本山授戒会

4月10日から7日間にわたって行われた大本山總持寺そうじじ(横浜・鶴見)の報恩大授戒会じゅかいえに、詠讃師えいさんしとして参加してきた。

授戒会

報恩大授戒会とは、修行僧と一般の信者さんが、禅師様から戒律を受け、その証として御血脈おけちみゃくを授かる行事で、本山では毎年この時期に行われている。期間中は毎日朝から夜遅くまで法要や説教が行われ、たくさんの僧侶が全国から参加する。

御血脈というと、お葬式の日に授かるものだと思っている方が多いかもしれないが、本来は生きているうちに授かるものである。仏教徒として、自分を律して生きていくための拠り所にするのである。

全国から参加する僧侶はそれぞれ係割があり、「寮」と呼ばれる部屋に配属される。詠讃師寮は法要中に御詠歌をお唱えする係である。そこに縁があって声をかけて頂き、参加することになった。

1日の生活は、2時間ほど法要に参加して、2時間ほど休むという繰り返しである。朝は3時50分に振鈴で起床。4時50分から朝のお勤めが始まる。7時頃に終わって朝食と休憩。次は9時30分頃からお昼の法要である。終わったら昼食と休憩。午後は14時頃から法要があり、終わって夕食。夜は19時頃から法要で、終わったらお風呂に入って22時頃寝る。

詠讃師の仕事は、法要の開始時と終了時、導師がお供え物をしている時に御詠歌をお唱えすることである。開始時と終了時は皆で、お供え物をしているときは1人でお唱えする。

ただお唱えしているばかりではない。導師の入堂と御詠歌のタイミングが合うように、導師の送迎係にタイミングを伝えたり、導師の準備が整ったことを詠讃師に伝えたりする合図係もあった。千畳敷の本堂で、たくさんの僧侶が集まっている中、法要を妨げないように御詠歌を入れるのは神経を使う。それでも何とか務めることができたのは、先輩の詠讃師が、懇切丁寧に仕事を教えて下さったおかげである。

詠讃師寮は12名が登録されており、特派で全国の講習会を巡回している先生方もいらっしゃった。どこかでお習いしたことがあるか、一緒に勉強した関係で存じ上げている方が半分以上。年齢も居住地もさまざまだが、初対面の方も含めてみなさん気さくで、リラックスして毎日を送ることができた。また、お唱えのアドバイスだけでなく、作法面の注意点や、梅花流の最新情報までいろいろと教えて頂いて勉強になった。

法要にも最初から最後まで参加する。行道では法華経の普門品ふもんぼん寿量品じゅりょうほん参同契さんどうかい宝鏡三昧ほうきょうざんまいを読む。普門品と寿量品は偈だけでなく全部読むので、お経本が配られる。どちらも滅多に読まないものなので、この機会に集中して読むことができたのもありがたいことだった。普門品は分かりやすいが、寿量品は難解なのでもっと勉強しておきたい。

7日間は長いなと思っていたが、1日のリズムに次第に順応してきて、気がつけばあっという間である。肌寒い日が多かったが体調も良好で過ごすことができた。お世話になった詠讃師寮の方々、留守中に子供たちの世話をしてくれた母に感謝したい。

お寺に帰ってくると、1週間分の仕事がどっさり。早速ほうぼうに電話をしたり、郵便局や銀行に行ったり、書類を作ったりしなければならない。本山にいたほうが心穏やかな日々だったと振り返って思う。

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