寺の外に出て

先週の土曜日、地元の老人会の芋煮会があり、その際に1時間ほどの講演をしてきた。3年連続の講演で、1年目は少子高齢化社会、2年目は葬儀の変容、そして今年はイオンショックとお布施の意義についてである。アクチュアルなテーマから入り、仏教の教義に至るという流れは話しやすい。
公民館で行われ、聴きに来てくださった方は40名。そのうち30名が檀家さんであった。ありがたいことであるが、お寺で法話をするとしたら、果たしてこんなに集まるだろうかと考えた。
お寺のあり方は宗派によって異なるものの、もともとは多くの人が出入りしてお参りをし、いろんな話をしていく開放空間だった。それが知らず知らずのうちに敷居が高くなり、閉鎖空間になっていく。住職や寺族も留守にすることが増え、日中にふらりと訪れてもカギがかかっていることも少なくない。
これに対し、お寺を開かれた場所にするという努力は必要だが、結局ただ待っているだけか、よくて単発的なイベントをするぐらいで終わってしまう。それならば、辻説法の心意気で、外に出ていくことが必要ではないか。
東京にある坊主バーの記事を読んだ。自ら酒を飲まなくても、酒を買って飲ませるわけなので戒律的にはNGなわけであるが、それも仏陀の教えに触れて悩みをなくしてもらう方便であろう。従業員である群馬のお寺さんは、お寺にいたのではなかなかできない、尊い利他行をなさっているのだと思う。
COBS ONLINE:現役の僧侶がいる「坊主バー」ってどんなところ?

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