最終講義

定年退官される斎藤明・東大教授の最終講義。「空(クウ)を旅して四十年」と題して、ナーガールジュナの『中論』講読でした。解説しようとするといつもちんぷんかんぷんになる「空」ですが、それは縁起であると説かれます。しかも縁起とは、煩悩から苦しみが生じること、修行によって苦しみが抑制されることという、いわゆる四諦のことでした。

そうなると「色即是空」は、身体は実体のないものであるというよりは、身体は煩悩によって生起しているものという理解になります。不生不滅はおかしくなりますが、少しちんぷんかんぷんではなくなりました。

斎藤先生最終講義

祝賀会で、博士課程在学時の指導教官とお会いして「あと2年で退官だから、早く博士論文出してね」と言われました。そこで重い重い腰を上げてマラヤラム文字の写本を再び読み始めました。文字をすっかり忘れていて、対照表を作りながら進めています。

「譬えば火をきるに未だ熱からずして而も息めば、火を得んと欲すと雖も、火を得べきこと難きが如し」(仏遺教経)

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