サトウキビ








圧搾機には必ずといっていいほど鈴が付いていて、回るたびいい音がする
サトウキビジュース屋

インドで一番暑いのは4、5月なのだが、ホーリーを境に暑さが強まってきた。インド料理の辛さは暑さの中で食欲を出すためにあるのだろうが、汗だくになると辛いものを食べる気も失せる。そこでどうしても手を出したくなるのがサトウキビジュースだ。
ワドガオンシェリのような村でも、ところどころにサトウキビジュース屋さんが開業する。手動の木製圧搾機を備えた屋台も登場するほどだから、結構人気があるのだろう。
まず2メートルほどのサトウキビの皮を削って3等分ぐらいにしておく。皮を削らないと土などの不純物がジュースに混合してしまうからだ。それを圧搾機に入れる。出てきたものを2つに折って入れ、さらに2つに折って…というように最後は8つに折るまでつぶして汁を搾り出す。圧搾機の下には皿が付いており、絞り汁は皿を伝って容器に入る仕組みだ。途中でレモンも一緒につぶす。これによってサトウキビの青臭さがだいぶ緩和される。







液体はやや緑色で、泡が浮いている。爽やかな甘さ
サトウキビジュース

コップ1杯5ルピー(13円)。市内も村も値段は変わらない。チャイと比べれば2倍もするが、ひっきりなしにみんな訪れて飲んでいる。ただの糖分だけでなく、栄養があるらしく、飲みすぎなければ夏バテ解消になるだろう。
当初このサトウキビジュースは、飲むのがためらわれた。まず圧搾機にたかっているハエにたじろぐ。コップも少量の水で洗うだけ。そしてサトウキビジュースに入っていた氷で腸チフスになり、日本に帰国してすぐに何ヶ月も隔離入院させられたというAさんの話。だから最初飲んだときはできるだけ客の多い店を選び、それでもロシアンルーレットのような気持ちで飲んだ。
しかし今は、辛い昼食を食べた後など、気軽に飲んでいる。そのお陰で体調がいいとは思えないが、何とか過ごせているのはサトウキビジュースのおかげかもしれない。
夜に食事に出ようとすると、今日向かいの部屋に引っ越してきたばかりのおじさんに呼び止められ、夕食をご馳走になった。朝からたくさんの人が出入りしていて騒がしかったが、夜は屋上で友人や親戚20人ほどに食事が振る舞われている。その1人が携帯を見せてくれ、部屋を見せてくれ、パスポートを見せてくれと謎の要求をしてくる。さすがに「見たってちっとも面白くないよ」といってパスポートは見せなかったが、部屋でノートパソコンを見せると声を潜めて「セクシーピクチャーはない?」と訊いてくる。「セクシーピクチャー!?」と声を張り上げると、「シーッ、シーッ! 隣りの家に聞こえちゃうよ…」さえなさそうな男だったが、帰ってからこのやり取りを思い出しておかしくなった。

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