梅花流詠讃歌の難所研究

このページは,梅花流詠讃歌の詠唱上の難所を記録し,よりエレガントなお唱えをするにはどうしたらよいかを考察するページです.

80数曲にのぼる梅花流詠讃歌はどの曲も奥が深く,これで完璧ということはまずないそうです.一説によると,納得して練習をやめてしまわないようにと,わざと難しくしているという話も聞きましたが,奥が深いというのは詠唱面だけでなく,歌詞や曲想の理解や自身の仏道修行といった唱える人の存在全体が問題となるからです.

そのため歌詞や指定された曲想の解説も不可欠となりますが,浅学の筆者にはまだそこまで考える余裕がありませんでしたので,ひとまず何曲かの詠唱上の難所を出し,どう唱えたらよいかというテクニック的な面だけを書くことにしました.

詠讃歌の中身を全く知らない方は,「こんな楽譜なんだ」ということだけでもご理解頂けたら幸いです(専門用語の説明は,長くなるので致しません).もし実際に詠讃歌を習っていらっしゃる方は,ぜひご意見やご感想を下さい.


1.大聖釈迦牟尼如来御詠歌(紫雲)

「南無大恩教主」の「な」です.2・1・1の最初のドにツヤが入り,ラに音頭アヤ,次のソにはいってすぐにヨコアタリ,しかも次の拍は2分の1しかないという譜で,わずか1拍半に3つの旋揺があるという難所です.所作としては空鉦もあります.
特にヨコアタリを上手くするコツとして教わったのは,直前のソを少し弱めに入れるということです.これでヨコアタリの上向音が出やすくなります.ドのツヤも前のラをしっかり張ってから少し抜き気味にすると上手く入るようです.


2.大本山永平寺第一番御詠歌(渓声)

「みなながら」の1番目の「な」です.3・1にイロが入る上に前の音から変わっているので時間が短く,次のラの音頭アヤとあいまってツヤと区別がつかなくなったり,音程が曖昧になったりしてしまうことが多くあります.またこの前には「み」が6拍もあり,息切れしてしまうという問題もあります.所作としては直後の打鉦の振り上げとこのイロが同時になるため,イロにかまけて打鉦が遅れないようにしなければなりません.
ここのイロについて教わったのは3種類の唱え方でした.まず,ラから完全にドに移行してからアタリを入れていく方法.時間がなくて忙しい感じになってしまいますが,音程は確実にとれます.もうひとつは,ドの頭からアタリを入れていく方法.「軽いアタリ2回と微妙なユリ」というイロが落ちついて表現できますが,移行時の音程が曖昧になりがちです.そして最後は,アタリを1回だけにしてしまう方法.これによってゆったりとした雰囲気を出すことができますが,基本形から逸脱するために聴いていて違和感を感じる方があるかもしれません.
音程が変わりしなに入るイロ・ツヤには音頭からアタリを入れる方法と最初はその音を出して4分の1拍後から入れる方法がありますが,正式にはどちらと決まっておらず頭を悩ませる問題です.特に,みんなでお唱えする時には統一する必要があるのではないかと思います(地蔵菩薩御和讃など).


3.盂蘭盆会御詠歌(迎火)

「さゆらぐは」の「ら」です.紫雲と同じように4分の1からすぐヨコアタリ,2分の1で休止ですが,ここではその前の4分の3のラに音尾アヤが入り,結果として甲(上向)のアタリが2連続します.またソの音頭アヤはなくなるので気をつけて唱えないとこの譜になりません.ラが短調で,次のソと半音しかないところも難しいです.
ここは2つの甲アタリの間隔をいかに縮められるかにかかっています.この中間のソはほんとに瞬間的なものです.縮めるにはひたすら練習をしてのどが回るようにするしかないと思います.


4.追善供養御詠歌(妙鐘)

「み声なるらん」の「み」です.渓声と同様に音が変わってすぐ入るイロですが,このラが1拍あることで次のソまでが基本のアヤになるので,イロの後に音尾アヤを入れなければなりません.1拍後にはヨコアタリもついてきます.ちなみにイロの前のドは音尾アヤが入らないので注意が必要です.
ここのイロは,頭からアタリを入れると前音のドから落差が激しくなってしまうので,ラをいったん出してからアタリを入れた方がよさそうです(もちろん,頭から入れてもそれはそれでいいと思います).すると,音尾アヤまでとても時間がありません.拍速40という遅さを最大限生かして忙しい感じがしないように唱えたいものです.このフレーズは10拍ありますので,遅すぎると息が苦しくなってきます.


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