ダービー(Derby)

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思惑で大加速

『アルハンブラ』や『アトランティックスター』で知られるディルク・ヘン(ドイツ)。彼の作品はよくリメイクされることでも知られる。ときにイラストを変え、ときにテーマを変えて長く遊び続けられている。『アルハンブラ(2003年)』は『シュティムト・ゾー(1998年)』、『アトランティックスター(2001年)』は『ショーマネージャー(1997年)』のリメイク。

ヘンは自らデーベーシュピーレ(db-Spiele)を起こし、同人(ドイツでは「個人出版」)として活動していた時期がある(1992〜2003年)。後にリメイクされたものも多いが(『ショーマネージャー』『メトロ』『エケトープ』など)、リメイクされないまま幻の作品になったものもある。そのひとつがこの『ダービー』だ。名前の通り競馬ゲームだが、レース中に馬券を買い直せることで非常にタクティカルな作品となっている。

ダービー

タイトルの直球ぶりもさることながら、この手作り感いっぱいのコンポーネントはどうだろう。馬のコマは、厚手のスチロールに紙を貼って切り取っただけ。それでもまだカラー印刷になっているだけ豪華だとも言える。

出走する馬は9頭。自分の番には馬を移動し、手持ちの馬券を交換できる。レースが終わったとき、手持ちの当たり馬券の賞金を足して多い人が勝ち。

馬の移動は、プレイヤーの思惑が適度に反映されるクレバーなシステムだ。手元から出す数字カード(1〜6)と、場札から出す移動カード(9頭のうち6頭の移動数)を組み合わせて決める。数字カードは1枚だけ表になっており、これを出してもよいし、気に入らなければ山札の下に入れて次のカードを出してもよい。ただし次のカードは何が出ても出さなければならないというルール。

移動カードも同様に、表になっている2枚の場札からどちらかを選んで出すが、気に入らなければ山札から出してもよい。ただし何が出ても出さなければならない。今出ているのはあまり気に入らないが、山札からめくるともっとヒドいことになるかもしれないというギャンブル。

馬の移動が終わったら、1枚だけ馬券の交換ができる。馬券は全員9枚(全頭分)もっており、「ホワイトクラウド(馬の名前)は4位以内」「レッドヘルは1位」など、馬と順位、そして当たったときの賞金が書かれている。もちろん、高い順位ほど当たる確率は下がるので賞金額が上がる。

交換できるのは同じ馬の馬券のみ。馬の進み方を見て、無理そうなら下げ、行けそうなら上げたいところだが、お望みの順位はもう売り切れているかもしれない(これも1枚は表になっていて、気に入らなければ山から引ける)。確実に当たるけれども賞金が安いのを取るか、一か八か高いのに賭けるか。

今回はホワイトクラウドが中盤から抜きでて独走状態。そうなると馬券は順位の高いものが狙われ、いよいよ早く走るようになる。一方のレッドヘルはスタートから一歩も動かず。これまた、順位の低いものが狙われ、いよいよ遅くなった。ホワイトクラウドがそのまま1位で、1位馬券をもっていた鴉さんが1位。私は1位馬券をもっていたイエローサンダーを密かに応援していたが、どんどん後退して最後にはレッドヘルにすら抜かれる始末。ほかの馬も高額馬券が当たらず負け。

馬券と馬の順位を見比べるという作業があるためプレイ時間は意外と長く60分くらい。でも「おっ、レッドヘルついに抜いた!」「ホワイトクラウド早い!」などと皆で実況中継しながら(これがさりげない情報戦になっている)、ワイワイ楽しく遊べた。リメイクしてもいい面白さ。

Derby
D.ヘン/デーベーシュピーレ(2000年)
3〜5人/60分
絶版・入手難
ルール和訳:ダービー

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