映画(5)

ネパールの恋Love in Nepal(ネパールの恋)
ストーリー
 ムンバイの広告代理店で働くデザイナーのアビーはぐうたらで女好き。新しくやってきた女上司のマクシは時間も守らない上にしょっちゅう口説いてくる彼にいつも手を焼いていた。そんなとき、広告の撮影で一行はネパールに行くことになる。美しい自然が残っており、交通費も安く上がるという理由だった。
 アビーは夜にホテルで酔っ払って、ネパール旅行に同行していたサンディーを口説き、彼女の部屋に行く。そこで踊ってそのまま眠ってしまったが、朝起きると何と隣りでサンディーが死んでいた。警察の追っ手から逃げなければいけなくなるアビー。しかもマフィアが嗅ぎ付け、彼を脅してくる。マフィアの本部に行くが殺されそうになり、命からがら逃げ出した。こうして警察とマフィアの両方から追いかけられる破目になる。会社の同僚やネパール人ガイドが彼を助け、マクシと2人で幽霊屋敷にかくまわれる。
 屋敷まで追いかけてきたマフィアは幽霊を怖がっており、アビーはマクシと2人で幽霊の真似をして難を切り抜ける。そこにアビーを助けたネパール人ガイドがやってきたが、何と彼こそが殺人犯だった。サンディーに愛を告白したが取り合ってもらえず、かっとなって殺してしまったのである。
 ネパール人ガイドはサンディーを口説いた彼をなじりながら殺そうとするが間一髪、アビーは銃を取り上げてガイドを撃ち殺す。その後警察もやってきたが事件の真相は了解済みだった。
感想
 Love in 〜という映画はこれまでLove in Tokyo、Love in Goaが作られている。そのシリーズかと思っていったが、どうも違ったようだ。ポスターを見ると拳銃を持っているマフィアや、「第三次世界大戦勃発か?」という文句。明らかに甘い恋愛物語ではなかった。しかしバイオレンス映画かというとそうでもなく、途中の休憩直前にサンディーが遺体で見つかるまで物語は平和に進行した。
 休憩後はインド人が大好きらしい逃走シーン。そもそも自分が女たらしだったことが原因で起こった事件で、自分が渦中の人なのに、至って呑気なアビーのセリフに皆笑っていた。シリアスな場面にギャグを入れるのがこの映画の狙いなのかもしれない。
 筋はさておき、インド人が隣国のネパールをどういう眼で見ているか垣間見ることができたのが興味深い。ネパール人ガイドは殺人犯と分かるまでコミカルな役目だったが、同行していた代理店の男の役職が「マーケットマネージメント」と聞くと、「いいバザールありますよ」と言って笑わせる。ガイドが「顔がネパール人っぽい」と言うと、その男は鏡を見てえらく悩むシーンもある。ネパールのホテルのバーテンダーは蝶ネクタイなどしているがアビーが酒をがんがん飲むのを見て目をぱちくり。またマフィアの本部はアヘン窟になっていて気だるそうな若者たちがたむろしていた。こうしたシーンから分かるネパール人像は、田舎者、前近代的、無法者といったものだ。ネパール人が見たら怒るかもしれない。
 途中アビーのモンタージュが作られてしまうシーンがある。ホテルの従業員が前日酔っ払っていたアビーを見ており、スケッチの得意なアビーの女友達が頼まれて顔を描いているうちにそれがアビーであると気付く。そこでトイレから携帯でアビーに連絡を取るというところ。アビーが「中国人か、日本人に描き変えてくれ」というセリフ。インド人は笑っていたが、こちらはあまりいい気がしない。ヒンディー映画は本質的に娯楽映画であるがゆえに、外国人の貶め方はあからさまなのだ。
 事件が解決したところで踊って終幕となり、マクシとの恋も実ったのかよくわからない。セクシーなシーンも多いし、もしかしたら対象年令高めなのかも。これまで評判の高かった映画ばかり見てきたから分からなかったが、こういうのをB級映画というのかもしれない。

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