明王朝(Ming Dynastie)

 このエントリーをはてなブックマークに追加    

戦略的諸国漫遊

ボードゲーム愛好者の多くが支持するハンス・イム・グリュック社(ドイツ)。フリークを自認する社長とスタッフが制作するゲームはどれも魅力に溢れ、ハズレがない。それでも、発売のタイミングによってあまり注目されずに終わってしまうものもある。特に、フリークゲームがひしめくエッセン国際ゲーム祭で発表されたものに多い。『明王朝』も、そんなゲームのひとつである。

中国・明朝の初代皇帝・朱元璋(1328-1398)の皇子たちとなって、諸国を巡り、各地に自分の一族を配置して最大勢力を目指す。ドイツゲームの王道であるエリアマジョリティ※1がゲームのメインだが、皇子の移動にニクイ縛りがある。

一族コマは、はじめからボード上に配置しない。ボードわきにある「エリアマス」に置いて、ボード上には後ほど投入することになる。1個ずつ置くので、誰がどのエリアに置く予定かをよく見極めたい。

このエリアマスは、同時にカード補充でも用いられる。一族コマを一ヶ所に集中して置けば、カード補充の選択肢が限られるし、散らして置けば、エリアの最多数を取りにくい。一族コマを置いたエリアマスから、移動カードを補充して次へ。この移動カードが曲者なのである。

一族コマを置くには、置きたい地域まで皇子を移動しなければならない。ところが、地域の境界線には、馬や船などの移動手段が指定されていて、これを出せないと遠回りしたり、移動できなかったりする。つまり先ほどのカード補充は、皇子の移動先のプロット※2になっているというわけだ。さらに、ほかの皇子がいる地域には入れないので、ほかのプレイヤーの狙いも読んでおかないと身動きがとれない。

移動が終わったら、対応するエリアマスから一族コマを配置。地域で一番多くなるよう配置したいところだが、1つの国には地域が3つあるので、少なくても取れる地域を選っぶ。往来の多い中央付近よりも、辺鄙な周辺部が狙い目だ(このへんがまことに中国らしい)。

これで1ラウンド終了。2ラウンドごとに、各地域の最大勢力に、その地域のチップが与えられる。これを全種類集めて得点にするのが基本。その後、ボードから取り除く一族コマと、各地域で人員に余裕があるためにお寺に置かれた一族コマ(出家したらしい)も得点になる。

戦略は概ね2つが考えられて、同じエリアのチップを集めていくのと、行ったり来たりして幅広く取っていくのがあるが、全種類集めた得点は序盤ほど高いので、後者が有利。今回も、私は各エリア1枚を確実に集め、トップ叩きをかわして勝つことができた。

4人プレイでプレイ時間はメーカー公称の90分を大幅に超えて3時間。全ての要素が得点に絡んでおり、一族コマ1個で最大勢力ががらりと変わるのでじっくり考えざるを得ない。今では流行遅れなのかもしれないが、実に濃密で、あーだこーだと会話しながら遊べるのは楽しい。

※1エリアマジョリティ―各エリアにコマを配置し、最多数だった人がエリアを獲得したり利権を得たりする陣取り。エリアはいくつもあるため、僅差で勝つのが理想だが、逆転されるリスクも高まる。

※2プロット―一連の行動を、予めカードなどで全てプログラムしておくこと。プログラム通りに進められるよう、先の先を読んでおかなければならない。

Ming Dynastie
R.F.ワトソン/ハンス・イム・グリュック(2007年)
2〜4人用/10歳以上/90分
国内在庫はまだある模様です

コメントする

リンクフリー このバナーをお使いください