2006年4月アーカイブ

クレオパトラと建築士たち(Kleopatra und die Baumeister)

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大行は細謹を顧みず(『史記』)

 クレオパトラお抱えの建築士となって、宮殿のパーツを作るボードゲーム。『乗車券』の成功で波に乗るデイズ・オブ・ワンダー社が、いかにも潤沢な資金を投じて作った風であり、その豪華さは『キャメロットを覆う影』よりずっと上。今年のニュルンベルクの期待作アンケートは3位で、デイズオブワンダーへの信頼の高さを物語る。作者は『キャメロットを覆う影』のカタラと、『キャッシュ&ガンズ』『ミス・モンスター』のモーブラン。これまではB.フェデュッティとR.フラガぐらいしか知られていなかったフランス人ゲームデザイナーの層の厚さを思い知らされる。

 宮殿には6種類の建築物がある。長い柱オベリスク、続いて3対のスフィンクス、宮殿入口の門、宮殿の周に作られる柱壁、そして上の段には床となるモザイク、奥にクレオパトラがお座りになる玉座。それぞれ2~9の立体パーツからできていて、それが徐々にできあがっていく様子はまさに圧巻としかいいようがない。

 ゲームはシンプルな構造になっている。手番にすることは、カードを補充するか、カードを出して建築するかのいずれか。資源は職人・木材・石材・大理石・瑠璃の5種類あり、建築物によって必要なものが異なる。何を建てるか考えながら、場札からカードを補充していく。必要な建築物によっては2パーツしかないものもあり、全部早い者勝ちだからのんびりしてはいられない。

 場札は3つの山から選ぶが、カードの半分が表、半分が裏になっていて、それがランダムに混ざっている。中身が全く分からないお楽しみセットや、汚職カードまるわかりの悪事セットなどがあって、選ぶのが楽しい。

 急いで安く建築するには、汚職に手を染めるしかない。カードの中には1枚で2つの資源が得られるカードや、何の資源にでもなるカード、他のプレイヤーからお金や資源を恵んでもらう乞食などキャラクターカードがある。こういうものを使うと、汚職をした証拠として汚職チップを取らなければいけない。この汚職チップは自分のピラミッドに貯金しておき、最後に一番多く持っていた人はいくらお金を持っていようともクレオパトラが飼っているワニの餌になってしまうのだ!

 汚職チップを減らす贖罪方法は、基本的に「犠牲祭」と「聖域」の2つ。「犠牲祭」は建築のたびに振るダイスで全部大祭司の目になったときに行われ(確率からいってゲーム中に1,2度)、供出するお金を握って一斉に公開し、一番多く握った人がチップを捨てることができる。でも負けると反対にチップをもらう羽目になるというシビアなイベントだ。お金を出しすぎると勝てないし、かといってケチるとワニのエサ......一体、いくら出したらいいのか? 一方「聖域」は、宮殿の上の段にモザイクタイルを敷いたときにできる隙間にアヌビス神を置くことで作られる。この聖域のマス数だけ、ゲームの最後に汚職チップを捨てることができる。広い聖域を作ることができるかが、勝敗の重要な分かれ目だ。

 こうして5種類目の建築物が建ち、クレオパトラが宮殿に到着したとき、汚職と贖罪をバランスよく行いつつしっかりとお金を貯めた人が勝つ。汚職チップ最多でワニのエサになってしまった人を除いて、一番のお金持ちが栄誉ある建築士になる。

 1回目はお互いに汚職を勧め合いながら、自身は汚職を避けるという展開。そのうちよたろーさんががんがん汚職をし始めると、他の人も追随する。要は汚職チップが最多にならなければいいわけだから、他にもっと汚職している人がいたら、それを上回らないようにさえすればよい。ところがこれが罠。よたろーさんは犠牲祭で大金を投じたほか、何と8マスの聖域を作り贖罪態勢を固めてきた。そうなると聖域を作れなかった人はなかなか引き返せない。結局、クリーンな仕事を心がけてきたのにモザイクタイルを1枚も置けなかった私がワニのエサになった。

 メンバーが替わって2回目。今度はみんなはじめから汚職しまくる展開で、ものすごいスピードで建築物が建っていく。みんなの手元には汚職チップがジャラジャラ。そこで再び聖域が注目され、これが勝敗の分かれ目となった。私は前回の反省から急いでモザイクタイルを1枚確保したが、やはり及ばずしむしゅさんと同点で2人ワニのエサ。

 汚職を避けていると手が遅くなり、なかなか収入にならない。1手を争うようなところは思い切って汚職して、同時に贖罪の方法を探るというのが勝ち筋のような気がした。1ゲーム60分で、プレイ感もさほど重くないから、1日のうちに繰り返し遊ぶのもOKだ。箱にぎっしり詰まっているのっで持ち運びと収納がちょっと大変だが、これからしばらく、ヘビーローテーションになりそうな予感(写真:タナカマさん)。

ゲームマーケット2006新作評価アンケート結果

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2006/3/27-4/17実施 有効回答総数18名

個別評価
(5・とても面白い?1・全く面白くないまでの五段階評価平均と評価数、高い・多い・五十音順)

  1. 百科審議官(ボードゲームのおもちゃ箱) 4.22/9
  2. 落水邸物語(落水邸物語) 4.00/11
  3. BABEL5(チームきりたんぽ) 4.00/8
  4. ヘックスマシーン(SGC) 4.00/6
  5. ほんのきもちです(Hammer Works) 3.89/9
  6. LIVING DEAD Till Dawn(チームきりたんぽ) 3.80/5
  7. ロボトリー(カワサキファクトリー) 3.63/8
  8. ドンペリ(チームきりたんぽ) 3.60/5
  9. カルタゴの貿易商たち(カワサキファクトリー) 3.50/12
  10. 朝まで大統領選挙(ボードゲームのおもちゃ箱) 3.38/8
  11. 鵺 ?名状し難きもの?(帰ってきた地獄の血みどろ女郎蜘蛛(14歳)暁に死すゲームズ) 3.38/8
  12. マーケットトレンド(Hammer Works) 3.11/9
  13. コレクション・ウィザード(Wisteria) 3.00/4
  14. エルスミーアの期末試験(ボードゲームのおもちゃ箱) 3.00/1
  15. ルネッサンスの胎動(ボードゲームのおもちゃ箱) 2.63/8
  16. 学校の怪談(Midge.jp) 2.50/6
  17. フェアリークロック (ボードゲームのおもちゃ箱) 2.13/8
  18. 陰陽道(グランペール)1.86/7
  19. クォータークエイク(エルバット) 1.71/7
  20. Sky Ocean Story(ボードゲームのおもちゃ箱) 1.50/8

注目された作品
(複数回答可につきパーセンテージは全体との比較、同点はタイトルの五十音順)

  1. カルタゴの貿易商たち 8(44.44%)
  2. ほんのきもちです 8(44.44%)
  3. 朝まで大統領選挙 6(33.33%)
  4. 落水邸物語 6(33.33%)
  5. ロボトリー 5(27.78%)
  6. ルネッサンスの胎動 4(22.22%)
  7. BABEL5 4(22.22%)
  8. マーケットトレンド 4(22.22%)
  9. 百科審議官 3(16.67%)
  10. クォータークエイク 2(11.11%)
  11. LIVING DEAD Till Dawn 2(11.11%)

年令

  • 11-20 2(11.11%)
  • 21-30 8(44.44%)
  • 31-40 8(44.44%)

性別

  • 男 18(100.00%)
  • 女 0(0.00%)

居住地

  • 都内 5(27.78%)
  • 関東 9(50.00%)
  • 北海道・東北 2(11.11%)
  • 東海・近畿 2(11.11%)

ゲームマーケットの参加経験

  • 初めて 5(27.78%)
  • 2回目 2(11.11%)
  • 3回目 4(22.22%)
  • 4回目以上 7(38.89%)

昨年の結果

セルティカと君主論

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Spielbox06年2号で、2つのゲームのルール変更案が紹介されている。


まずセルティカ(Celtica)。より大人向きのゲームにするルール変更は、1.手持ちのドルイドカードは公開、2.経験カードはジョーカーではなく、同色ドルイドカードとのみプレイ可能、の2点。つまり、公開情報を増やしてアブストラクト風にするという案だ。


クラマー&キースリング&ラベンスバーガーといえばティカル(Tikal)に始まる怖い顔三部作があるが、去年のオーストラリア(Australia)と勝利への道(Verflixxt!)ではライト路線に移り、そして今年このゲームが出た。いかにも期待させるようなすごいイラストに比べてライトすぎたのがいけなかったのか、評価はおしなべて低い。Spielbox06年1号ではカバー・ファーストレビューを飾ったにもかかわらず点数は4?6点、ギークも4点台に留まる。国内では好意的なレビューもあったが、メビウスではいまだに一般発売されていない。


君主論の変更案は「スタート所持金5(+最初の収入で10)」。これによって最初のラウンドから都市を作りやすくなり、自由度があがり、序盤で出遅れることがなくなるという。


発売されるゲームの種類の増加に伴い、持っているのに一度遊んでそのままになるというゲームが増えてきた。同じものを繰り返し遊ぶには、よほどの動機が必要になるというまるで映画か演劇のような事態は、単価の高いゲーム(特に大箱)にとってあまりよいことではない。こうしたルール修正案がひとつのきっかけになれば幸いである。


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