分かりやすい葬儀

お葬式続きで山形滞在日数が増える。今月はこれまでお寺で2件、伴僧が3件。往復の交通費と体力を節約するため昨日から長女を連れて山形へ。来週火曜日まで。

葬儀は儀式であるとしても、参加者に分かりやすくなければならないと思う。
この頃葬儀で案内や解説をする機会が増えた。近隣では一番若い人がすることになっているらしい。開式の10分前くらいから、葬儀の流れと参列者にお願いすることを説明する。

はじめに授戒という儀式が行われます。戒名をお授けするものです。戒名とは仏弟子になった証でありまして、授かるにはいくつか守っていただかなくてはならないことがあります。
まず懺悔と申しまして、これまでの行いを振り返り、悪いところがあれば反省いたします。
これによって身も心も清らかになったところで16の戒めを授かります。お釈迦様、その教え、教えを守る我々に全てをお任せするという誓い、悪をなさず、善行を積み、人々を助けるという誓い、人を殺さない、盗まない、嘘をつかないなどの誓い(酒を飲みすぎないと浮気しないはこの際言わないでおく)があります。これらを胸に刻んでいただいた上で、はじめて戒名を頂戴するわけです。
授戒が終わりますと読経に移ります。これは仏教にゆかりのある全ての仏様・菩薩様・神様――お釈迦様、お文殊様、お普賢様、お地蔵様、観音様、弥勒様、お不動様――これらの方々をこの会場にお招きしてお導きを願うものです。
読経が終わりますと告別の儀式です。弔辞弔電を賜り、お導師様から引導が渡されます。「引いて導く」という言葉が示すとおり、仏の教えに引き入れて仏の世界(あの世のよいところ)にお導きします。
そして皆様からお別れのご焼香を賜り、閉式となります。全体で1時間ほどの式になりますが、故人のご冥福を祈りながらご会葬をお願いいたします。
法要の間、皆様にお願いすることが3つございます。1つは合掌です。両手と5つの指をぴったり合わせ、指先を鼻の高さまで上げ、姿勢を正して合掌下さい。
次に読経です。途中でご案内しますのでお渡ししておりますお経本の○ページから『修証義』の第一章をお読み下さい。
そして最後にご焼香です。曹洞宗では本来2回が正式ですが、本日はたくさんの会葬者がいらっしゃいますので、1回のみにてお願いいたします。焼香が済みましたら一旦隣にずれて、次の方に香炉をお空け下さってからゆっくり合掌でお参り下さい。
以上、合掌・読経・焼香の3つでもって皆様に御会葬いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。それではまもなくお時間です。最後までどうぞ心静かに、清らかにお過ごしくださいますようお願いいたします。

故人のことやご遺族のこと、仏教の教義などは後からお導師様がお話しするので重複しないように実践的なことだけを話している。だが書き出してみると結構多いものだ。
自分が導師の場合はさらに亡くなった人がどうなるかということについての仏教の伝説や供養の意味などにも言及する。
「法要は意味が分からないのがありがたい」という意見もある。密教がその最たるものであろう。禅宗にも密教の影響はあり、陀羅尼を唱えたり印を結んだりしている。また、何の解説もなしに始まる葬儀には言葉では表せないような荘厳さを感じるのも事実だ。
でもお釈迦様の教えがどんなに深遠で凡夫には計り知れないものであっても、それを理解しようとする努力、人に伝えようとする努力を惜しんではなるまい。道元禅師は「教外別伝」を否定し、仏教が伝わるには教えを語りつくし、書き残す努力が必要であるという(『正法眼蔵』仏教の巻)。
また、戦後生まれの世代は納得しなければ参加できないという面もある。未来に照準を合わせるならば、分かりやすい法要というのは必須だと思う。
そのうちテーラワーダに伝わる『慈経』でも檀家さんと読んでみようかな。
http://www.j-theravada.net/sutta/Metta_Suttam.html

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