『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』

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芥川賞作家の長嶋有氏は、「ブルボン小林」という別名でエッセイなどを発表している。その中の一作、「ゲーム遊ばない人にも面白い」コラム集。岩波文庫風の装丁だが、よく見るとコントローラーのドット絵。

テレビゲームから遠ざかって10年経つ私だが、ファミコン世代なら懐かしいゲームがわんさか出てきて面白かった。よく語り草になる『たけしの挑戦状』『カラテカ』『スペランカー』から『クルクルランド』『デビルワールド』『忍者じゃじゃ丸くん』など。もちろんただの懐古趣味にならず、大人になった今の視点でこれらのゲームを分析したり、それからずっと進化した今のゲームに足りないものを考察したりしている。

ハードのバージョンアップによる淘汰という決定的な違いはあるものの、同じゲームだからボードゲームの世界と共通することも多い。

長くゲームをやって、いや、買っていると、ゲーム雑誌を見るだけで、それが自分にとって面白いかどうか発売前でもピンとくるようになる。臭覚が育つのだ。(「本当に発売されるのか」)
なにしろ我々は未曾有の「なつかしがり」時代に突入している。そしてゲーム業界はまさに二十から三十年を経ようとしている。周年ばやりはますます加速するに違いない。(「周年効果」)
テレビゲーム好きではない人にオススメするゲームというのを「簡単だから」という理由で選ぶことが多いが、そうではなくて「楽しさの発生しやすさ」で選ぶべきだと思う。(「ゲームの末端の部分」)

熱心な愛好者のニーズに呼応して難易度を高め続けた結果、新たに始める人にとっては敷居が高くなり、またマンネリ化も進んで、どういうゲームが面白いかということさえ見えにくくなってしまった。そこで絶版になっていた古典の名作がどんどんリメイクされているが、市場の停滞感はいよいよ否めない。ゲームを長年続けてきた人にも、最近始めたばかりの人にも楽しめるもの。ユーザーとメーカーを巻き込んだこの模索はこれからも続けられる。可能性は決してゼロではない。

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