メルトダウン2020(Meltdown 2020)

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脱原発!

2020年、とある国。災害により損壊した原子力発電所群から漏れる放射能をかいくぐって、住民を避難させるオランダのボードゲーム。シンプリーファン(アメリカ)の英語版が「トリアージ(Triage)」というタイトルをつけているように、全員を救助できないときに優先順位をつけて選別せざるをえない苦しさ・難しさを痛感させられる。はじめに断っておくが、決して楽しめるゲームではない(楽しむべきゲームでもない)。

トリアージとは、災害医療において人材・資材が追いつかないときに、患者の手首にタグをつけるなどして、治療優先度を決めることである。重症の順に優先されるとは限らず、まだ命があっても、ほかの患者を優先するために処置されず、結果的に死亡することもある。

メルトダウン2020

マップ上に7つある原発。8面ダイスを振って、その中の1つが放射能漏れを起こす。その状況を見ながらバス、車、ヘリで周囲を周り、自分のカラーの住民を空港まで運ぶ。バスは4人まで乗れるが移動速度が遅く、車は定員3人でやや早く、ヘリは定員2人で非常に早い。3つの交通手段を駆使して、緊急度の高い人から救助していかなければならない。

ラウンドの流れは放射能漏れ、バスの移動、放射能漏れ、車の移動、原発の修復、ヘリの移動、そして被曝判定の順。放射能漏れが起こるたびに、その原発に放射能ディスクを1枚重ねて、被害が累積していく(修復で1枚除去)。このディスクの枚数が、どれだけ広範囲に被曝するかを表している。

1枚だと周囲1マスに1シーベルトの被害。2枚だと周囲1マスに2シーベルト、2マス遠くに1シーベルト。3枚だと周囲1マスに3シーベルト、2マス遠くに2シーベルト、3マス遠くに1シーベルト。住民は1シーベルトで病気、2シーベルトで重体、3シーベルト以上で死亡する。

後半になると病気や重体の患者が続出し、避難中に死亡する恐れも高まる。最後は、病気でも重体でも、生きて脱出させた数を競うので、避難ルートにも慎重な判断が求められる。そこでどうしても出てくるのがトリアージである。

どの交通手段からも遠いところにぽつんといる住民を救助できるか否か。そこを優先してヘリを飛ばせば、別のところで2人死亡するかもしれない。その場合は、申し訳ないが見捨てざるをえない。その苦しさで胸が詰まる。そうならないように最善を尽くしているのに。

最後は、バス・車・ヘリの運転手も乗り捨てて空港から脱出する。どんどん高まる危険の中、もう1人を救助に行くべきか否か。脱出すれば少なくとも運転手は助かるが、無謀に救出に向かえば、運転手も住民も死んでしまうかもしれない。

ぽちょむきんすたーさんが22人を救助して1位。早々に運転手を脱出させてしまった私は4人多い犠牲者を出してしまった。タブー破りだが、救助の優先度だけでなく、原発事故の被害の甚大さまで非常に考えさせられる作品。脱原発を、もう一度真剣に考えようと思った。

Meltdown 2020
C.v.モーセル/クワリ(2011年)
1〜5人用/8歳以上/40分
ゲームストア・バネスト:メルトダウン2020

コメント(2)

このメルトダウン2020は日本語版はあるのでしょうか?

ありません。不謹慎と呼ばれる恐れがあることよりも、たくさん売れる見込みがないというのが一番の理由です。

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