7月のメビウス便

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7月29日に届いたメビウス便を7月31日のOさん卓自宅ゲーム会でプレイ。
 猛暑が連日続いているが、エアコンの効いた室内は天国である。さすがにゲームに熱中しても熱中症にはなるまい。

エルサレム(レッドグローヴ) 12歳以上/2-4人/90分 (8点)

 「エルサレム」はミケレ・ムラがデザインしたゲームで、イタリアの新興メーカーのレッドグローヴが出版、ドイツではアバクスが販売している。
 ムラはこれまでに「おきらく学園」や「ルンガルノ」を発表したイタリア人デザイナーで、このゲームが彼の3作目にあたる。またアーレアやアバクスのイタリア語ルールの翻訳者でもある。
 レビューサイト「クルクマンズ・ゲームボックス(KULKMANN'S G@MEBOX)」では、2010年のボックス・スター賞に選出された。


◎「エルサレム」のボックスアート

 12世紀初頭、権力抗争が繰り広げられた都市・エルサレムがゲームの舞台だ。
 プレイヤーは、王宮、教会、市場、騎士団、ダビデの塔を支配することで、それぞれエリアから利益を得て、ラウンド終了時には名誉ポイントで塔を建設する。この塔がゲーム終了時に最も高いプレイヤーが勝者となる。
 ゲームは5ラウンド、ひとつのラウンドは4つのフェイズから構成される。
 いきなり初っ端の第1フェイズで、特殊能力と手番順が示された官職カードのセリからラウンドが開始する。まるでマーティン・ウォーレスのゲームのようだ。
 その結果、1番を獲得したプレイヤーから、人数分の枚数のアクションカードの内容を全て見て、その中の1枚を選んで獲得していく。番手が早ければ有効なアクションカードを選択できるし、後手番プレイヤーに渡るアクションカードの内容も知ることができる。また以降のタイブレイク時には手番順に優先権がある。
 第2フェイズは、第1フェイズで獲得した官職カードに指定された数のキューブをストックから受け取って、ボードのエルサレムの任意のエリアに配置する。今後のラウンドに備えて、配置せずにキープしておくことも可能。
 第3フェイズでは、最も多くキューブを置いたエリアから、キューブ、お金、名誉ポイントといった利益を得る。このフェイズの最後に名誉ポイントを消費して塔を建設する。これは義務で名誉ポイントを貯めておけないルールになっている。
 第4フェイズではイベントが発生する。せっかくボード上に配置したキューブを取り除くような惨劇が起こる。(ただ最初と最後のラウンドはイベントは起こらない)


◎衝立裏にあるフェイズ・サマリー


◎ボード全体

 手番順と特殊能力を活かしてエリア・マジョリティをコントロールするゲームで、キューブ、お金、名誉ポイントの3つのファクターをどのように獲得していくかが悩ましい。
 明らかにファミリーゲームではないが、ルールは整っていて複雑には感じない。(だけど、メビウス訳で16ページも‥‥;)
 後手番ほど、状況を見極めてからコマを配置できるが、先手番はストックから得られるコマの数が多い。さらに有効なアクションカードをゲットできる可能性も高い。このように、このゲームには手番順による巧みなジレンマが織り交ぜられている。
 カードの内容は言語依存もなく、判りやすくアイコン化されているが、さすがに初プレイではまだ慣れないから、サマリーを別途用意しておいた方がスムーズにプレイできるだろう。
 ルール説明に40分、実プレイに2時間を要した。長考プレイヤーがいるともっとプレイ時間が伸びそうだ。


◎有志作成の日本語サマリーが判り易い!


◎ラウンドマーカーとイベントカード


◎名誉ポイント・トラック

◎各ラウンドの手番順と終了時の塔の高さ
 ラウンド 1 2 3 4 5 塔の高さ(残り名誉点) 
 石川   1→1→2→2→2 6段(1)
 Oさん  2→4→1→3→3 3段(4)
 Kさん  3→2→4→4→4 6段(0)
 Aさん  4→3→3→1→1 5段(5)

 余談となるが、エルサレムとは「平和の街」を意味するらしい。しかし現実には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの宗教の聖地が重なったことによる紛争が後を絶たない「危ない街」という印象が強いのは皮肉なものである。

◎Jerusalem for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/63632/jerusalem

◎和訳ルール
http://files.boardgamegeek.com/file/download/5mprghezrk/Jerusalem_J.pdf

◎メビウスおやじ「エルサレム」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-9f53.html


 今月のメビウス便は、諸事情により「エルサレム」1本だけだったので、ここでメビウス便について少し触れておこう。

 メビウス便とは、ドイツで1年以内に発表された3〜5個の新作を自動的に宅配してくれるメビウスゲームズによるゲーム頒布会の通称である。先行して一般販売価格よりも2割程度安く購入でき、送料や代引手数料もサービスしてくれる。
 これまでも、ラベンスバーガー、コスモス、アミーゴ、アバクス、シュミット(ハンス・イム・グリュック)、クイーン、ゴルトジーバー、ドライマギア、ツォッホといったドイツの大手メーカーを中心にメビウスゲームズでは取り扱ってきた。
 もともと頒布会は、JAGAの小田正信さんや、なかよむ村とゲームの木の草場純さんらの発案によるもので、「同じように買う人間を10人は集めるから!」との説得から、1995年の3月にスタートした。
 1995年と言えば、「カタンの開拓者たち」が年間ゲーム大賞とドイツゲーム賞のダブルクラウンでフィーバーした年。メビウスの能勢さんは、問い合わせをしてもなしのつぶてだったコスモスに、価格も判らないまま「カタンの開拓者たち」を注文したそうである。
 当時、六本木のゲームショップ、プレイシングスは既に閉店しており、新和やニチユー、不二商がわずかにゲームを輸入していたくらいで、日本のゲーマーにとっては良質なドイツゲームを安定供給してくれるショップを切望していた時期でもあった。
 発足当初は15名程度だった頒布会の会員数も、全国各地のゲームサークルの主催者やフリークたちが登録して、現在では100名近い。国内における新作中心のプレイスタイルは、この頒布会の影響によるところも大きいのではないだろうか。
 そのほとんどのゲームのルール和訳がネット公開されていて、我々ゲーマーにとっては大変ありがたいことである。

◎メビウスゲームズ ゲーム頒布会
http://www.mobius-games.co.jp/hanpukai.htm

◎歴代頒布会ゲーム
http://www.mobius-games.co.jp/hanpuhis.htm

 尚、8月のメビウス便はお休み。

(写真と文:石川 久)

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