シュリナガルへ

3日間便秘だった娘が明け方下痢で起きる。原因はおそらくトマトかスイカの食べすぎだと思う。
朝食をゆっくり食べて、空港まで車で行くことになっていたが手配していた車が来ない。旅行会社に電話すると「エンジンの調子が悪くて、今変わりの車を手配しています」などともっともらしい言い訳をするが、予約時間を勘違いしていたのがばればれである。おそらくずっと待っていたら、フライト時刻にホテルにのんびり現れただろう。それから何度も何度も電話をしてやってきた車が空港に着いたのはフライト10分前だった。窓口はもう閉まっている。
これはもう明日にするしかないのか、旅行会社に補償してもらえるのかと考え始めていると、その日のうちにもう1便あることが判明。何かの都合でフライト時間が遅れたものらしい。車が遅れれば飛行機も遅れる。これが神の思し召しというものなのか。娘は空港でもお腹の調子が悪かった。
デリーからジャンムを経由してカシミールまで2時間ほど。飛行機を降りると冬のカシミールは冷え切っていた。デリーは最高気温32度、最低気温12度ぐらいだったのに対しカシミールは最高気温が12度、最低気温は2度にもなる。厚着はしていたがかなり寒い。
カシミール空港は安全のため旅行客登録がある。ところがここに6月に会っていたタヒルさんがお母さん、妹、叔母さんと一緒に迎えに来てくれていた。警察官の叔母さんの力で到着口まで入ってきていたのだ。そして6月と同様、パトカーに護衛されながらタヒルさんの家に向かう。
タヒルさん一家のお目当ては娘を見ることにあった。ところが下痢続きの娘は、カシミールの寒さに加えて次々とやってくるインド人にたじろぎ、すっかり調子を崩してしまう。タヒル家に着いてしばらく眠っていたが、どんどん熱が上がり、夕方には痙攣を起こしてしまった。
痙攣は以前にインフルエンザにかかったときに起こしているが、白目を向いてびくびくいう。こういうときゆすったり、名前を呼んだり、叩いたりしてはいけないそうだ。私には、このまま娘がカシミールの地で帰らぬ旅路につくかとさえ心配になったが、タヒルさんの一家が「冬のカシミールにはよくあることだから、心配しないで」となだめられた。……嫌だな、冬のカシミール。
ひとまずタヒルさんが親戚の医者(この一族は何でもいるものだ)に電話をして、熱さましと抗生物質のシロップを指示してもらう。インドの熱さましを飲むと、娘は深い眠りに着いた。すごい効き目である。どこかホテルを探すつもりでいた我々は、なりゆきでホームステイすることに決定。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.