石巻で被災者訪問

石巻の被災者訪問のボランティアにお坊さん仲間と日帰りで参加してきた。往復300km、5時間ほどの道のりである。

石巻ではチーム王冠という団体が、被災者の在宅支援を行なっている。被災地を1件1件回って、様子を伺い、物資の調達や医療の手配につなげる。今回はそのジャケットを貸してもらって、1回訪問して心配事があったというお宅を訪ねて回った。事務所で説明を受けた後、3人1組で雄勝町へ。

途中で大川小学校に立ち寄る。立入禁止のロープが張られた廃墟の前に慰霊碑が立っており、その周りに20人くらいの人がいた。すぐ後ろは山になっていて、逃げ場はあったように見えたが、108名の児童のうち74名が死亡・行方不明になったのである。自分の子供だったらと思ったら涙がにじみ出てきた。慰霊碑に手を合わせる。

訪問はどの方も笑顔で迎えてくれて、東北人の暖かさと「チーム王冠」の支援活動への信頼を感じる。家族を亡くされた方も、普段の生活を徐々に取り戻しているようだが、睡眠薬を処方されたり、夜うなされたりするという方もいて、心の傷の深さをうかがわせる。私たちにできるのは、相手が悲しみを乗り越えていく未来を信じて、ただ話を伺うことばかりだ。

雄勝町やそのとなりの女川町は、海に突き出した半島のようになっていて、ほとんどが断崖絶壁でところどころに浜がある。したがって浜から内陸に至る道はたいてい急な坂で、海を見渡せる立体的な地形が美しい。山育ちの人間にとっては、山あいから海が見える風景が感動的だった。

夕方まで訪問してから事務所に戻って報告。事務局の方が深刻な話は若い人よりお坊さんのほうが話しやすいとおっしゃっていたのはなるほど納得した。道中には、同乗した近くのお寺さんとあれこれと話を出きたのもよかった。普段よく顔を合わせていても、込み入った話はなかなかできないものである。

今回もまた、癒されたのは私だったように思う。同行したお寺さんたちと、明るく迎えてくれた被災者の方々に感謝している。

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