文系はもっとひどい


高校の講演会のため、博士課程卒業者の進路を文系理系別に調べた。まず、文系の博士課程卒業者は、理系の3割に満たない。その理系も、医師が約半数を占める。医師の場合は規定路線であって、働き口がないということはまずないから、保健系を除いて考えたほうがよいだろう。特に文系。
「博士が100人いる村」では死亡・不明が8人(8%)に数えられているが、文系だけ取ってみると22%に急増する。もっとも、「博士号取得者と自殺について」で考察されているように、この22%がみな悲惨な行く末だというわけではないだろう。文系では、研究内容と全く関係のない仕事に就き、大学側が就職状況をが把握できないことが多いからだ。
とはいえ、一般企業への就職が厳しいのは文系のほうだ。大学は少子化の影響で文系学科をリストラ中。その間、授業は非常勤講師に頼っている。その非常勤講師ですら倍率が高い。代わりはいくらでもいるから、待遇はよくならない。非常勤講師になれなければアルバイト生活が待っている。一方、常勤の教員も高校へのリクルート活動、就職の世話、組織再編の会議で過労気味。昔は「大学教員は3日やったらやめられない」と言われていたそうだが、今は「なっても地獄、ならなくても地獄」である。
私の周囲にも、非常勤講師のみで先の読めない人、アルバイトで糊口をしのぐ人、大学で過労死した先生が少なからずいる。
水口昭道氏の『高学歴ワーキングプア』の前半のように、ルサンチマンに浸っていても仕方がないが、大学に在学中、または大学進学を考えている後輩たちには知っておいてもらいたいことである。
ITmediaエンタープライズ:高学歴ワーキングプアとは何か

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