ドイツゲーム賞とは

ドイツゲーム賞ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)と訳語が似ていて混乱してしまいそうですが、ドイツで毎年恒例に発表され、注目されるもうひとつの賞がドイツゲーム賞(Deutscher Spiele Preis)です。

かつてドイツには『ペッペル・レビュー』というゲーム情報誌がありました。エッセン国際ゲーム祭やドイツゲーム賞を主催しているフリードヘルム・メルツ社が発行していた雑誌です。この雑誌では毎年読者アンケートなどでその年のベストゲームを選んでいました。これが「ゴールデン・ペッペル賞」です。この賞の選定にあたっては読者だけでなくさまざまなところから広く意見を集めていました。読者4割、サークル2割、ショップの店員2割、メディア関係者2割という内訳だったといいます。

やがて『ペッペル・レビュー』は休刊してしまいますが、一般から広く投票を集めて評価の高いゲームを選ぶというスタイルは継続され、1990年、第1回ドイツゲーム賞が設立されます。運営はフリードヘルム・メルツ社が継続し、主としてエッセン国際ゲーム祭の一環として、入場料・出展料収入から経費が賄われています。

投票は『ペッペルレビュー』に替わって『フェアプレイ』誌の読者アンケート、300以上のサークルへの投票依頼、ゲームショップでの投票募集、メディア関係者への投票依頼、そしてインターネット投票と幅広く行われます。メルツ社は前年に投票した人へは翌年、郵便で投票依頼を行うなど投票者拡充に努めており、有効投票数は2002年で1,840票、2003年に1,937票、2004年には2,341票と上昇を続けています。2001年からインターネット投票ができるようになって、ドイツ人以外の参加も容易になりました。

「ドイツ」ゲーム賞と銘打ってはいますが、投票者も対象ゲームもドイツ人・ドイツ製に限らず、グローバルなイベントにしたいと、フリードヘルム・メルツ社は述べています(実際にはほとんどドイツ人が投票するので、ドイツ外のメーカーでもドイツ語版を出していないと入賞は難しいようです)。

投票は一般ゲームとして面白いと思う順に5つまでと、子どもゲームとして1つを記入。インターネット投票では重複投票防止のため、名前と住所の記入が必須。7月末に締め切られ、専門の統計会社で集計されます。かつてはメルツ社が集計を行っていましたが、票数を操作した疑惑がスキャンダルとなり、正確と公平を期すために外注されることになりました。

集計では1位に挙げられたものを5点、2位が4点、3位3点、4位2点、5位1点として計算し、獲得ポイントに従って10位までを発表します。子どもゲームは1タイトルの記入なので最も多いもの。発表は9月中旬頃にインターネットにて発表され、授賞式は10月のエッセン国際ゲーム祭の前日に行われます。

まずエッセン国際ゲーム祭の前日の午後から、プレス会議が行われ、そこで1位受賞作品の一般ゲームと子どもゲームがパフォーマンスを行います。ここは年間ゲーム大賞に倣ったものかもしれません。そして夜、メディア関係者を集めた夕食会にて授賞セレモニーです。デザイナーやメーカーの社長が招かれ、インタビューを受けます。

投票は誰でもできるとはいえ、ゲームタイトルとメーカー名を記入しなければ投票できない方式ということもあり、頻繁にさまざまなゲームを遊んでいる目の肥えたフリークが多く投票することになります。その結果必然的に戦略性が高く、時間のかかる重いゲームに票が集まります。ですからドイツゲーム賞はその年のベスト・ゲーマーズ・ゲームと言うことができるでしょう。この点で一般への普及を念頭においてライトなゲームを選んでいる近年の年間ゲーム大賞とは一線を画することになります。2001年はカルカソンヌがダブル受賞しましたが、それ以降は袂を分かち、2002年は年間ゲーム大賞ヴィラ・パレッティに対してプエルトリコ、2003年はアルハンブラに対してアメン・ラー、2004年は乗車券に対してサンクトペテルブルグが選ばれています。

ウェブでは年間ゲーム大賞よりもドイツゲーム賞の結果を歓迎する声が多く聞かれますが、それはウェブもフリークが多く集まるところだからであって、実際の影響力は年間ゲーム大賞の方がはるかに大きいことは注意しておかなければなりません(ドイツゲーム賞を受賞しても売り上げが倍増することはまずありませんし、ロゴが箱に印刷されることも稀です)。

なお、ドイツゲーム賞には金の羽根賞という特別賞があります。模範ルール賞とも呼ばれ、例示が多く、カラフルで分かりやすいルールブックを評価して与えられる賞で、一般投票ではなく関係者が独自に選んでいます。アナログゲームの欠点である分かりにくさや間違えやすさをなくすため、ルールブックのデザインを工夫し進化させているドイツゲームの一端を物語るものと言えるでしょう。

年間ゲーム大賞がぬるい、ドイツゲーム賞の方が信頼がおけると思い始めたら、あなたもフリークの仲間に入ったという証拠です。今度は、インターネットで投票してみましょう。エッセン国際ゲーム祭のチケットが当たったら、エッセンに行きましょう。フリーク街道まっしぐらです。

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