坐禅

『現代たばこ戦争』

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伊佐山芳郎著,岩波新書.この本はタバコを吸う吸わないに関わらずオススメである.
 欧米に比べ,日本はJTと大蔵省ががっちり手を組んでタバコを販売している.近年では未成年と女性にターゲットを移して販売量を増加させることに成功しているが,喫煙者はもちろんのこと,受動喫煙をさせられる周囲の人間の健康を害する問題が大きくなってきている.今や喫煙が健康に及ぼす影響は疫学的に証明されているが,日本ではJTと大蔵省の工作で十分にその危険性が認識されていない.今後は法的にはたらきかけていかなければならないだろう,という話.
印象に残ったのは以下の点.
●アメリカのたばこ会社の幹部がタバコについて「あんなものは吸わない」と言い,そのわけを
We just sell it. We reserve it to young,
poor, black, and stupid people.(我々はただ売るだけだ.若者や貧しい人,ブラック,そして馬鹿な奴に買わせるのだ)と答えた話.たばこ会社はタバコの危険性を十分に認識していながら販売したとして,近年裁判で24兆円という多額の賠償金を支払うことになっている.
●「タバコはハタチになってから」という広告は,背伸びしたい,大人になりたいという青少年の心理を巧みに便乗するタバコの宣伝であること.若年層を喫煙者にすれば一生のお得意様になる.これと同時にイメージ先行型のタバコCMを作成し,あこがれを鼓舞する.
●「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸い過ぎに注意しましょう」というフレーズは,ある程度までなら大丈夫という観念を抱かせ,しかもパッケージの側面に書かれているため注意を引かない.欧米では法によって表面に「喫煙はがん・心臓病・致命的病気を引き起こす」などの具体的なフレーズが書かれている.
●近年日本でもJTや大蔵省を相手取ってタバコ訴訟を起こすようになったが,まだ日本では自業自得という考えが多く,これからである.JTと大蔵省に踊らされてタバコを吸い始めニコチン中毒にさせられたという点で,また自分は吸っていないのに周囲の人間の喫煙で健康を害されたという点で自業自得ではない.
 最近,若い女の人で煙草を吸っているのが目立つ.広告もいかにも女の人向けだというのがわかるものがある.母親が喫煙者の場合,胎児が突然死したり奇形が生まれたりする確率が高くなるという話を聞くと,喫煙者の女性を母親として生まれてこなければならない子供がとてもかわいそうだし,自分自身の体を壊してしまう彼女たち自身もかわいそうでならない.
 筆者は弁護士という立場から今後の日本のタバコ行政を改めようと活動している.がんばってほしいものである.

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このページは、おの1999年9月19日 00:00に書いたブログ記事です。

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