山形新春ゲーム会 05/01/03-04

YBGC主催による温泉ゲーム会は2003年から始まり、今年で3年目となる。次第に恒例化してきたとはいえ、5回目となる今回は土日がかみ合わず慌しい正月。そんな中、早朝から7時間かけて青春18きっぷでいらしたかゆかゆさん、筑波山温泉から5時間かけて車でいらした神尾さん、そして休みをとって鶴岡からかけつけてくださったStさん、残念ながら休みは取れなかったものの日帰り強行軍で午前0時まで遊んでいかれたmuraさんと上野さんとで6人。みなさん生活におけるボードゲームのプライオリティーの高さを物語る。

私にとってまともにゲームをするのは4ヶ月ぶり。飢餓感、そしてゲーム勘の鈍りからがすっかり新鮮な気分である。始まる前からこれだけそわそわしたのはいつ以来だろう。昨年のエッセンで入手したものに国産ゲームを織り交ぜ、一卓で休憩もろくに入れずサルのように遊び続けた。

カーリーの両眼ケンドーニースマギファブ・フィブポルノスター妖精ラブでんじゃらすじーさん2シチリアーノスごきぶりポーカーゲシェンクワズ・バラズ太った悪魔カサノバ大大阪建築作品ディ・スタッド|こんなものどんなもの|ゼンドー|カタンがたいへん

カーリーの両眼(Die Augen der Kali / A.Randolph / Schmidt, 1993)

カーリーの両眼彼女が眼を開けたとき……全てが終わる

 荒れ狂うインドの女神カーリー。鬼子母神のもとにもなった残虐な女神だ。この神殿に忍び込み、カーリーが目を覚ます前に宝石をがっぽり集めてこよう。奥に進めば進むほど、たくさんの宝石をもらえるけどリスクも高くなる。ここで引くか、それとももう1歩進むか?
 というわけで去年のエッセン中古ブースで買ったインドをテーマにしたゲーム第1弾。やることは簡単で自分の番になったらカードをめくるだけ。足跡マークが出ればコマを進めて宝石ゲット。石版マークが出れば足元の石版がバリっと音を立ててしまった! すぐ逃げ戻ろうというわけでバースト、あまりに焦って逃げるので手持ちの宝石もいくらか落としてしまう。カードは足跡マークが出続けている限りいくらでもめくって進めるが、バーストしてしまったら元の木阿弥だ。
 しかしそれよりももっと怖いのはカーリーが目を開けたときだ。めくったカードがカーリーの眼マークだったらまず片眼が開く。こわい〜!といのうわけでもちろんバースト。ここからはリスクがさらに高まるが、獲得できる宝石も2倍となる。
 2回目にカーリーの眼マークをめくってカーリーの両眼を開かせてしまった人は、残念ながらカーリーに首をちょん切られてしまう。う〜ん残虐。残った人で宝石の一番多い人が勝ち。
 1,2歩で手番をやめてしまうチキン野郎のために、特殊ルールがある。「え〜、そんなところでやめてしまうの〜?」と思ったら手番の買取を宣言。その人に宝石を払えばめくるめく探検の続きが楽しめる―もちろん自分のリスクで。
 故ランドルフ翁らしい、シンプルかつシステマティックなゲームだ…しかしやってみたらバーストしまくり。中には神殿に1歩入った瞬間バーストする場面もあって、そのたびに手持ちの宝石を落としてしまうものだから、宝石が貯まらない貯まらない。手番買取もできず、ジリ貧が続く。カーリーが怖すぎるのか、みんなが欲張りすぎるのか……みんな宝石をカーリーに献上しすぎだぞ!

ケンドー(Kendo / K.Budden / Ravensburger, 1989)

ケンドーこれは四人将棋です

15XX年大阪。地方を制圧した大名が城に迫っていく。激しい戦を乗り越えて入城するのはいったい誰か?
 各大名は周辺から中央に攻め込む。しかし彼らの移動力は1しかない。そこで移動力の大きいサムライや足軽が防衛、他の勢力を蹴散らしながら進んでいくのだ。我々の殿様を将軍に!
 要領は将棋やチェスと同じで、自分の番にコマを1つ動かすだけ。移動は六角形の周辺で行うので選択肢がなかなか多い。他のコマのいるマスまでいけば取ることもできる(チェスと同じで再利用不可)。大名が取られてしまったら、もちろん負けだ。
 というわけで四人将棋の様相、箱には20分と書いてあるが、「そんなわけね〜!」…先の先を読んで熟考しないとどうしようもなくなってしまう。肉を切らせて骨を断つ。サムライや足軽は主君のためなら命も惜しまないのが武士道というものだ。
 頭を使う使う、やがてコマが中央に集まってくると一触即発の状況に。一時は千日手になるかと思われたが、中央で見張りをしていたサムライが動いたことから一気に膠着が崩れ、手下が全滅状態だった青の大名(私)が上がりました。
 箱絵にはお面をつけた剣士が竹刀を交えていたが、このゲームどこが剣道?

ニース(Nizza / W.Kramer / Schmidt, 1993)

ニースキャッツ・アイ

強盗団が港町にやってきた。全身タイツをまとった彼らはスパイダーマンではなかったが、壁の移動が得意技。はしごも使うがロープも自由自在。屋上にある財宝をせしめ、ボートからヘリコプターに乗って「フハハハ……」とか言いながら脱出するのだ。
 ボード上には、道路以外マス目がない。自分のコマの先にはしごを置いてその先に移動したり、ボードに固定されたピンにかけられたロープにつかまってその円周上を移動したりしながら宝物に近づいていく。ロープを回してみて届かないとロープを利用できないとか、はしごの長さが足りなくて宝箱のマスに入れないとか、何ともアナログだ。
 最初に目指すは工具箱。ここで組織が用意した金庫開けセットを受け取る。次に金庫。ここで宝のいっぱいつまった宝箱をゲット! あとは逃げるだけ。海上に浮かぶボートからはしごを使ってヘリコプターへ。先着1名様のご案内でございます。つまり残りの人は警察に一網打尽ということだな。
 自分の番には5つのサイコロを振って、それを1つずつ実行していく。道路を歩く、ロープをかけかえる、ロープで移動する、はしごで移動する、かばんを開けるor運ぶ、そしてライバルを蹴落とす……そう、このゲームでは自分の手柄だけのために大切な仲間を、ビルから叩き落すことができるのだ。はしごの長さ以内にいる仲間は、ビルから地面にまっさかさま、もんどりうってそのまま海にドボン。でも死にませんよ? 海から這い上がって再びビルをめざします。
 サイコロの出目を見ながら、どうやったら一番進めるのか行動の順序を考えるのが楽しい。うまく組み合わせれば、1回の手番でボードを半分も移動することも可能。思い通りの眼が出ないと足踏みということも。なお先に進むほど進みづらいようになっていて、序盤出遅れた人も努力すれば追いつけるようになっている。最後のヘリコプターをめぐって殺到し、次々と海に蹴落としあう光景は笑う。
 クラマー先生を前面に出した作品で箱には「ベストデザイナーゲーム」と書いてあったり、黒髪フサフサの写真が載っていたり。でも注目されていなかったのはシュミット社だからだろうか。ロープのギミックや立体感あふれるボードは上出来。

マギ(Magi / A.Yayoimori / Grimpeur, 2004)

マギグランペールから昨年冬に発売されたカードゲーム。これで今年はクク、グラグラカンパニーに続いて3作目と元気なグランペール。少量生産のコスト高にもかかわらず、コンポーネントはどんどんよくなってきており、2005年の活躍も期待されるところだ。
 ゲームは3つの王国を渡り歩く魔法使いとなって手札のカードを全てなくすことをめざす。前の人が出したカードと色または数字が同じカードを出し、出せなければ山札から引くのが基本。灰色のカードはジョーカーで、しかも次の人にカードを2枚引かせるなどの邪魔ができる。手札が1枚になったら「マギ!」、上がった時点で他の人は手持ちをマイナス。
 灰色のカードのうち、ドロー2を出されたら、ドロー合戦が始まる。誰かが出せなくなるまで続け、引く枚数は増えていく。このガマン比べが熱いっちゃ熱い。
 モンスターメーカーと同じイラストレーターを起用、フレームも金属調になっておりインテリアに最適といったところか。フェイズを用いたルールの記述は興味深い。このルールを見る限り、今はウノと9割まで近似しているが開発当初は別のゲームだったのかもしれないなどと勘ぐってみた。
 メーカーのサイトにはこのゲームの特徴が説明されている。その中でウノと差異化する部分は以下の3つ。これらによって全く別のゲームになるのか否かは、読者の判断にお任せしたい。
1.「カードをたくさん引かされても、それが負けにはつながりません」→強力な魔法カードによる一発逆転の要素
2.「ドローカードの使いどころを間違えると勝てません」→ドローの応酬
3.「自分が上がっても、トータル失点で負けては勝ったことになりません」→ラウンド制

謝辞:ゲーム提供・山上氏(グランペール)

ファブ・フィブ(Fab Fib / S.Albertarelli / Kidultgame, 2004)

ファブ・フィブウソも方便と

2004年、それまでダイスゲームだけだったミラノのキダルトゲーム社は中箱のコヨーテ、そして小箱のカードゲームを立て続けに出し、ドイツゲーム市場で高い評価を得た。カードゲームはこれまで5タイトル発売されているが、いずれもイタリア人らしく簡単なルールでワイワイ盛り上がるようになっている。
 その筆頭格ともいえるのがこのウソつきゲーム。ゆうもあの日本ボードゲーム大賞でも入門者部門にノミネートされた。
 カードを3枚引く。それを数の大きい順に並べて数字を宣言。ウソでもよい。次の人はカードを受け取るかダウトをかけるか。カードを受け取ったら何枚かを交換して前の人よりも高い数字を宣言しなければならない。「765!」「866!」「986!」「……987」「ダウト!」
 カードは何枚でも交換できるが、前の人より高い数字を宣言しなければならないため正直でい続けるのが難しくなってくる。どんどんウソをつかざるを得ない状況に追い込まれていくのだ。前の人が引いた枚数から手札をあらかた予想することも可能だが要注意、もしかして一番最初からウソを言っているのかもしれないのだから……。一か八かのカード交換で狙いのカードを見事引けるかどうかのギャンブルも醍醐味。
 負けるたびにヒットポイントを失い、ヒットポイントを失った人から抜けていく負け抜け方式。1人が生き残るまで遊ぶが、サクサク終わるから先に降りた人が待ちぼうける心配はあまりない。むしろ、残った人たちの顔色を眺めている方が楽しいとも言える。ウソをつけない人とウソをつけないふりをする人を見分けるのが難しい。
 ルールを読むだけではどこが面白いのかぴんと来ない。これだけのルールでどこが面白いのだろうかと。しかし遊んでみて初めてルールが引き起こす悩ましい事態とその面白さに気づく。けだしこういうものをよいゲームというのだろう。
 同梱の日本語ルールは訳者の私が「全員が手札をもつ」と勘違いしたため間違っている(ついでにタイトルまで!)。バネスト経由で購入された方は訂正されているようですが、念のためこちらでダウンロードできるようにしましたのでどうぞ(PDF、36k)。

ポルノスター(Project Pornstar / Anonymous / Papergames, 2004)

ポルノスター何でも芸術といえばOKなのか

ゲーム箱の中にさりげなく入れておいたこのゲーム、夜遅くなってからの切り札にと思っていたがお目が高い方々の要望で遊ぶことになった。雰囲気はアメリカンだがれっきとした(?)ドイツゲーム。昨年のエッセンで発売されたものだが、シリアルナンバーが入った限定版である。そりゃ限定しないとねえ。
 ☆印の多い男優、女優、アダルトグッズをちりばめて豪華なポルノビデオを作る。いろいろな意味でゲンナリの★印俳優は収益マイナスだから注意。手札は誰につけてもよく、お互い足を引っ張り合うことになるいわゆるミルボーンタイプで、最初の構想からかけ離れたダメな作品を泣く泣くリリースなんてことも。
 muraさんの紙袋女優が張子で男優のカマをほったり、神尾さんが超豪華レズショーを作ろうとしていたところに一人がAIDSと判明して撮影がキャンセルになったり、それでも負けない神尾さんは今度は超豪華ホモショーを制作し始めたりとみなさんキワモノ系がお好きな様子。私のところには必ず乳首ピアスが登場していた。かゆかゆさんは正統派、Stさんは獣路線? 最後は派手な俳優を揃えた上野さんが、収入3倍のカードで一気にごぼうぬき(キュウリぬきではない)、初代ポルノスターになったというお話。
 ……たいへん下品で申し訳ありませんでした。

妖精ラブ(Feenbalz / A.Michaelis, G.Deininger / Drachenland, 2004)

妖精ラブなんかチョーダイ(はーと)

好きな女の子にプレゼントという文化は妖精の世界にもあるらしい。もっとも、そのプレゼントとはカラスの羽根や昆虫だが。食べるのかな?
 まずはプレゼント集め。山札から引いてもいいし場札と交換してもいい。プレゼントには羽根、昆虫、お花、石ころ、きのこ、貝の6種類があるが、手札には上限があるから満遍なく集めておくというわけにはいかない。どのプレゼントを集めればいいかは、他の妖精の出方次第。
 さてある程度プレゼントが集まったら「求婚」を宣言する。女の妖精がめくられますよ〜……とその前に、他の人にも求婚チャンス。告白タイムに参加するには、プレゼント3つが必要だ。参加する妖精が出揃ってから、女の妖精が登場。ゲゲ……かわいくねえ。まあ、美しさの基準なんてものは種によって変わるのかもしれない。
 女の妖精はそれぞれ好みがある。「あたしって虫きらいな人なの〜でもお花なら歓迎だわ。赤いものもだ〜い好き。」これでせっかく出した参加料のプレゼントがおじゃんになったりすることも。そんなワガママに付き合ってあげなくてはならないのが男の宿命か。手札からプレゼントを補強して、一番ポイントの多かった妖精が花嫁ゲットとなる。5匹の妖精をゲットした人が勝ち。妖精の世界は一夫多妻なのか?
 どのタイミングで求婚宣言するかが面白いところ。全員手札を溜め込んだところでは勝ち目がないと思ったら、手札の少ないところで敢えて宣言してみる。参加料のプレゼントが大当たりして気に入ってもらえれば速攻だ。
 一か八かの参加料、そして手札のマネージメント、求婚宣言のタイミングの見極めと、カードゲームらしい楽しさがいっぱいつまっている。昨年のエッセンでKKK(クリムズス・クリムスクラムス・キステ)に委託販売していたマイナーなメーカーだが、なかなかイカしていて今後が楽しみ。
 しかしいかんせん、この女の妖精の醜さといったらモチベーション下がりまくり。ポルノスターの女優を入れて遊んでみようか?

でんじゃらすじーさん2(Dangerous Ji-san 2 / Anonymous / Konami, 2004)

でんじゃらすじーさん2元気なお年寄りが増えている

かゆかゆさんは、国産ゲームを一通りチェックしている。それがたとえどんなに低級であっても……このゲームが低級だと言っているのでは決してない。
 山札から順々に1枚ずつめくり、指示に従う。「左にわたすのじゃ」「右からゲットだよ」「左とジャンケン」…そのたびに手元のヒットポイントは左に右に。なくなったらゲームから抜けていき、生き残った人が勝ち。
 カードの中に「じゃい!」「ゲベ!」とかいうカードが入っている。これが出たらすかさずポーズ! 一番遅い人や間違った人がヒットポイントを失う。おなじ「ゲベ!」でも指を1本たてるか2本たてるかの指示があって、一筋縄ではいかない。
 そして特筆すべきは「土下座」 このカードを持っている人は(リアル)土下座すれば1度だけ不利なことを免除してもらえるという、プライドを捨てたカードだ。このカード、ゲーム会で1回だけ使えるという風にすれば使い勝手がよいかも。もちろん、使うかどうかはその人のプライドしだいだが。
 より深く楽しみたい方は単行本を購入しよう(するか?!)。

シチリアーノス(Sicilianos / F.Czarnetzki / Zoch, 2004)

シチリアーノス表と裏

このところ粗製濫造気味のツォッホ。メビウスも全部は扱っておらず、名古屋や広島がこれを補完しているようなかたちだ。ウィルス一味ぐらいからだろうか、このカードゲームは昨年のエッセンでは数少ない大人用ゲームだが、注目度はそれほど高くない。
 シチリアーノスはシチリア島の貨幣だ。マフィアは闇金をマネーローンダリングしたがっている。そこでアンティークショップとか、レストランを作って表向き健全経営したいが、店を作るには他のマフィアとの抗争が避けられないのだった。
 抗争が避けられないとすれば、まずは勢力を築いておかなければならない。ところがどのファミリーの手下が集まってくるかは運次第。サイコロを振って、対応する色のファミリーから手下を取る。
 手札が溜まってきたら抗争開始だ。手札から1枚、手下カードを裏向きに出し、洗浄したい闇金をビッドする。抗争に参加したい人は、同じく手下カードを出していくが、前の人が出したファミリーは不可。抗争に参加したくても、せっかく溜めたファミリーを前の人に出されていたら泣く泣くあきらめるか、次の抗争を待つしかない。
 参加したい人が一通りカードを出したところで一斉オープン。カードの数字の強さを見て、撤退するもよしさらに戦うもよし。残った人で2周目、3周目と戦っていき、勝ち残った人がお店を開く。同じ色の3件お店をたてるか、誰かの闇金がなくなったときに一番きれいなお金を持っていれば勝ち。
 カードの中には、強い手下を吹き飛ばす爆弾、爆弾から要人を守るボディガード、他のファミリーに相乗りして分け前をもらう寝返りがあり、一斉に公開した後で思わぬドラマが生まれる。強大なファミリー同士で相討ちした結果、タナボタ勝利が3番目に転がり込んでくるなんてことも。
 偶然なのか分からないが、妖精ラブととても似通っている。手札を集めて、ある時点で競りになり、勝った人が獲物をもらい、獲物が溜まったら勝利というシステム。抗争を仕掛けるタイミング、また抗争に参加するか否かの選択に駆け引きがあって楽しく、いいゲームだなあと思った。人数が多いと後半グダグダになることもあるが。

ごきぶりポーカー(Kakerlakenporker / J.Zeimet / Drei Magier, 2004)

ごきぶりポーカー山形じゃこういうのをハエというのかい?

近頃巷を賑わせているのがこのゲーム。ドイツ年間ゲーム大賞の推薦リストに入った時点ではさほど反応がなかったが、アラカルト・カードゲーム賞でサンファン、サンクトペテルブルグに続いて3位に入った頃から日本でも紹介され始め、色々なサイトで絶賛されたことで品薄になっているという今日この頃である。韓国語ルールが入っているのに日本語ルールが入っていないとか、箱が異常に小さいとかいう事情はこちら(日本と韓国のボードゲーム事情に関するドイツゲーム情報誌の記事)。
 カードはみんなの嫌われ者ばかり。「ゴキブリ」とかいいながら手札からカードを相手に渡す(誰でもよい)。ウソだと思ったらダウト。ウソだったら渡した相手が、ホントだったら受け取った人がそのカードを引き取って自分の前に並べる。ウソかホントか自信がない、またはホントだと思ってダウトが言えなかったらカードをこっそり見て、別の人に回す(誰でもよい)。そのときに前の人と同じく「ゴキブリ」というか、「ハエ」というかはその人次第。
 ダウトを言ってリスクを背負うよりも、別の人に回した方がいいんじゃないかと思ってはいけない。次に受け取った人がダウトをかけて負ければ結局自分が引き取らなければならないからだ。「これはゴキブリぢゃない、ハエです」「う〜ん、確かにハエだ」「いや、これはやっぱりゴキブリですよ」……そんな風にして回ってきたカード、確信をもってダウトと言えるだろうか?
 できればほしくない動物や虫たちばかりということもあって、ゲームは盛り上がる、盛り上がる。ポーカーフェイスも重要だが、それ以上に演技力がものをいう。微妙な間をつくってみたり、気をそらしてみたり、わざと吹きだして見せたり。ゲームは同じ動物or虫を4枚集めてしまうか、他の人に渡す手札がない人が負け。それで終わり。負けた人はエンガチョー。楽しい楽しい。同じブラフゲームでもファブフィブとはまた違った魅力を持っている。
 メビウス訳は(おそらく意図的に)手札を山札にして上から1枚ずつ出していくことにしている。ドイツ語ルールには「カードを選んで出す」という記述があるので手札にもつのが正しいのだろうが、これによって意図的な攻撃ができる分、終盤はカウンティング主体の別なゲームになってしまう。それもよしあしだろう。それからカードは配りきりが原則だが、ドイツ語ルールには「人数によって余った分は無視する」という記述があるので、同じ枚数になるようにした方がよい。ゲームで使わないカードがあると、カウンティングにも限界が生まれて楽しめるかもしれない。あと人数多めで遊ぶときは、カードが分散して終わりにくい状況が生まれるので3枚でアウトにするのも一手だ。

ゲシェンク(Geschenkt / T.Gimmler / Amigo, 2004)

ゲシェンクほしがりません、勝つまでは

昨年のエッセンで発売された新作カードゲームではピカイチの評判。極端にシンプルなルールから引き起こされるパターンの多様さに驚かされる。
 場札に1枚。これを受け取ったらその数字だけマイナスなので、受け取りたくなかったらパスする代わりにチップを払う。こうして何周もしているうちにチップを払うのをあきらめたら、そのカードとそれまでに貯まったチップを全部受け取る。そして次のカードをめくる。一定枚数だけ繰り返したら終了。残りのチップからカードの数字を引いてマイナスの少ない人が勝ち。
 面白さのキモは、カードが連番になると一番少ないカードの分しかマイナスにならないところにある。「23」をもっているときに「20」が出たら取るか、取らざるか? 連番にするには「22」と「21」も集めなければならない。集めおおせればマイナス20、集められなければマイナス43だ。予め何枚かカードを抜いておくので、「22」や「21」がゲーム中結局出てこないままなんてこともありえる。
 取るとしても、できるだけチップが貯まったところでとりたいもの。でももう1周するまでには他の人が取るかもしれない。他の人はどのカードがほしそうか?……などと悩ましい。
 惜しむらくは淡々と遊ぶと淡々と終わってしまうこと。「はい、もらいます。」「じゃあ次ね」みたいに落ち着いてやらないで、「おりゃー来い!」「このカードだけは死んでも取らないぞう!」などと盛り上がる努力が必要な気がした。

ワズ・バラズ(Waz Baraz / S.Albertarelli / Kidultgame, 2004)

ワズ・バラズお色気に流されるな!

20人の魔女が輪になって踊っている。その中からダンスリーダーを見つけ出すのがプレイヤーの任務だ。ほらほら、若いねーちゃんに見とれていないで!
 親が20人からこっそりと2人、ダンスリーダーを選ぶ。残りの人はカードを出し、例えば「1番から7番!」というように魔女を指定する。指定された魔女の中にダンスリーダーがいれば親は「ワズ!」、いなければ「……」。次の人も順々にカードを出し、「9番から12番!」「……」「14番から20番!」「ワズ!」「1番から5番!」「……」。
 こうしているうちに消去法でダンスリーダーがだんだん特定されてくる。予想がついたら手番の前に宣言。当たっていればポイントをもらって次の親となり、外れていれば親がポイントをもらう。ポイントは魔女の輪の上のコマで表し、1周、つまり20点取ったら勝ち。
 予想が1周するたびに親に1ポイントずつ入るので、長引かせてはいけない。魔女の輪の最初で予想を終えられれば、親にこっそりとヒントを教えてもらえるぞ。
 すごく頭を使うゲームだと思いきや、2,3周で確信に近い予想がついてしまうことがわかった。あとは一度目星をつけた魔女や他の人が外した予想を忘れない記憶力が大事だ。頭を使うといえば使うが、それほど重苦しくもない。魔女イラストの露出度がやや高めなので小さいお子様にはお勧めしにくい分、ある層の大人には訴えるだろう。短時間で頭の体操(または魔女の鑑賞)をするにはもってこいだ。

太った悪魔(Dicke Damonen / H.Glumpler / Edition Erlkonig, 2004)

太った悪魔ヒモとコマだけで

見るからにシュールなこのゲーム、昨年「山火事」でヒットしたグルンプラー/エアルケーニヒの作品だ。4色のヒモは地・水・火・風を表し、それぞれの世界の交点で天使と悪魔が覇権を争う……というコンポーネントを見ただけではとても思いつかないような壮大なストーリーが用意されている。
 自分の番には手持ちの4つのコマから1つを配置する。赤いコマ(火の悪魔)は赤いヒモに沿って、青いコマ(水の悪魔)は青いヒモに沿って(以下同様)、交差点に配置する。ただし白いコマ(天使)だけはヒモで区切られたマス目の中心に。天使を置いたマス目にはもう悪魔を置けない。天使って本当は怖いんですよ。
 ゲーム中1回だけ、優勢になるであろう色を予想する。悪魔は単独最多のエリアから交差点の数+結び目の数だけ得点できる。天使は置かれたコマの数。外側のマス(アウターゾーン)も数えますよ。
 誰もコマを置けなくなったところでゲーム終了。予想した悪魔or天使の得点が一番多かったら勝利。だからある程度育てつつ、今後どの色が伸びそうか先見の明をもつことが勝利のポイントとなるだろう。1回20分で終わるので、何度か遊んで先読み能力を培っていくのが楽しそうだ。

カサノバ(Casanova / N.Neuwahl / Kidultgames, 2004)

カサノバ結局は度胸がものをいう

トランプとサイコロ3つ、あとポーカーチップがあればこのゲームを買わなくても遊べてしまえるのではないかと、私はルールを見ていて思ってしまった。アブストラクトで有名なノイヴァールが突如としてこんなギャンブルゲームを作ったのも驚き。
 親は振るサイコロの数(1〜3)を宣言してカードを1枚伏せて出し、チップをのせる。子もカードを伏せて出し、チップをのせたら実際にサイコロを振る。サイコロの合計以下で一番大きい数字のカードを出していた人が勝ってチップ総取り。
 サイコロを振ってから親はチップを1枚上乗せすることができる。ここがこのゲームのポイントだ。子は賭けに応じるならば上乗せし、勝つ自信がなければ降りる。そしてカードをオープン。あれ? 親が意外に小さい数字……ブラフだったのか!
 出したカードは使い捨てで、13枚のカードが1枚になるまで12回、親を交代しながら繰り返す。だんだん出せるカードが少なくなっていくから、親になったときいくつサイコロを振るか、子になったときどのカードを出すか、単純なようでいて深い。

大大阪(Die Die Bang / M.Nakamura / Yellow Submarine)

大大阪日本のどこかにありそうな物語

去年のエッセンでは日本から3団体が出展していた。そのひとつがこれで、併設されているドイツ版コミケ「コミック・アクション」から客が流れてきて予想を超える売り上げだったらしい。架空の都市を舞台に事件を解決して報酬を集めるボードゲームだ。
 まずさまざまな特殊能力を持ったキャラクターを選ぶ。選ばなかった残りを次の人に渡していく「フェレータ・操り人形」方式が採用されており、他の人が何を取ったか予想しながら、自分のキャラクターを選んでいく。
 つぎに市内のいくつかのエリアに事件が発生する。このいずれかに行き犯罪力や情報力を使って解決していくが、他の人も同じ事件に来ていたら協力するもよし、対決して追い払い、独り占めするもよし。事件を解決できれば報酬がもらえ、経験値が上がる。
 一度沈み始めるとまず這い上がれないアメリカンな作りになっていた。私は弱っちい親分となって戦闘力を高めたStさんにいつも追い払われ、泥棒で生計を立てる毎日。それはつらい日々でございました。もっともそれは、デザイナーの意図するところだったのかもしれない。カードの質やイラストの美しさは特筆に価する。テーマもアングラではあるが多分に日本的で妙に落ち着けた。

建築作品(Bauwerk / K.Yun / Yungames, 2004)

建築作品スプロール現象

アバンギャルドな建築が楽しめる2人用ゲーム。メーカーのユン/ユンゲームズはまだまだ同人ゲームの域を出ませんが、他のデザイナーやメーカーにはない何かを持っているように感じる。このゲームは限定版。「増産したら限定版だと思って買ったお客様に申し訳ない」とユン氏は語る。
 このゲーム、橋とビルを使って自分の色のマス4つを全てつなげるのが目標だが、縦・横・フラットの3種類の置き方を全て使わなければならなかったり、途中寄り道せずにつないだら高得点だったり、そうはさせまいと相手のビルに相乗りしたりと、展開に幅がある。
 相手の邪魔に専念した方がいいのか、自分の得点を伸ばすことに専念した方がいいのか、何度か遊んだけれども今ひとつ分からない。奥が深いのか、それともルールが練れていないのか。研究したい人募集中。

ディ・スタッド(Carcassonne - Die Stadt / K.-J.Wrede / Hans im Gluck, 2004)

ディ・スタッド箱庭療法

カルカソンヌとカルカソンヌ2(さらにはアーク)のどれがいいか、拡張は何を入れたらいいか?――よくそんな議論を耳にするが、私はカルカソンヌだけで十分、それを遊んだことがあるなら他はやらなくていいでしょうという意見だ。変化を楽しみたいという気持ちは確かに分かる。バランス云々とか戦略的広がりいう声もきく。しかしいずれにしてもそれほどの違いはないし、そもそもカルカソンヌの本質は「タイルを置く、そこにコマを置く」というその軽さ自体にあるからだ。多数の拡張が出ているが、最初に出た「川」を除いてそのほとんどが持ち味を損ねているような気がしてならない。
 最新のカルカソンヌは周囲を壁で囲っていくことによって置かれるタイルを制限するようになっている。壁にコマを置けば、そこから直線状に並んでいるタイルの「歴史的建築物(灰色の建物)」から最後に点数が入る仕組み。壁が登場するのは中盤からで、それまでいつも通りの陣取り競争をしていたのが一転して景観を争うようになるのが面白い。
 しかしこのカルカソンヌにおいても、持ち味を損ねたという感触は否めない。中盤から壁が出てくると、得点計算のたびにいちいちゲームを中断して壁を配置するようになるのがまどろっこしく思われてしまうのである。
 クニツィアの2人専用カルカソンヌ「ブルク」も外したようだが、今度のニュルンブルクではまた拡張が出るらしい。「カルカソンヌの売り上げでゴアを作る」ハンス社、カルカソンヌの拡張ってそんなに売れるものなのだろうか?

カタンがたいへん(Siedler im Not / K.Teuber / Kosmos, 2004)

カタンがたいへん困りませんでした…

海カタンの醍醐味は2つある。ひとつは机いっぱいに広がったボードを探検していく楽しさと、もうひとつはシナリオの特別ルールによるドラマだ。作者のトイバーはこのところ毎年エッセンで配布される「カタンニュース」に新しいシナリオを発表しており、古いゲームを末永く遊ばせようとする態度は好感が持てる。というわけで、最新のトイバーシナリオに挑戦。
 中央の島から外にある3つの小島に広げていく。ところが小島には最初、チップのないタイルや砂漠がある。ここに開拓地を建てたらどうするか。そう、中央の島からチップやタイルを移動してきてしまうのである!
 チップやタイルの移動ルールは、
1.自分の開拓地または都市が面しているもの
2.取った結果何も取れない開拓地や都市ができてはならない
3.1かつ2が守れなければ1を無視する
4.2も守れなければ1も2も無視する
である。砂漠化していく中央の島を、どのタイミングで脱出するかがポイントとなるだろう。
 ところが今回は、内陸からスタートしたStさんとかゆかゆさんが中央の島だけで大方の成長を済ませてしまい、苦労して小島に向かった神尾さんと私が伸び悩む中、さっさと10点に達してしまった。寂しい小島が取り残され、トイバーさんの負けといったところか。
 でも年に1度はカタン。いいものだ。

YBGCレポート(muraさん)

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