土産








ジャーダウ家。左からお母さん、お父さん、プラタメーシュ、叔父さん、リシケーシュ、妹、ディーパク、妹の旦那、手前におばあさん、壁に亡くなったおじいさん。
ジャーダウ家

このところ下の階のジャーダウ家と急速に親しくなっている。というのも帰国に際していらなくなった家財道具を一切合財(といっても冷蔵庫・椅子・携帯電話ぐらいだが)引き取ってもらうことにしたためである。これまでにも子どもたちの誕生日に招かれたりしていたが、以前に増して親切になった。
そのジャーダウ家で赤ちゃんを連れて里帰りしている妹が、日本にいる娘にお土産を買ったか尋ねる。「いや、特に……」インドには、子どもが喜ぶようなお土産がほとんどない。食べ物は超甘いか超辛いかだし、おもちゃはプラスチック製の2,3日で捨てたくなるようなものばかりだし、服も日本では着られないようなド派手なものばかりだ。でもその妹が「ジャイプーリードレスなんかいいわよ」と言い、結局繁華街まで買いに行くことになった。案内役にプラタメーシュとお父さん。4時半のバスで出発。
終点の市役所前で降りて、ラクシュミーロードまで15分ほど歩く。私は傘をさしているが2人はカッパで、頭にはいくら雨があたっても平気らしい。あちこち迷ったが、お父さんが薦める子どもドレス専門店「マードゥリー」というお店にたどりついた。妹は200ルピーぐらいでいいのがあるというが、ここは高級店。お姫様みたいなキンキンキラキラなドレスが並んでいる。結局、紫色のドレスを490ルピー(1225円)で購入した。愛子さまだったらまだしも、社交パーティーなんか行かない娘は1回着れるかどうかというような代物だ。ピンクのほうがよかったかなと後で悩んだが、この際どっちもどっちだ。
お父さんはせっかく繁華街まで来たのだからと、子どもの新しいサンダルやセーター・下着を買い込んでいた。プラタメーシュもすっかり舞い上がり、おもちゃやアイスクリームをねだる。感心したのはお父さんの値切り術。露店が多いこともあるが言い値ではまず買わない。言い値の半額ぐらいを提示して、相手が渋ったらすかさず立ち去るふりをする。相手が呼び止めてきたらしめたもの。見事半額にさせたところもあった。もっとも、この技は「マードゥリー」のようなきちんとしたお店では通用しない。店の入口に「定価(Fixed
Price)」という看板が掲げてあった。
2時間ほどの買い物が終わると再び市役所まで歩く。次のバスは30分後。別のバスでもバス停から歩けば帰れるが、今は雨季で道路が水浸しになっている。私とプラタメーシュはサンダルだからいいが、お父さんは靴に靴下。バスが遅れてきたので結局45分も待って帰宅した。9時半。プラタメーシュもすっかりお疲れだ。夕食をご馳走になり、ジャーダウ家の女性陣に買ってきたドレスを見せた。そのキンピカぶりに皆驚き、口々に「すばらしい」と言う。私自身も、こんなありえないものを買ってしまった自分にあらためて驚いてしまった。
すると妹は今度、日本にいる奥さんにお土産を買ったか、お母さんにお土産を買ったか聞いてくる。「パンジャービードレスなんかいいわよ……」

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