フレスコ(Fresko)

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寝坊して1日棒にフレスコ
フレスコ
職人となって教会の天井に描かれたフレスコ画を修復し、ビショップの期待に応えるボードゲーム。今年のニュルンベルクで発売されたばかりの新作で、プフェファークーヘルにて『ヴァスコ・ダ・ガマ』などエッセンの人気作を抑えて1番人気となった。デザイナーは新人。
職人はまず、朝何時に起きるかを決める。早起きすれば、市場で顔料を買うにもフレスコ画を修復するにも先手を取れるが、その代わり顔料の値段は高く、職人の機嫌も悪い。寝坊すれば逆に、顔料の値段は安く、職人の機嫌はよくなるが、市場でも教会でもやれることはもうなくなっているかもしれない。
得点の低いプレイヤーから起きる時間を決め、後から選ぶプレイヤーは残った時間から選ぶことになる。いわゆるワーカープレイスメントである。「金はあまりないけど、職人の機嫌がいいな。明日は久しぶりに6時起きするか」「寝坊大好きなので8時起きで」妙にリアルな会話。
アクション選択さて手番順が決まったら、このラウンドのアクションをプロットする。市場での顔料の購入、教会でのフレスコ画修復、顔料を買うお金を稼ぐ肖像画描き、顔料を混ぜて新しい色を作る調合、そして職人の機嫌を直す劇場の5アクションに、5人の職人コマを自由に振り分ける。同じアクションに何人も投入すれば、それだけたくさんアクションができるようになっている。でも、さくさん投入しても手番順によって何もできないこともあるから、起床時間を考慮に入れなければならない。
全員選んだらオープン。顔料の購入から、手番順にアクションを行う。全員のアクションが終わったら、次のラウンドへ。教会のフレスコ画が一定数修復されたらゲーム終了で、その時点で名声の高いプレイヤーが勝利する。
さてフレスコ画の修復の仕方。教会には25枚のタイルが並んでおり、タイルに指定された顔料を使うと取り除ける。取り除いたときにタイルの得点が名声として入る。顔料は赤・青・黄の三原色が基本で、調合すれば別の色が作れる。赤と青で紫、青と黄で緑、赤と黄で橙。さらに、紫と赤で桃色、緑と橙で茶色も作れる(拡張ルール)。調合に手間がかかるタイルほど、修復したときの得点が高い。実際はキューブを交換するだけだが、キューブの色が変わるのは本当に色を混ぜ合わせているようで楽しい。
顔料は市場などで手に入るが、同じ色ばかり集めてしまうと修復も調合もできない。ランダムに手に入る顔料を調整する手腕も試される。いわゆるリソースマネージメントという、ドイツゲームの主軸となるシステムである。
第1ラウンドでみんなが3原色のタイルを修復する中、寝坊して調合を行った。得点が入らないので起床時間の選択は最初である。そしてまた寝坊。そんなことをしているうちに、お金は貯まるわ、職人の機嫌はマックスによくなって追加の職人がやってくるわといいことずくめ。遅起きは三両の得である。それで後手でも得点の高い修復に挑むことができた。ところが、得点が跳ね上がると起床時間の選択は後になる。そのせいで今度は早起きさせられたが(みんないかに早起きしたくないか分かる)、今度はほしい顔料を集めたり、肖像画の特権を取ったりしてリードを守り、最後は怒涛の追い上げをかわして1位。
肖像画ボーナス、修復ボーナス、茶色と桃色の修復という拡張が3つ入っており、今回は最初から全部入れて90分。ルールはその分多くなるが、ゲーム慣れしているメンバーならば全く問題なく遊べる。3つ全部入れなくても、肖像画ボーナスは入れたほうがよさそうだ。
ドイツゲームの主軸であるリソースマネージメントに、近年流行りのワーカープレイスメントを加え、カードテキストを一切なくしてスマートに仕上げている。それでいて顔料を混ぜるという仕事の楽しさからか、既視感がない。ドイツ年間ゲーム大賞を視野に入れてのことだろうか、クイーンゲームズ社は「ファミリーゲーム」というが、フリークが遊ぶにも歯ごたえがあるゲームだった。
Fresko
M.ルスコウスキ、M.ズーセルベック/クイーンゲームズ(2010年)
2〜4人用/10歳以上/45〜60分
メビウスゲームズより近日発売予定

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