第1回:2003年

 毎年10月,北ドイツの中都市エッセンでは「シュピール(Spiel)」という国際ボードゲームメッセが開かれる.世界中のボードゲームファンが4日間に14万人つめかけ,新作のボードゲームに興じるお祭だ.日本からも少なからず行っており,私も昨年初めて参加してその楽しさを堪能した.今年は10月23〜26日.インドではディワーリーという正月期間中で授業もない.ドイツへは,日本から行くよりも近いだろうとかなり真剣に検討していた.
 そんなところに,プネーで働いている企業駐在員,小島さんからお誘いがかかる.ディワーリーに,北インドの仏蹟を回る計画.これは大きな魅力であった.エッセンは遠いが,日本からでも割と行きやすい.しかし北インドというと,時間がかかる上に現地移動の交通手段が悪く,バスや電車を半日も待っているのではかなわない.小島さんが計画したプランでは,空港から車をチャーターして5日間,仏蹟の名所を効率よく回るというものだった.エッセンへの諦めはしばらくつかなかったが,何が大事かを自分によく言い聞かせ,お釈迦様の足跡を辿る旅へと出発した.

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