ボンガル(Wongar)

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あと1個置かないでくれたら
ボンガル
複数のエリアにコマを置いていき、各エリアでコマが一番多いプレイヤーがそのエリアを取る。このエリアマジョリティーというシステムは、ドイツゲームの王道だった。『エルグランデ』など90年代後半から2000年代前半にたくさんの作品が生まれたが、現在ではすっかり下火になっている。
エリアマジョリティーの面白さは、最後の1個で形勢が一気に変わるところだ。ひとつのエリアにみんな同じ数だけコマがある。このままでは誰も1位を取れない。そんなときに、1個だけ置いて1位になる。しかしそんな抜け駆けは許されない。誰かが1個置けば、ほかの人も対抗して1個置く。そうやって張り合っているうちに、ほかのエリアをちゃっかり取られてしまうのである。そんな濃厚な駆け引きが醍醐味だが、現在では重すぎるせいかあまり作られなくなった(『八分帝国』のような、短時間に凝縮してライトにしたものはある)。
このようなエリアマジョリティー全盛時代にゴルトジーバー社から発売された作品。デザイナーは『ブラフ』のボーグと『エルフェンランド』のムーンである。どちらもアメリカ人だが、ドイツ年間ゲーム大賞作家としてネームバリューが高かった。その内容は、3種類のコマで行う複雑なエリアマジョリティーである。テーマはオーストラリア先住民のアボリジニだが、極めてアブストラクトである。
盤上には10のエリアがあり、それぞれカードが置かれている。手番にはそのうち1枚を選び、カードの指示に従って盤上にコマを追加したり、得点計算を起こしたりする。カードから「サソリ」が出現するとマーカーが進み、マーカーが最後までいくとゲーム終了(終了タイミングが読めないようになっている)。
得点計算は、「先祖」か「長老」というコマを移動して、その移動先のエリアで行われる。3種類(円盤、キューブ、円筒)の種類別に、そのエリアでコマの数が多いプレイヤーに得点が入る。
手番プレイヤーはもちろん、自分のコマが多いところで得点計算を起こしたい。しかし得点計算はすぐに行われず、その前に手札のカードを出して激しい戦いが繰り広げられる。ここで出される「儀式カード」でできることは、ほかのプレイヤーのコマを除去するか、自分のコマを隣のエリアから呼び寄せるか、(そのエリアを諦めて)自分のコマを隣のエリアに移すか。これを全員がパスするまで何周でも行う。
儀式カードは手に入りにくい上に、使いきりなので、ほかのプレイヤーと張り合ってカードを出し過ぎると後が続かなくなる。手札が少ないプレイヤーは、足元を見られることにもなる。できるだけ使いたくないところだが、それでは1位が取れない。どこまで出して、どこで諦めるかの判断が悩ましい。自分より後手番の人は、すんなり1位を譲ってくれるだろうか?
5人プレイで90分ほど。序盤は得点が低い上に、トップは「サソリ」が出たときに減点されるので変な譲り合いが生まれた。「1位、どうぞどうぞ!」しかし中盤に入ると得点が大きくなり、なりふりかまわぬ戦いが始まる。トップを取るためには、下位のプレイヤーを叩くことも辞さないシビアな展開。乱戦模様になりかけたとき、bashiさんがもう1枚出すか出さないか迷ってから、「(後手番の人がこれ以上出さないことを)信じる!」といって出さなかったのがウケた。今の流行ではないかもしれないが、エリアマジョリティーの駆け引きの濃さを再認識。
Wongar
R.ボーグ、A.R.ムーン/ゴルトジーバー(2000)
3~5人用/12歳以上/90分
絶版

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