映画(18) 特になし

ドゥーム1年しかいないのに偉そうな口をきくが、今年の映画は不作なのではないだろうか。去年のカルホーナホー、コーイーミルガヤー、ムンナバイ、バグバン級に上映期間が長い映画が見当たらない。シャールク・カーンが出ても、アイシュワリヤー・ラーイが出ても、どれも今ひとつ。そんな中、意外なロングランを続けている映画がある。バイク・チェイスが売りのドゥーム(Dhoom)だ。予告編を見たとき、超安全運転のバイクチェイスのシーンを見て笑ってしまった。さらにウダイ・チョプラ(写真左、通称「馬場君」)。親の七光りで出演しているこのキン肉マンは、ボリウッド映画で見なくていいもののひとつだ(そこまで言うか)。親の七光りといえば主演のアビシェーク・バッチャンやヒロイン役のエーシャ・デオルもそうだと言ってもいいかもしれない(ファンの方すみません)。
インド人のルパリさんが面白かった、お薦めですと言うが一向に行く気が起きなかった。行く気になったのはお祭の影響である。9月のガネーシャ祭からプネーはずっとお祭が続いているが、ダンスの音楽が決まって「ドゥーンマチャーレー、ドゥーンマチャーレー、ドゥン」なのである。耳にこびりついてしまった私は、CD屋でこれがドゥームの挿入歌であることを知る。いったい、この音楽に合わせてどう踊るのだろうかというのが、見に行ったきっかけだった。
あらすじ。超高速改造バイクを使った4人組の強盗が相次いで事件を起こしていた。ジャイはこれをなかなか捕まえることができず、ふとしたきっかけで知り合ったバイク改造犯のアリと協力する。一方バイク強盗の親玉カビールもアリに目をつけ、ジャイと仲間割れしたのにつけこんで味方に引きこんかに見えたが、アリはジャイについていた。最後にカビールは追い詰められて、バイクもろとも崖から海に飛び込む。
まず驚いたのが、プロダクションがあのヤシュ・ラージ・フィルムだったこと。今まで数多くのヒット作を飛ばし、出す映画は必ず注目されるボリウッド映画界の第一級プロダクションだ。ロングランを続けている一因がこれなのではないだろうか。
スタントシーンは思ったよりも楽しかった。バイクで追いかけているとき、線路に列車が通る。そこでカビールは、貨物列車の荷物のない車両1両の隙を狙って飛び込み、向こう側に渡ることに成功した。最後は走るトレーラーの屋根の上で殴り合い。ヴィジュアルとして飽きる要素はなかった。行くきっかけとなったダンスは、アリが一目で好きになっていたシーナがダンスホールで踊るシーン。シーナは実は強盗の一味で、このダンスホールから大臣の賞金を盗み出すのに手を貸していたが、アリの熱烈さにひかれて、最後は強盗を降りてしまう。
しかし出演者が揃いも揃って大根役者ぶりをいかんなく発揮し、スタントとダンス以外はどうしようもない。アビシェークとエーシャ・デオルの無表情ぶり、やたら白い歯を見せたがるウダイ・チョプラ。圧巻はアビシェークが酔っ払ったふりをしているシーン。小学生のとき学芸会で酔っ払いの役をしたのを思い出した。インド人が映画にはまるツボと、私のツボは決定的に違うのかもしれない。ヒット作必ずしも面白からず。娯楽映画だと言ってしまえばそれまでだが。
はたして今年一番の映画は、何だっただろうか。その前に、ヴィール・ザーラーとスワデースを見なければなるまい。

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