12月のメビウス便

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(写真と文:石川 久)

 11月分のレポートをつい先日書き上げたばかりだが、12月22日に今月のメビウス便が届いた。23日の「高円寺盤遊会」に幸運にもルールを邦訳された後藤さんがいらしたので、ルール説明をお願いし一緒にプレイ。的確なインストでとても理解しやすく、説明次第でゲームの印象が変ることもあるだけに、その重要性を改めて感じた。今回のいずれも秀作揃いだ。

●アサラ(ラーフェンスブルガー)9歳以上/2〜4人/45〜60分(8点)

 「ティカル」や「トーレス」で、ドイツ年間ゲーム大賞(SDJ)を受賞してきたヴォルフガング・クラマーとミヒャエル・キースリングによる黄金コンビの共作。今年3月のメビウス便の「シーランド」もクラマー(とブルクハルト)の作品で、同じラーフェンスブルガーからリリースしている。


キースリング(左)とクラマー(右)


エッセン・シュピールのラーフェンスブルガーのブース

 日本では「ラベンスバーガー」と表記されているが、ドイツ語では「ラーフェンスブルガー」と発音する。ドイツ南西部のラーフェンスブルクにあることから社名にした老舗メーカーだ。


エッセン・シュピールでのPR


ボックスはコスモスサイズ


六角形ゲームボード

 このゲームでプレイヤーたちは裕福な建築事業家となって、イスラム圏の国に4年間で、壮麗かつ多くの塔を建築することを競争していく。
 塔には5種類の資材があって、それぞれ、茶、緑、赤、黒、白と色分けされ、その色によってコストが違う。ひとつの塔は全て同じ色で、基礎部と先端部がそれぞれ1つ含まれていなければならない。ただし、一旦建設した塔であっても後から中央部や窓部を拡張でき、さらに塔を高くすることも可能だ。一部には金の装飾が施された資材もあって、それを使うことで追加得点が得られる。
 手番には、ボードの中に区切られたエリアに対してカードをプレイし、場合によってはコストを支払い、その効果を得ることになる。このようにして建築資材を獲得していく。ワーカー・プレイスメントのような仕組みになっていて、あるプレイヤーがひとつのエリアにカードをプレイすると、以降のラウンド中は、そのエリアには同じ色のカードしかプレイできなくなる。同じ色のカードがなければ、任意のカード2枚を消費しなければならない。このルールが秀逸だ。


建設して完成した塔

 塔を建設したら、構成するタイルごとに1枚1点の得点が入る。各ラウンド終了時にも建設した塔から得点を得る。これを4ラウンドやったらゲーム終了。さらに各色の塔ごとに1番と2番目に高いプレイヤー、塔の数が最も多いプレイヤーの1位と2位にボーナス点が入る。


衝立の裏の得点表

 ほぼ4人限定ゲームのような印象だ。プレイ感はライトで1時間以内で収束して、ルールも難しくない。上級ルールが用意されているが、初めてでもいきなり上級ルールを導入して遊んだ方がより楽しめるだろう。あまり期待していなかっただけに、想像以上に面白かった。

◎Asara for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/72991/asara


●だちょうグランプリ(コスモス)8歳以上/2〜5人/30分(7点)

 動物をモチーフにするのを得意とするスコットランド人のラモント兄弟によるデザインで、2009年に彼らのプライベート・カンパニーであるフラゴー・ゲームズから「サバンナテイルズ」として発表したゲームをコスモスが新たにリリースした。若干ルール修正がなされたようだが、オリジナルをプレイしたことがないので不明。因にフラゴーとは、ラモント兄弟の名前を合体させたものである。


兄のゴードン(左)と弟のフレーザー(右)


ボックスアート。通常のコスモスサイズよりは一回り小さい。

 アフリカのサバンナで行われるダチョウによるレースゲームで、全員同じ構成の20枚の移動カードを各自でシャッフルして4枚を手札にする。先頭にいるダチョウのプレイヤーからカードをプレイして、その数だけ自分のダチョウを進める。1つ以上のダチョウがゴールラインをを超えたら、そのラウンドでゲーム終了。
 「アベカエサル」と同じような移動システムでありながら、ダチョウのレースというのがラモント兄弟らしいユニークなところ。それでいてカードの色と同じ色のマスで移動を終えなければならないシバリが面白い。今いるラインと同じ色のカードをプレイした場合にはラインを変更できないが、その時点の順位分をプラスして進める。ちょっと出遅れても追い付くことが可能で、接戦になりやすくなっている。


移動カード


ダチョウの木製コマがかわいい!


特典タイルは、使用できる状態も表している

 サバンナのコースには3つのオアシスがあって、そのマスに入るか通過すれば、特典タイル1枚が使用可能な状態になる。この特典タイルの使いどころも悩ましい。特典タイルは6枚の中から3枚をゲームに使用する。
 難易度の高いコースを設定することもできるので、飽きずに遊べる工夫がなされている。セットアップでコースタイルを並べるのにちょっと時間がかかって面倒だ。

◎Strauß voraus! for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/54507/savannah-tails


●暗黒の金曜日(コスモス)12歳以上/2〜5人/55分(8点)

 鬼才フリーデマン・フリーゼがコスモスから放つ、金曜日プロジェクトの第1弾は株式取引ゲームだ。株価暴落を見据えつつ、株に投資しては売却で得た利益で、銀や金の延べ棒を購入するのが最終目的。ゲーム開始時は20だった銀の価格も最終時には100へと高騰することになる。
 このゲームはメビウス便に先立って、既にテンデイズゲームズが国内販売している。


髪だけでなく服装もグリーンなフリーゼ


ガチンコムードなボックスアート(裏箱には2Fモンスター・ロゴが!)


ゲームボードは株の価格表になっている


衝立裏のサマリー


現金よりも銀か金!

 手番にやれることは、株を買うか、株を売るか、銀を買うか、パスするかの4択とシンプルだ。
 ゲーム開始時にプレイヤーは所持金を持っておらず、補助金という名目の借金をすることからゲームが始まる。この補助金も株価変動よって指定されたレベルに応じて借入額の上限が決まる。そして、株価変動の処理が行われるごとに一割の利息を支払わなければならない。ゲームを通じて補助金そのものは返済することができない。利息を支払うために、さらに補助金を追加で受けるという雪だるま式の借金も珍しいことではない。補助金の受け取りに関しては、手番にできるアクションには含まれない。
 株価変動のメカニズムが実に巧みに構築されていて、マーケットから一定の数の株が売買されると株価変動が起こる。規定数の株コマを袋から引いて、その色によって特定の銘柄が上がったり、出ていない色のコマの株については値下がりする。
 黒色コマは株の銘柄ではなく、この数によって株価暴落の危険性が高まる。プレイヤーたちは袋に入った黒色コマの数を把握しているので、そのタイミングを見計らって、自分のアクションを選択していく。
 ひとつの銘柄の株を上げるにはプレイヤー間の協力が不可欠で、ひとりで独占してしまうと袋の中のコマの数が少なくなり、むしろ暴落する可能性が増すことになる。
 手番に選択できるパスは、通常の何もしないパスとは違って、銀購入表に株コマを1つ置く。これによっても相場に影響を与えることができ、ちょっとだけマーケットを微妙にコントロールできるさじ加減が、このゲームならではの面白さになっている。
 コンポーネントには利息マーカーと呼ばれるドルを模した黒色の大きなコマが用意されていて、これを袋に入れておく。袋から株コマを引いて株価変動が起こるときに、受け取っている補助金の利息を支払うことを忘れないようにするための用具である。こういう使い方も珍しい。
 またプレイ時間55分という表記も類を見ない。ドイツ語では数字の5はFünf(フュンフ)だから、こんなところにまで「F」を愛するフリーゼの主張が見て取れる。

◎Schwarzer Freitag for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/39242/schwarzer-freitag

 毎月のメビウス便のゲームをプレイすることが、私自身のひとつの目標になっているが、今年もその全て(32ゲーム)をプレイすることができた。お相手して下さった皆さんに感謝したい。

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