一段落

 シュクラ先生と昨年の7月から読んできたサンスクリット語の文献を、本日読み終えた。127ページ、1回1時間15分ぐらいで74回だから100時間くらいになるだろうか。謝礼の金額は計算したくないが、金額が気にならないほど1回1回の授業が満足度の高いものだった。
 授業はまず、前回の質問から始まる。先入観を排して理解を先生の教示に委ねるため授業は全て予習なしで臨んだが、復習は徹底的に行い分からなかったところを尋ねるようにした。一方の先生は1回の授業に2時間予習をしてきているというが、それでも先に進むとあやふやになってくる。それを次の回に訊くとさすが考えてきているのか、きっちりとした答えが返ってくる。お陰で徹頭徹尾、曖昧にして進んだところはないと断言できる。
 復習しながら作成した和訳と注釈はテキストファイルで1.3MB、これをLaTeXに再構成して博士論文にする予定だ。
 インドの哲学書はたいていの場合、最後に神様への祈祷文でしめるが、今日読んだ巻末言で作者のウダヤナ(11c.)は、「知識の海からようやく見つけ出したこのわずかな女神について説いたところで、世の中にどれだけ理解してくれる人がいることか、私は悲しい」と嘆いていた。確かに難解だったが、1000年も後に勉強する日本人がいるとは作者も思わなかっただろう。
「ウダヤナの作品は難しい」と先生。「でも、先生のお陰で読むことができました」と先生の足に触れて礼をすると、先生もにっこり。充実感が溢れてきて感動した。次回からは関連する別の文献を読み始める。

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