アリ格闘記(お食事中の方注意)

7月に引っ越して初めに驚いたのがアリの多さだった。床の上、壁、流し台をゾロゾロ、ゾロゾロと列をなして歩いている。ほうきではいても効果なし。またどこからともなく出てくる。小さいアリだが数が多い。♪アリさんとアリさんがごっちんこなんて呑気な状態ではないのである。
いつも同じルートをたどるので、どこから出てくるのか調べてみると、玄関だったり、窓の下だったり、床や扉の隙間だったり。インテリアデザイナーの大家がインドらしくないフローリングをしたために、フローリングとコンクリートの床の間がアリの温床となってしまったようだ。
アリ退治・三種の神器大家に相談したら、「チャマトカール(奇跡)」という粉を教えてもらい、パラパラ撒くと、その辺のアリは縮れて死んでしまい一網打尽。はじめはアリの通るところにずっと撒いていたが、毒性が強そうなので今はアリが出てくる穴の周りや交通の要所に集中的に撒いている。
しかしこの粉が使えないところが2つある。1つはいつも勉強部屋になっている寝室、もう1つは壁だ。
寝室は1日の大半を過ごす部屋なので、毒の粉を撒いて吸い込んだりするのが心配。ましてやパソコンが置かれている机の上はなおさらイヤだ。しかしここにもアリは容赦なく現れる。はじめはノートパソコンが狙われた。どうも温かいのがいいらしい。キーボードの隙間から歩いている姿がちらちら見えたり、SDカード挿入口から大量に出てきたりするのをみて、壊れるのではないかとかなり慌てた。
そしてデスクライトの下で死んだ虫や、パソコンより熱くなるACアダプターにもアリがたかる。コードの差込口付近に小さい隙間があって、そこから出入りしていた。こういうところに粉は撒きたくない。
そこで活躍したのが、日本から持ってきた虫除けスプレー「ムヒ・虫除けムシペールα」だ。ディートの配合量が多く、ツツガムシにも効くことから医薬品に指定されている。このスプレーをアリの出口にシュッシュッシュッ。薬液をもろにかぶったアリはやはり縮れて死に、アリの出入りはぴたりと止む。これも粉に匹敵する毒性がありそうだが、吸い込む心配がないので重宝する。今はノートパソコンにもアリは来ていない。
もう1つの難関である壁、90度なので粉を撒けない。しかしアリは容赦なくゾロゾロと上ったり降りたりしている。スプレーでもいいのだが、1年ですでに1本使っているのでこれ以上無駄遣いしたくない。先生の家は蚊が多いので授業前の虫除けスプレーが欠かせないのである。
そこに便利なものを教えてもらった。その名も「ラクシュマン・レーカー(武将ラクシュマンの線)」。虫除け成分が入った白いチョークで、虫が通ってほしくないところにこれで白い線を引く。するとアリはこの線を越えてこないのである。学校の黒板のように線を引くとき粉がちょっと飛び散るが、効果は抜群。なにせこの薬品はアリ除けではなくてゴキブリ除けなので、アリが通って来れないのも当然だ。
アリしかし勝ってばかりでもない。引っ越した当初、厳重にしまっていた砂糖に大量のアリが何重もの袋の口を通過して入り込み、捨てざるを得なかった。先日は冷蔵庫の上に置いてあった袋ラーメンに小さい穴をいくつか開けられ、中に大量のアリが入り込んだ。これをお昼前に発見したときは袋を開けてぞーっとしたものである。根性を出して乾麺を水洗いしたが、一旦鍋の中に入れておいたらふたの隙間からまた入られて、結局捨てることになってしまった。それ以来、ほとんどの食品は冷蔵庫に入っている。アリが通れるぐらいの隙間はあるのだが、冷蔵庫の中までは入ってこない。
もうひとつ、扉にかけている服にときどきアリが紛れ込んでいることがある。アリがいないか確認して着ているのだが、小さいので見つけにくい。その結果、服の隙間からアリが噛むらしい。へその下や、太ももなど、蚊にも刺されにくいところなので、痛さとかゆさが長引きやすい(ただ、噛むのは、アリじゃなくて先生の家にいるダニかもしれない)。
アリは夜は働かない。その代わり朝早くから日が暮れるまで休まずはたらく。朝起きるともう行列を作って仕事をしている。敵ながら、その勤勉さは見習いたいものだ。

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