ドイツゲームとは何か?

―ヴォルフガング=ディット氏の考察―

ドイツゲームはドイツ発のゲームでありません。多作のゲームデザイナー、R.クニツィアはイギリスに住んでいますし、ジャンボはオランダ、ピアトニクはオーストリアのゲームメーカーです。また、ゲームの舞台もドイツとは限りません。『エルグランデ』はスペインが舞台のゲームです。

ドイツゲームには特有の要素があると考えられます。代表的なドイツゲームを見ていきましょう。
 『カタンの開拓者』は対象年齢が12歳以上であり、その複雑さから年間ゲーム大賞は難しいと言われていましたたが、このゲームの受賞によりプレイ時間が長く、複雑でインタラクティブなゲームが増えることになりました。このゲームの特徴はマップの可変性、インタラクティブであること、運の要素、発展などにあります。
 『チグリス&ユーフラテス』は年間ゲーム大賞に並ぶドイツゲーム賞を獲得したゲームですが、カタンよりもより抽象的で時間も長くなっています。戦略的な要素も強いといえるでしょう。しかしルールを覚えれば早くプレイでき、とてもインタラクティブなゲームです。
 『王と枢機卿』は上記の2つに比べるとプレイ時間が短いのが特徴です。それでも戦略的でさまざまな勝ち方があるので、奥が深いゲームです。
 『トーレス』は2000年に年間ゲーム大賞を獲得しましたが、このゲームの最大の特徴は平面的なボードに3Dの要素を持ち込んだことでしょう。その他のプレイ時間、さまざまな戦略、インタラクティブ、スキルアップなどについては、従来のゲームで見られる要素です。

ドイツゲームの特徴として、9つの基準を考えました。

  1. 戦略:勝つためにさまざまな戦略がある。一方長い戦略構想よりも、臨機応変な対応が必要とされる
  2. ほどよい運の要素:カードをひく、ダイスをふるなどで状況が変わる。運は相応の確率によってコントロールされている
  3. インタラクティブ性:交渉、オークション、交換、対戦などで他プレイヤーと相互作用がある
  4. プレイ時間:60分から90分。プレイ人数によって変わる
  5. コンポーネント:木製などで立体感のある芸術的な部品。雰囲気満点のボード
  6. デザイナー:個人または2人で作られる。名前は箱・ルールブックなどに明記されている
  7. ルール:8〜12ページのルールブックはゲームの複雑さを表す
  8. テーマ:古代・中世の歴史的なテーマが多い
  9. シミュレーションではない:ドイツ史のために多くのゲームは戦争をシミュレートしない

さてこの基準で1998年の年間ゲーム大賞である『エルフェンランド』を見てみましょう。デザイナーであるアラン・R.ムーンはアメリカ人ですが、ゲームはドイツのメーカーであるアミーゴ社から出ました。

  1. 戦略は他プレイヤーの移動手段に対応していかなければならないので必要です
  2. 運の要素は移動手段のカードをひくときにあります
  3. インタラクティブであることは他のプレイヤーの移動手段を利用したり障害物を置いたりすることで起こります
  4. 時間は60分ほどです
  5. ドリス・マテウスの作品と木製のコマでたいへん美しいコンポーネントです
  6. デザイナーであるムーンの名前は箱に明記されています
  7. ルールは12ページあります
  8. テーマはファンタジー。この点だけがあてはまりません
  9. シミュレーションではありません

以上から『エルフェンランド』は、ドイツゲームの要素をほとんど備えたゲームだと言えます。この基準では『アクワイア』はアメリカ人の作品、アメリカのメーカーですが、ドイツゲームと言えるでしょう。一方、『6ニムト』『ブラフ』などはドイツ人の作品、ドイツのメーカーですがアメリカンスタイルのゲームです。

最後に新しいタイプのゲームとして『ラ・チッタ』を考察します。このゲームはプレイ時間が3人でプレイしても90分以上あり、また歴史的なテーマですが、内容はファンタジーです。シミュレーションもあり、80年代のアメリカゲームに近いと言うことができます。従来の枠組みにとらわれず、新しいアイデアのゲームを探る動きがゲームスタイルのボーダーレス化を促進しているのかもしれません。(ペッペル・キステ

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