散策

バンダルカル東洋研究所 今日の午後からの授業は,講師が遠方からの移動でまだ到着していないという理由で休講.今日中に着けば明日は授業があるとのことだった.まことにインドらしい.
 そこで空いた時間に,前々から行こうと思っていたバンダルカル東洋研究所というところの図書館に行ってみる.大学から自転車で20分くらい.時刻は14時,35度という炎天下,排気ガスもうもうの中を行くのは途中で倒れそうになった.「こんなに遠かったっけ?道に迷ったかな…」と思ったとき,ちょうど門が見えてきた.
 ここの図書館は1日,1ヶ月,1年,死ぬまでと選んで利用料を払う.1年だと500ルピー(1250円).事務室でお金を払って領収書を見せると,ライブラリアンのおじさんが顔を覚えてくれてそれ以降は顔パスとなる(利用証などはなし).さすが記憶力の国,インドだ.日本人だというと,和田先生(名古屋大学),宮元先生(国学院大学),故阿部先生(前明治大学)など,これまでここを利用していた研究者の名前が次々に出てきた.阿部先生が先ごろお亡くなりになったのもライブラリアンのおじさんは知っていた.阿部先生はここにあるゲストハウスに長いこと住んでおり,マラーティー語が上手だったという.
 ここの図書館は完全閉架式で,本の名前と番号を言うとライブラリアンのおじさんが持ってくる.そのせいか本の状態はとてもよい.ただ,大学の図書館と比べて充実しているかというと,どっこいどっこいのようだ.大学の図書館になくて探していた本は,こちらにもなかった.もっとも写本などは充実しているから,今後じっくり探してみようと思う.
 貸し出しはさらに500ルピーのデポジットを収めなくてはならない.お金もなかったし,ひとまず今回は様子見なので借りないことにした.閲覧室はとても快適で,閉館時間の17時30分ぎりぎりまで過ごしてしまった.大学の図書室よりも明るくて目に優しい.近くにあったら毎日通うのだが.
チャトルシュリンギー寺院 帰りに大学のすぐ近くにあるチャトゥルシュリンギー寺院へ.山の上にあり,門のところで自転車を降りて階段を上っていく.真っ赤な顔をしたピカソの絵のようなご神体である.例によって靴を脱いで参拝,プラダクシナーといって参拝が終わったら左から時計回りにご神体の周りを一周する.これは日本でも神社のお参りや,仏教の法要などで行われているものと共通したやり方だ.
 参拝が終わるとさらにその上に階段があることに気づく.のぼってみると,プネー市内を一望できるとても見晴らしのよい広場があった.大学もすぐそばにあるはずと探してみると,何と目の前の森が大学であった.森の中からところどころ背の高い建物がちらちら見えている.大学の中にいても緑が多いとは思っていたが,これほどとは.時刻もちょうど夕暮れ時,景色と心地よい風が気持ちよい.また行ってみたい.
 帰りにお寺の前で物乞いの子供たちに会う.彼らは非常にみすぼらしい身なりをしており,何も言わずとんとんと叩いて呼びとめ,手を口に入れるジェスチャーをして,それから手を出す.余所では相手にしないことにしているが,お寺でもらった謎のお菓子を食べる気がしなかったのであげた.子供たちは大喜び.お寺にお参りした後は,よいことをしようという気持ちになるものだ.
 それから大学の前で自転車に空気をつめてもらって,ついでに油をさしてもらう.自転車は見違えるように軽くなった.こんなんだったら,散策前に自転車屋に寄るべきだった….

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