これが答えだ!少子化問題

主張内容は前著『子どもが減って何が悪いか』(http://www.tgiw.info/weblog/2007/02/post_363.html)と同じで、少子化対策を進めれば進めるほど「生活期待水準」がどんどん上がり、その結果子どもは増えないという意見です。その後10年以上さまざまな反論を受けたと見えて、統計を細かく丁寧に説明しています。

今できることとして、不必要に煽らないこと、少子化対策を政争の具にしないこと、福祉支援・経済対策を少子化対策の名のもとに行うことをやめることを提案。私も近頃、行政による婚活支援が「少子化対策として」行われていることに違和感を感じていました(婚活支援自体は賛成です)。結婚している人もしていない人も幸せになれる社会においてこそ、やっと子どもが増えてくるというわけです。

興味深かったのは筆者が紹介するブログ「KYの雑記帳」の「男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ」。女性がハイパガミー(経済的・社会的に自分より優位な人との結婚を求める傾向)を望んだまま、男女共同参画が進んで経済的・社会的に肩を並べると、男性下層と女性上層が結婚相手を見つけにくくなり、少子化が進みます。ハイパガミーを放棄しない限り、男女共同参画と少子化対策は原理的に両立しません。この事実はショックでした。「逆転婚」や「ジモ婚」といった多様な結婚のあり方を紹介しても果たして、ハイパガミーは放棄できるのでしょうか。

元も子もない話が多いですが、読んでいて励まされたのは、第2子を生むか生まないかは社会的・経済的諸条件に依存せず、他の夫婦の子ども数の影響を相互に受けるという見解。地元で親同士で飲んで「もう1人どう?」とか冗談交じりで言いあうのが意外に役に立っているのかもしれません。もうひとつは、都市規模別子ども数で、10万人未満の都市に居住する女性の子どもの数が平均1.92人と、大都市よりはるかに多いという調査結果。「大都市や拠点都市よりも、小規模市町村のほうが子どもを産み育てやすい」といいます。確かにほどほどに不便で、「生活期待水準」もあまり上がらず、同年代のソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が潤沢な今住んでいるところが子育てにはいいんだなと実感できました。

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