日本語を教える








イスラム教徒増加
(The Times of India 9/7)
2001年の国勢調査によると宗教別人口増加率(1991年比)はイスラム教徒が36%増でトップ(ほかも20%程度で急激な人口増加も背景)。ヒンドゥー教徒6人に対してイスラム教徒1人という割合になった。
識字率はジャイナ教徒が94.1%でダントツ1位、最低はイスラム教徒の59.1%(女性に限れば50.1%)。
男女比率はキリスト教徒だけが男性1000人に対して女性1009人と女性の方が多く、あとは女性900人代。シク教徒では男性1000人に女性893人しかいない。シク教徒が多いパンジャーブ地方などでの出生前性別診断と女の子と分かった場合の堕胎が原因とされる。
全体比0.63%の仏教徒、人口増加率は平均並みの24.5%、識字率は72.7%、男女比は男性1000人に対し女性953人。

アパートから先生の家までは舗装されていないところが多い。砕いた石が敷き詰められているが、それがゴツゴツしてタイヤを傷める。2,3日に1回は空気をつめなければならないほどだ。マウンテンバイク風だが、もともと古い自転車なので空気が抜けやすいのである。
中にはつめた数時間後に空気が抜けてしまうことがある。そういうときは栓を20円で交換してもらう。道端でテントを張って営業している自転車屋に頼んで、夜に引き取りに行ったらもう閉まっていた。しかたなく近くで夕食を取ってとぼとぼ歩いて帰ることにする。
夕食を食べている間、2人の女性がじっと私の方を見ている。顔立ちがマハーラシュトラっぽくないので、こちらも気になって見返していると、店主が「Are you japanese?」と訊いてきた。何でもその女性が話したいという。プネーでは日本語を勉強している人が多く、今まで何度か話しかけられたことがあったので驚かない。
彼女の名前はルパリ・カプールさん。ITベンチャー企業に務めている。大学で日本語を勉強し、会社からも日本へのビジネス要員として期待されているが、日本語を訓練する場がなくて困っていたという。いつも通っているネットカフェで私が日本語でメールを打っているのを見てチェックしていたという。家の近くだし、気分転換を求めていたこともあり、夕食をご馳走させてくれるという代わりに家庭教師を引き受けた。
まず必要なのが会話の練習。敬語と口語体にあふれた会話は、いくら文章を読めても苦労する。「かしこまりました」「承りました」などは外国人にしてみたら早口言葉のようなもので、実際使われているのか疑問に思うのも頷ける。それから「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」「ごめんください」「〜して頂けませんか」などの謙譲・婉曲表現も冗長でつらい。でもビジネスの場面では非常に大切だろう。
次は漢字。ビジネス関係のキーワードに絞って勉強しているが、これも苦労する。まずは会社の部署や役職を漢字で書けるようにするところから。「営業部」「総務部」「経理課」など。これはビジネスレターを日本語で書くのに必須となる。「そうむぶ 山下さま」などと平仮名にしたら小学生の作文みたいだ。
プネーの日本語熱はさらに増しているようで、大学で開講されているクラスの受講者もうなぎのぼり。今年は初年度受講者が1000人に達したという。残念ながらプネーには日本語学科を設置している大学がないため本格的に学びたい人はデリーに行かなければならないが、この調子ならば数年後、日本語学科ができているかもしれない(ことはそう簡単に運ばないようだが)。
さて、カプール一家はもともとパキスタンのラホール出身のヒンドゥー教徒。分離独立のときに、迫害を恐れて一族郎党みんなデリーに移住した。だからパキスタンに親戚はもういない。それからムンバイを経てプネーへ。現在お父さんはレストラン経営(「Are
you japanese?」と訊いてきた人である)、お母さんは昔バーレーンで新聞社に務めていたらしいが今は専業主婦。大学生の妹ナターシャも影響されて今年から日本語を習い始めている。元来のマハーラシュトリアンではないので、家ではパンジャーブ料理だったり、ガネーシャ祭は家でしなかったりする。
「パキスタンはイスラム政府だけど、インドはリベラルだからね。彼らはインドを憎んでいるよ」とお父さんが言うと、「インドこそ、パキスタンを憎んでいるじゃないの」と家族がつっこむ。やや語気を荒くして「それじゃあ、あのカルギル事件(パキスタンの民兵がカシミールに侵入して起こった紛争)はどうだっていうんだ?」「……」もとはパキスタン領出身だけに、インドとパキスタンに対する思いは交々のようだ。

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