「協同問題解決能力」と協力型ボードゲーム

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経済協力開発機構(OECD)が2015年に行った学習到達度調査(PISA)の結果が今月発表された。PISAは従来、読解力やリテラシーを調べており、その結果がさまざまなかたちで日本の教育行政に反映されている。今回のテーマは「協同問題解決能力調査」で、みんなで力を合わせて問題を解決できるかのスキルが調査された。参加した世界52カ国・地域の中で日本の平均点は2位(1位はシンガポール)。

朝日新聞:協力して問題解決する力、日本の15歳は2位 OECD

この調査は、問題解決能力を12に分け、それぞれを問う問題が出題された。これらは、協調的な問題解決能力として(1)共通理解の確立と維持、(2)問題を解決するために適切な措置を講じる、(3)チーム構成の確立と維持の3つと、個別の問題解決プロセスとして(A)探究と理解、(B)表現と系統作り、(C)計画と実行、(D)観察と反省の4つをかけ合わせたものである。

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Collaborative problem-solving skills for PISA 2015

こうして導き出される12のスキルは以下のようなものである。
(A1)チームメンバーの視点と能力を発見する
(A2)目標とともに、問題を解決するための共同作業の形式を発見する
(A3)問題解決のための役割を理解する
(B1)共有表現を構築し、問題の意味(共通点)を協議する
(B2)完成させるべきタスクを特定・記述する
(B3)役割とチーム構成を記述する(コミュニケーションの手順、取り決めのルールなど)
(C1)実行されるべき行動についてチームメンバーと相談する
(C2)計画を策定する
(C3)取り決めのルールに従う(他のチームメンバーにタスクの実行を促すなど)
(D1)共通理解を観察・修正する
(D2)行動の結果を観察し、問題が解決したか評価する
(D3)フィードバックを観察・提示し、チーム構成と役割を改変する

これらは協力ゲームでも実感することができる。お互いの性格や能力を理解し合った上で(A1)、どうやったらゲームに勝てるのかを相談し(A2)、そのために全体としてどのようなプレイングをすればよいのかを考える(A3)。その中で勝敗の鍵となるポイントを共有し(B1)、そのポイントをクリアするために必要な各自のタスクを導き出し(B2)、それをどう組み合わせていくか明らかにしておく(B3)。ゲームが始まった各自の手番の具体的内容を相談し(C1)、計画立てて(C2)、ルールに従って実行していく(C3)。そのうちに予期せぬ出来事があった場合はその都度方針を修正し(D1)、勝利に向かっているかをチェックする(D2)。ゲームが終わったら感想戦を行い、次回はもっとよい結果になるように手立てを整える(D3)。

協力ゲームと一口にいっても、『パンデミック』『花火』『マジックメイズ』『ザ・ゲーム』のようにプレイヤー全員で勝利を目指すものから、『スコットランドヤード』や『コードネーム』のようにチーム内で協力が求められるもの、さらには『脱出:ザ・ゲーム』や『アンロック』のように皆で相談して謎解きをするものまである。ゲームに応じて求められる協力のかたちは異なるとはいえ、この「協同問題解決能力」そのものが問われるといってもよいだろう。

さらには、「皆が楽しめること」ということを目的にすれば、ボードゲーム一般に敷衍することもできる。ほかのプレイヤーの経験や能力を加味してボードゲームを選び(A1)、分かりやすくインストして(A2)、一定の指針を理解しておく(A3)。ゲームの盛り上げ方を話し(B1)、そのための手番の行動を考え(B2)、ほかのプレイヤーとの思惑も織り込んでおく(B3)。ゲームが始まったら一体感を保ち(C1)、プレイの方向性を模索し(C2)、ルールに従って実行していく(C3)。必要に応じてゲームの進め方を変え(D1)、皆が楽しんでいるかを観察し(D2)、次回はもっと面白くなるように工夫する(D3)。

大人にとっても子どもにとっても、このようにして磨かれたスキルが現実社会の問題解決や娯楽で役に立つこともあるだろう。ボードゲームを何度も遊ぶうちに、実はこのような方法論が知らず知らずのうちに身についていくのである。普段遊んでいる間にでも、こんなことをちょっと意識してみるとボードゲームをまた違って視点で見ることができるかもしれない。

2017年11月

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