される。またそのためには、明言的であれ暗黙であれ、お仕事を強制しないようにほかの人も協力することが前提になる。すなわち、参加者同士が、お互いの目的やプレイスタイルを尊重しあうということが望ましい。「仲良く喧嘩しましょう」「積極的に遊びましょう」というありきたりな結論だが、実際のプレイ中に意識しておきたいことではある。




*1:似ている言葉に「作業感」というのがあるが、こちらは妨害というよりも、手番の手続きが無駄に煩雑な場合に用いられるようだ。


*2:こういうサディスティックな楽しみも、ゲームの魅力だと思う。


スコットランドヤード・ゲーム

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『スコットランドヤード・ゲーム』



  • 野島伸司著

  • 小学館

  • ISBN:409386165X

  • 1,470円

  • 6月2日発売予定


……新刊小説らしい。どんな話か分からないし、野島伸司を読んだこともないけれどももしやあのボードゲームと関係があるのかなと思ってチェック。(小学館新刊情報


カタン日本予選

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ドイツ世界大会の出場権をかけた日本大会の国内予選が7月23日(日)、仙台、新潟、東京、神奈川、名古屋、大阪、広島、福岡の全国8ヶ所で同日開催。応募はカタン公式サイトで近日公開される応募フォーム、または協力各店まで。会場の詳細や募集方法はこちらから。

 みんなー!エッセンに行きたいかー?!オー!!

Catan Championship

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The Japan The Settlers of Catan Championship has been held for four years, but in this year qualifying
rounds will open for the first time on 23. July in seven cities, namely
Sendai, Niigata, Tokyo, Kanagawa, Nagoya, Osaka, Hiroshima and Fukuoka.
Applications will be announced soon.

(Source: Catan Official Site) -ono

郵便馬車ルール変更

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ハンス社はホームページで郵便馬車(Thurn und Taxis / ザイファルト作)の第二版からのルール変更を発表した。変更点は「バイエルン外」のボーナスが「全国」になるというもの。これまではバイエルン以外の全エリアで最低1件ずつ家を建てればこのボーナスを得られたが、今度はそれがバイエルンを含む全エリアになる。


ハンス社では全製品にアンケート葉書を同封しているが、そのフィードバックでこの「バイエルン外」ボーナスに関する問い合わせが最も多く、ルール変更に踏み切ったという。カルカソンヌの草原ルール変更と同じ経緯だ。


実際、全エリアを踏破しながらバイエルンにはまだ入っていないというケースは稀なので、大きな変更点ではないという。遊びやすくするための変更ではあるが、当分は遊ぶ前に確認が必要になるだろう。


カリフォルニア拡張

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アバクスシュピーレは「カリフォルニア(California / M.シャハト作)」の拡張カードの無料配布を告示し、ホームページにて受付している。リンク先にあるメールアドレスに、名前と住所を送ると、拡張のポストカードが送られてくる。以前、ハンザ(Hansa / M.シャハト作)で行ったキャンペーン(これが配布された)と同じものだ。


応募者全員にポストカードが発送されるが、その中から抽選でゲームも当たるという。締め切りは5月22日(月)。日本時間でいえば火曜のお昼ころまでは大丈夫そう。気づいたのが今日で、もう1日しかないが応募してみてはいかが?


カリフォルニアの拡張は、作者シャハトのホームページで「ボーナスカード」というのが公開されている。「ほかの人に先に取られたボーナスカードと同じ組み合わせを後から作ると、このボーナスカードをもらって1点になる。ただし1枚しかないので早い者勝ち」というルール。


アバクスシュピーレが配布する拡張カードがこの「ボーナスカード」である可能性は高いが、印刷して切り取る手間を考えれば無料でもらっておくのは悪くないだろう。


このようなアフターケアは、それなりにゲームが売れているからこそできるのだろうが、先日の「ドラゴンライダー」と同様、売りっぱなしにしないドイツメーカーの職人魂が感じられて、好感がもてる。


『ゲームを斬る』

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グループSNE代表でRPG界の重鎮、安田均氏の新著。氏にはファンタジー、RPG関係で多数の著書があるが、ボードゲーム関係も扱ったものとしては『ボードゲーム大好き!』(幻冬社)に続いて2冊目。


内容はソニーマガジンズ『月刊AX』連載「安田均のゲームバトルロイヤル」(2000.5-2001.3)、ウェブ連載「安田均のゲームバトルロイヤルII」(2001.3-2003.1)、『RPGamer』連載(2003春-2005秋)、『ロール&ロール』連載(2003.6-2005.8)の計49本を再録し、7ページのまえがきと4ページのあとがきを加筆したもの。


ドイツゲームの紹介だった前回とは異なり、21世紀のアナログゲーム事情をボードゲームにRPG、TCGも加えて幅広く書き綴っている。ボードゲームの素材を使ってRPGを遊んでしまう方法(第二部ROUND1#1-3)とRPGの新しい様相(第二部ROUND2#1-7)は「d20システム」などRPGの知識が前提となって敷居が高いが、ボードゲームのレビュー(第一部)は面白さが十分伝わってきてとても遊びたくなった。


「アクワイア」の現代のM&Aを先取りしているとする点や、「電力会社」の鉄道ゲームとの比較、「カヤナック」の夜店感覚など、凡庸でないゲームの切り口にも感心。古い鉄道ゲームから、「キャッシュフロー101」まで、普通の人がなかなか遊べないゲームの紹介も興味深い。評論としてはドイツゲームを「閉鎖系」、アメリカゲームを「開放系」として分析した「キャメロットの影」(第二部ROUND2#13)が秀逸。


だが後半になると、連載元の雑誌の性格だから致し方ないのかもしれないが、ボードゲームがRPGのオマケとして扱われているように感じた。これはおそらく氏のボードゲーム史観にもよるのではないかと思われる。


氏は2001年に「アフリカ」「ニューエントデッカー」などをNDSG(ノンデジタル・ストラテジーゲーム)としてエポック社よりプロデュースし、この時期に『ボードゲーム大好き!』や『アクアステップアップ』で集中的にドイツのボードゲームを紹介していたが、本書でも「ドイツゲームは(内容が)ちょっぴりバブル気味」「最近はドイツゲームもマンネリ気味」とある通り、2003年、2004年はドイツのボードゲームを見限ってRPGに戻った感があった。


それが、「マンチキン」「丘の上の裏切り者の館」「ルーンバウンド」など、RPGとボードゲームを融合したようなゲームに刺激を受けて、再び(今度はアメリカの)ボードゲームに目を向け始めたと見られる。最後は「キャメロットの影」で締めくくられ、ドイツゲームへの回帰はもはやない。本書は連載が時系列に並べられ、氏の関心の変遷を見て取ることができる。


アメリカのボードゲームをドイツが発展させ、そのドイツがネタ切れになって、再びアメリカがその次の段階を担う――この一本線が氏のボードゲーム史観のようだ。


確かに2003年の大賞「アルハンブラ」、2004年の大賞「乗車券」は今ひとつ新味に欠けたかもしれない。しかしこの間にも「コロレット」、「サンクトペテルブルグ」、「頭脳絶好調」などのドイツゲームらしい、しかもオリジナリティあふれる新作はコンスタントに出ており、ドイツゲームが凋落したとは思われない。


ドイツゲームの幹はまだまだ細っておらず、ドイツゲームの幹から伸びたアメリカ、フランス、イタリア、そして日本の枝が徐々に花を咲かせつつあるという状況ではないかと私は見ている。


RPG風ボードゲームもその数は少ない。ボードゲームの主流はまだ陣取り系だし、だからといって同工異曲というわけでもない。ドイツゲームを雛形としてアメリカにはアメリカ流のRPG・TCGなどと融合した発展が、イタリアにはパーティゲーム方向への発展が、フランスには折衷的な発展がある(日本はまだ模倣の段階だが、その中から日本的な変容も芽生え始めている)。


つまり、ボードゲームの根幹部分がアメリカに移行したのではなくて、ドイツゲームのグローバリゼーションと、その後に続く各国でのローカリゼーションが起こっていると捉えればよいのではないだろうか(このことは、安田氏も「エヴォ」レビューの追記で触れている)。


もっとも私の見方にも反論の余地はある。現代ボードゲームがこれだけ国際化した現在、もともとボードゲームの本流がどの国にあったのかというような議論がすでに意味をなさなくなっているのかもしれない。


それでもアナログゲーム評論という、本書の試みをさらに本格的にしていくための道具立てとして、多角的な視点から大いに議論されるのが望ましい。その意味で数々のヒントと問いかけを投げかける本書はその端緒となるものだと思う。



ゲームを斬る!

ゲームを斬る!





ドイツ年間ゲーム大賞予想

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ドイツ年間ゲーム大賞(SdJ)のノミネート発表と推薦リスト発表が5月28日に行われる。5タイトルだけのノミネートになって3年目、今年もどんなゲームが発表されるか楽しみだ。


昨年(ナイアガラ、ヒマラヤ、80日間世界一周、ジャンボ、勝利への道)、一昨年(乗車券、墓場の吸血鬼、頭脳絶好調、マハラジャ、サンクトペテルブルグ)の傾向を見ると、本命となるファミリー向け(プレイ時間60分クラス)、フリーク向け、ギミックもの、アブストラクトまたは2人用をほどよく織り交ぜているようだ。


小箱のカードゲームは入っていない。前から言われていたことだが、SdJは「年間ボードゲーム大賞」なのである。単価が高くないとロゴライセンス収入が上がらないという噂もある。『フェアプレイ』誌のアラカルト・カードゲーム賞はこうした態度へのアンチテーゼなのだろう。今年は「フェットナップ」「ディアボロ」などのカードゲームがよかったが、これが入る望みは薄い。


メーカーではコスモス3回(80日間世界一周、ジャンボ、頭脳絶好調)とツォッホ2回(ナイアガラ、墓場の吸血鬼)、デザイナーはクラマー2回(勝利への道、マハラジャ)となっているが、そのあたりの配慮はあまり感じられない。せいぜいあまりマイナーなメーカーからは入らないというくらい。デイズ・オブ・ワンダーの「乗車券」が受賞したことで、外国メーカーは受賞しづらいということもなくなった。


リメイク、ボード・カードの焼き直しも「アルハンブラ」の受賞であまり問題にならなくなっている。


このような傾向から、今年のノミネートを予想してみた。大賞の予想は郵便馬車。ドイツゲーム賞を受賞する可能性もあり、フリーク色が強いが乗車券がありならこれもありだろう。



  • ファミリー向け:★郵便馬車

  • フリーク向け:ハチエンダ

  • ギミックもの:クレオパトラと建築士組合 魔法の掃除機

  • アブストラクト:オイそれはオレの魚だぜ


推薦リストにラムと名誉、ケイラス、セルティカ、アクアダクト、王の請願、ピュンクトあたりと見る。さて結果やいかに?


追記;Boardgame NewsのR.トロンキスト氏も23日に大賞の予想を発表した。「必ずしも私のお気に入りではない。審査員が好みそうなもの。」郵便馬車、魔法使いの夜、キャメロットを覆う影、メソポタミア、エラズント、アクアダクト、オルトレマーレ、ブルームーンシティの8つ。アウグスブルク1520とクレオパトラは発売時期が遅れたため入らず、乗車券メルクリンは乗車券が大賞だったからもうありえず、ハチエンダは郵便馬車の影に隠れる。魔法の掃除機も可能性小。ケイラスはプエルトリコと同様大賞は取れないとする。


私もかなり重めのゲームをあげているが、あっちはそれ以上だ。フリークには大賞の審査員など務まらないということか。


ドラゴンライダー滑り止め

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アミーゴから昨秋発売されたドラゴンライダー(Drachenreiter)は、厳密にコマの距離を測らなければいけないのにコマがすべってずれやすいという致命的な欠陥を抱え、H@LL9000の2005年を振り返ってアンケートで失敗作ゲーム1位、発売半年で早くも消えそうになっている。


その声を聞きつけたのか、アミーゴ社では滑り止めの無料配布を始めた。不良部品や欠品の申込と同様に専用のフォームから「滑り止め(Antirutsch-Klebefolie)」を注文する。送料も無料(国外まで本当に無料なのかは確かめてみないと分からない)。


自分でコマのかたちに切り抜いて貼り付ける。もしかしたらホームセンターなどで似たようなものが売っているだろうから、これにヒントを得て自分で買ってきてしまうのもよい。1回やってつまらなかったゲーム(特に5,000円以上もするボードゲーム)をそのままにしておくのはもったいない。


売りっぱなしにしないアミーゴ社のこうした対応には好感がもてる。発売前に分かっていれば滑り止めを同梱でき、評価ももっと上がったのだろうが、これもゲーム開発期間の短縮による弊害だろうか。


チャイナ・国境戦争

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ゲームボードはこちらからダウンロード。


[ストーリー]中国では政情不安が高まっています。国王たちが国境を守ることはどんどん少なくなっています。国境の都市をめぐる激しい戦いが始まります。


[ルール]以下の変更点を除き、「チャイナ」の通常ルールが適用されます。



  • 3?5人で遊ぶことができます。

  • 要塞は使いません。

  • 国境の街のマスが6つあります(円で囲まれています)。ここに家を建てると、隣接する両方の街で得点計算に数えます。

  • 国境の街に家を建てるには、以下の2つの組み合わせのいずれかを出さなければなりません。

    • 隣接する両方の地域について、対応するカードを1枚ずつ出す

    • 隣接する地域のどちらか一方について、対応するカードを2枚出す



  • 配置のルールに背かない限り、1回の手番で国境の家と通常の家を置くことができます。つまり国境の家も、1つもコマが置かれていない地域にはまず1つだけしか置けないことになります。

  • それ以外は国境の家はコマの配置でも得点計算でも通常の家と同じように扱います。

  • イカリのマークが描かれた「港町」が7つあります。ゲーム終了時に港町が追加で得点計算されます。得点は家の計算と同じです。例えば港町の7つ全部にコマが置かれていて、Aさんがそのうち4つをもっていたら7点、2位の人は4点……というようにします。


(C)Michael Schacht / Spiele aus Timbuktu


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