書店めぐり(2)

 プネー市内でサンスクリットの本を売っている本屋めぐりの2回目。
インドブックセンター Bharatiya Pustaka Kendra
[ゴーカレロード、サハラホテルから徒歩5分]
 このすごい名前とは裏腹に、ごく普通のアパートの一室で営まれている書店。店主のサプレ氏は昼間インド銀行に勤め、片手間にこの商売をやっている。だから訪問には予約が必要(020-5655278,smsapre@vsnl.com)。片手間で親の代からこの仕事をしており、インド中から希少本を見つけ出す人脈と、希少だからといって高くふっかけたりしない誠実な対応で、大学の教授たちや図書館とも取引がある。
 連絡をして道を聞き、行ってみて驚いた。本はサプレ氏の寝室に並んでいたのである。基本的に注文を受けて探すというスタイルなので在庫はあまりないものの、すでに絶版になった本が山積みになっているのを見た。教授たちが利用しているだけあって、在庫も学術性の高いものが多いような気がする。ただ、古い本は土ぼこりをかぶっていてあっという間に手が真っ黒になるのは勘弁。
 買い物が終わって奥さんがチャイを出してくれた。文字通りのアットホームさだ。サプレ氏は、休みというと各地に行って絶版本を探してくるという。欧米の図書館が高く買うのをいいことに、値を吊り上げる本屋がいることを「あれは犯罪行為だ」と言って嘆いていた。そして、近年コンピュータ製版で誤植だらけの本を出している出版業界にも、辟易している様子だった。
 いくつか絶版の本を頼んでみた。ジャー先生曰く、彼のお父さんは絶版本を探し出す名人だったというが、時代が移って出版状況も変わり、探し出すのは前と比べて難しくなったと言う。


  • インド哲学入門(S.C.チャテルジー&D.M.ダッタ、カルカッタ大学、1984年、75ルピー)
  • 推理の正当性―新正理学派のアプローチ(R.ゴーシュ、バーラティーヤ・ヴィディヤー出版、1990年、150ルピー)
  • バーマナ『詩文修辞学』―様式論と方法論からの研究(W.K.レーレ、マンサンマン、1999年、150ルピー)
  • 正理学派における神学の発展(J.ヴァッタンキー、インターカルチュアル出版、1993年、135ルピー)
  • サンスクリット・リーダー1〜3巻(R.S.ヴァディアル&サンズ、1997〜2001、46ルピー)
  • ダルマキールティの推理論―再評価と再構築―(R.プラサード、オクスフォード大学出版、2002年、565ルピー)
  • 対立主張(ガンゲーシャ、中央サンスクリット大学、1985年、28ルピー)
  • 擬似論証因の一般解説(ガンゲーシャ、、中央サンスクリット大学、1985年、15ルピー)
  • 別基体の十四定義(ガンゲーシャ、中央サンスクリット大学、1985年、23ルピー)
  • 定説の定義(ガンゲーシャ、中央サンスクリット大学、1985年、19ルピー)
  • 六大哲学集(ハリバドラ、アジアティック・ソサエティ、1986年、80ルピー)

アーナンダアーシュラマアーナンダ・アーシュラマ Ananda Ashrama
[ラクシュミーロードとバジラオロードの交差点から北上1分、N.M.V.高校左]
 サンスクリット・サーヒティヤ・ラトナーカラからも近いところにあるアーシュラムの図書館。
 人々が共同で生活する場である「アーシュラム」だが、ヴェーダやウパニシャッドを中心に良書を出版してきた。そのリプリント版の購入と、写本のコピーができる。これまで143タイトルが出版されているがそのうち現在購入できるリプリントは半数ぐらい。購入できなくても、1ページ3ルピー(アーシュラムだけに寄付として)でコピーしてもらえる。写本は10000タイトルが保管されており、これも1ページ3ルピーでコピーしてもらえる。商業としてやっていないせいか、本も安めでありがたい。

  • 全哲学集成(マーダヴァ、1921年初版、90ルピー)
  • 聖ガウタマ著『正理経』(ガウタマ、1907年初版、150ルピー)

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