破水(3)

早朝、『サンクトペテルブルグ』を妻と遊ぼうとカードを切っている夢を見て、ワクワクして早く起きた。すると7時半頃に病院から電話が。「先生からお話があるというので今来ていただけますか?」朝食も食べずに病院に向かう。
病院から電話とあれば危篤というのが相場だが、妻や赤ちゃんの状態が急変したのであればそう言うだろう。行ってみると案の定、先生の話は山形大学病院に移すということだった。
理由は3つ。
1.破水が続いており、お腹の張りが消えない
2.超音波診断で胎児の片方の腎臓に腎嚢胞の疑いがある
3.血糖値が高く、糖尿病の疑いがある
正常分娩できるとされる34週目まであと数日だったが、その前に生まれてしまうと置賜病院で対応できない。すぐ生まれそうということではないが、いつ生まれてもいいように万全を期すそうだ。
妻は救急車で搬送されるという。先生は「後を付いていったら危険です」と真顔でいうので、後から行くことにして荷物をもって保険証を取りに自宅へ。
自宅では母が2人の子供に手を焼いていた。長男がパパがいないと泣き、その泣き声で起こされた長女もふて寝している。要するに10時近くになって朝食を食べていなかった。なだめたり引きずったりして何とか2人に朝食を食べさせ、自分も食べて山形市に出発。置賜病院までは20分で行けるが、山形大附属病院までは山を越えて50分くらいかかる。
先に着いた妻は豪華な個室に入り、元気そうにしていた。差額ベッド11,500円/1日だという。テレビカードも1000円で1000分と置賜病院の2倍。貸しパジャマも1日70円(置賜病院は50円)と、ぜんぶ高い。これが山形値段か。お布施が5割増なのもこれで分かった。
でも行きかう医師は若い人が目立つし、1階にはファミリーマートとドトールがあるし、看護師も白衣でないので活気があるのはよい。大学の偏差値が医者の腕を決めるという先入観が私にはあって、山大なんてと思っていた時期もあったが、今日はずいぶん頼もしく感じた。
先生から話を聞いて驚いたのは、もう来週には生まれるだろうということだった。予定日は3月下旬だが、破水が続いている以上、感染症の恐れがあるので、34週になったらすぐ産めるよう、準備を進めるという。ステロイド剤を注射して胎児の呼吸機能の成長を促進させる。その前に生まれる可能性もあり、帝王切開の同意書にサインを頼まれた。
説明にかける時間は置賜病院以上。手術、輸血、生物製剤のそれぞれについて、医師と看護師が椅子に座ってリスクをきっちり説明する。子供もいたので途中から上の空だったが、福島で産科医が訴えられた事件以来、都市部では特にナーバスになっているのだろう。
今日も子供たちの執着のなさは見事。早く帰りたい早く帰りたいとうるさい。帰りはミルキーウェイでハンバーグを食べて、成沢の本屋さんで本を見て帰る。帰りの348号線では、子供が2人とも眠っていた。
明日は法事やら大般若やらあって、夕方につくばに行く予定。妻へのお見舞いは週末になるが、それまでまだ産まれないでほしいな。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.