『まわりみち極楽論―人生の不安にこたえる』

すぐ最新の物理学とか言ってオカルトに走るのと、どうも他人事のような調子になるのとがピンとこないが、ところどころなるほどと思うこともある。
議論していると、ああも言える、こうも言えるという余裕がなくなってくるのが善くも悪くも日本人だと思います。つまり感情移入能力が高いということかもしれませんが、そういう人はやはりトコトン議論しちゃいけません。(p.21)
ある人が、太っている人に共通の口癖を発見したっていうんですね。それはどんなものかと言いますと、「これを食べなきゃ太らないのに、この一口が我慢できないのよね」とか、「寝る前の、この一口が太るもとなのよね」とか、「私って、水飲んでも太るのよ」って言いながら水を飲む。お菓子を食べる。そうやって期待をかけられると、寝る前の体も、おそらく期待に応えようとするんじゃないでしょうか。(p.44)
今行っていることの結果は、今受けるべきだということです。因も果も今一緒にある。修行も、その結果期待される証(悟り)も、修行そのものにある、という考え方です。将来のために我慢して今を過ごしていたら、そのまま地震で死んじゃうかもしれないでしょ。だから今していることの功徳は今味わうんですね。(p.85)
(日本の僧侶の妻帯について)私の師匠がこんなことを言ってくださいました。「大乗仏教が最もソフィスティケートされた姿だろう」って。つまり修行の悩みに対応するのが我々僧侶だとするなら、とても大きな苦悩を生み出す結婚生活に対しても、してみなきゃ応じられないだろうって。(p.177)
不安を抱える人には、その不安を共感して寄り添うという方法と、ちょっと別な視点を提供してみるという方法があると思うが、この本は後者を取る。悟ったような口ぶりも、心が弱くなっているときには頼りがいを見出せるのかもしれない。

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