6月のメビウス便

 このエントリーをはてなブックマークに追加    

(写真と文:石川 久)

 7月9日の「なかよし村とゲームの木」に参加していずれもプレイできた。
 「なかよし村とゲームの木」は、1982年4月創立の草場純さんが主催するゲーム会である。高田馬場ブリッジセンターにおいて、毎週土曜日に開催されている。今回が通算1,483回目の例会にあたり、おそらく現在まで活動を続けるゲーム・サークルとしては日本最古である。

マンモス(クイーン)8歳以上/2〜5人/30分(7点)

 「ホテルサモア」で注目を浴びた、ノルウェー出身のクリスティアン・アムンドセン・オストビーによるデザイン。本業では医者をしている31歳の新鋭ゲームデザイナーである。
 原始人となったプレイヤーたちは、捕獲したマンモスの分配を行う。できるだけ自分の分け前が多くなるようにしたいのが本音ではあるけど、あからさまに強欲張ると周囲からのマークを厳しくなる。ほどほどが肝心なのだ。


人類による狩猟が原因で絶滅したとの説も

 このゲームでは、2,3人の場合には5ラウンド、4,5人でプレイする場合には4ラウンドを行う。
 毎ラウンドともに獲物タイル31枚とシャーマンタイル1枚を袋の中でかき混ぜた後、テーブル中央へとバラまかれ、このタイルの分配を巡って争うことになる。
 タイルの表裏には、それぞれ別のアイコンが描かれており、表になった面が適用される。中には「?」と書かれ、この時点では不明だが、分配が終了後に表向けられるタイルもある。


2枚のボードは、メインではなくサポート的存在


このタイルを分配する

 手番が来て、タイルの獲得前であれば、手札から任意の枚数のアクションカードをプレイできる。このアクションカードは、直ちに効果を発動するタイプと、得点計算に影響を与えるタイプの2種類に大別される。「?」タイルの存在により、得点計算に思わぬ番狂わせが生じることがあるので要注意。
 タイルの獲得に際しては、任意の枚数の獲物タイルをテーブル中央から取って自分の前に置くか、他のプレイヤー1人が既に獲得したタイルを全部奪って、そこから最低でも1枚を中央の場に返却する。いきなり、テーブル中央に置かれた全てのタイルを獲得しても構わないという大胆なルールだ。
 既にタイルを獲得したプレイヤーの手番は飛ばされ、まだタイルを獲得できていないプレイヤーへと手番が回る。タイルを持たない最後のプレイヤーが、ボード中央からタイルを取る場合には、残った全てを獲得しなければならない。そして、そのプレイヤーが次のラウンドのスタートプレイヤーとなる。
 タイルの分配が決まったら、次に得点計算を行う。シャーマンタイルを受け取ったプレイヤーから、描かれた矢印の方向に、タイブレイクした際の優先順位が決められる。
 6種類あるタイルは、種類ごとに獲得枚数を比べていく。例えば「毛皮」のタイルの場合、一番枚数の多いプレイヤーにはラウンド数と同じ得点が入るが、一番少ないプレイヤーは減点される。というような感じだ。


マンモスと一緒に狩られる動物たち

 使用したアクションカードを捨て札にして、再び全てのタイルを袋に戻したら、新たなラウンドを開始する。規定数のラウンドを終えたら、ゲームを通じて集めた動物の種類数に応じて得点が入る。全7種の動物をコンプリートできれば30点になるから、これは強力だ。
 アクションカードの効果は判りやすくアイコン化されており、言語依存もなく遊べるのは嬉しい。プレイヤーにゲームバランスを委ねているところは、ユーロ・ゲームらしからぬところで、自制心のないプレイヤーには向かないかも知れない。
 タイルの分配は、競りゲームにも似た感覚で、プレイヤー間でいかに談合できるかがポイントになる。想像以上の面白い展開になったが、プレイされたアクションタイルが仇となり、キングメイクが起こってしまった。
 展開次第だとは思うが、プレイ時間を30分内で収束させるには、ちょっと無理がある。それでも、あまりプレイ時間はかからない。

◎スコア ※敬称略
石川 55, ケマ 39, 堀田 37, やすやす 60

◎メビウスおやじ「マンモス」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-e2d7.html

◎Mammut for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/95613/mammut

アバンティ(ツォッホ)10歳以上/3〜5人/45〜60分(4点)

 「ザップゼラップ」など、子供ゲームを得意とするハインツ・マイスターによるデザイン。「アバンティ」とはイタリア語で「進め」または「どうぞ」を意味する。
 コンサート、記者会見、スポーツ・イベント、ファッション・ショーといった会場をプレイヤーは自家用車で駆け巡り、エスプレッソ・マシーンやカナッペ、お寿司、トイレットペーパーなどをデリバリーする雑務で大忙し。それもこれも、しっかりとお金を稼いで、南の島でハンモックに揺られる悠々自適な暮らしをするためである。


コスモスサイズと同じで、ポップなイラスト

 ボードの内周は、南の島へのトラックになっていて、外周は熾烈なレースが繰り広げられる円状のトラックが描かれている。レースゲームでありながら、自分の車のコマを動かすのは、ダイスロールではなくカードプレイである。
 このカードが三角形なのが珍しい。角にはそれぞれ数字が書かれており、進みたい数字をボード側に向け、伏せてプレイする。全員のカードが出揃ったら、下位のプレイヤーから時計回りの順番で、自分のカードを表向け、その数だけ車を進ませる。5人プレイだと、カードのリシャッフルが頻繁に起こる。三角形なので混ぜにくい。
 特筆すべきは、進んだ先のマスに、他のプレイヤーの車のコマがあれば、進んできた数だけ、さらに先へと進めることである。これは連鎖するので、ビリの車がいきなりトップに躍り出ることだって可能だ。
 毎ラウンド、先頭の車に対して、自分の車がいるマスに書かれた金額を支払わなければならない。それだけでなく、1から3までの数値をプレイした場合でなければ、カードを補充できないという厳しいルールが定められている。もしも、4以上の数値でカードを3回連続プレイして、それでもゴールできなければ、レースから脱落してしまう。


レースは外周をくるくると回る

 何回かのターンを繰り返して、少なくとも1つの車が1周するか、誰もカードをプレイしなくなるか、カードを持っているプレイヤーが先頭のプレイヤーだけになったら、ひとつのレースが終了する。自発的にレースからリタイアしても構わないので、お金がなければ、高額な駐車場を占有する戦法も有効だ。
 レースの1位が3マス、2位は2マス、3位は1マス、というように順位によって内周トラックのコマを進ませる。途中で資金ショートした場合には、この内周トラックのコマを後退させることで、マスに書かれた額面の半分を銀行から受け取って支払いに充てられる。
 さらにここで、プレイヤーは収入を得る機会が訪れる。自分の車から直後の車のいるマスまでの間の駐車場に書かれた金額の合計を銀行から受け取れるのだ。加えて、内周トラックに書かれた金額を支払えば、自分のコマを何マスでも前進させられる。(金額の書かれてないマスへは進めない)
 こうして、内周トラックのいずれかのプレイヤーがコマが、南の島へと到着したらゲーム終了。複数のプレイヤーが南の島に到着した場合には、最終レースでより上位のプイレヤーが勝利する。
 一度、負のスパイラルに陥ってしまうと、そこから、なかなか脱せないのが辛いところである。他のプレイヤーの動向をしっかり読んで、いかに相手のコマを踏みつけるかが、戦略上重要なのは間違いないが、それでも肝心のカードが手札にないことには、どうすることもできない。


車のコマが良い味を出している

 木製コマが利用されることの多いドイツゲーム界にあって、このゲームの車のコマは着色されたポリストーン製である。一見凝った作りに見えるが、細部は案外と雑だったりする。
 全くもって余談になるが、私がチーフ助監督を担当した映画「THE 有頂天ホテル」の舞台となる架空のホテルの名前が「アバンティ」だった。

◎スコア(順位) ※敬称略
草場純 5位, 石川 4位, ケマ 1位, 堀田 2位, やすやす 3位

◎Avanti for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/91668/avanti

ビット(ラーフェンスブルガー)8歳以上/1〜4人/30〜45分(4点)

 2009年にライナー・クニツィアが発表した「フィット」の続編的位置づけの、テレビゲームの「テトリス」に代表される落ち物系をアナログ化したゲームである。


クニツィア博士‥‥嘗ての栄冠は今どこに?


ポピュラーだった長方形サイズも今ではマイノリティ

 このゲームは全部で3ラウンド行って、その得点を競うものである。
 「ドミノ」のように、ひとつのタイルは2個のブロックで構成されており、1色もしくは2色のカラーがついている。
 カードに指定されたタイルを6×6マスのボードに順番に配置していって、基本的には4個からなるテトリス・ブロックのパターンを作り出すことで、得点が獲得できる仕組みだ。
 ラウンドごとに指令カードで得点パターンが決定する。そして、プレイヤーはそれぞれ色の違うスタート・タイルを自分のボードに配置してから、ゲームがスタートする。これにより、各プレイヤーは異なった条件でプレイをすることになる。
 後は、プレイヤーのひとりが代表してカードを1枚ずつめくり、そこに指定されたタイルをボードに配置していくだけである。これらは同時進行だから、プレイヤー人数によるプレイ時間の差はほとんど生じない。
 タイルは上から落とすように配置しなければならなず、後になってから、隙間にはめ込むような配置は禁止されている。
 またプレイヤーには一度だけ、指定されたタイルを配置しない代わりに、無色の中立タイルを配置することが許されている。これにより、同色のブロックが繋がってパターンが崩れてしまうのを防ぐことができる。
 上級ヴァージョンのルールも用意されており、こちらは4ラウンド行う。


残りのタイルから確率を推察してみる

 タイルを配置することで、テトリス・ブロックを作り出すというのは、逆転の発想というか、そこが「フィット」との大きな違いでもある。しかし、前作「フィット」同様にソロプレイ感が強く、盤面がより狭くなってしまったことで、自由度も奪われ、盛り上がりには全く欠けるところが寂しい。
 最早、クニツィア博士は最も期待できないデザイナーに成り下がってしまった感がある。過去の自身の名作のiPhone/iPad用のアプリケーション開発に専念した方が無難ではなかろうか。

◎スコア ※敬称略
 ラウンド 1 2 3  合計
  ケマ  10 13 08  31
  堀田  12 10 04  26
  ジロウ 10 12 10  32
  石川  11 09 10  30

◎Bits for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/89668/bits

 昨年7月のメビウス便のレポートから、小野さんのサイト(Table Games in the World)にも転載されるようになって、ちょうどまる1年が経過。
 供給過剰なまでに、さまざまな海外のテーブルゲームが輸入販売される時代だけに、購入目安のひとつとして、少しでも役立つ情報になればと願いつつ、愚にもつかないレポートを書き綴ってきたことが恥ずかしくもある。

コメントする

リンクフリー このバナーをお使いください