『下流社会 新たな階層集団の出現』

能力主義の広がりによって、収入の差はどんどん広がっている。一億総中流時代が終焉し、ごく一部の上流、そして多数の下流が生み出されようとしている。この本では広範な社会調査から、下流に典型的な意識や行動を探り、階層が固定化しないように下流優遇で教育の機会を与えるなどの提言まで行う。
統計の母集団数がやけに少ない場合があることと、意識が低いから下流化するのか、下流化するから意識が低くなるのかといった因果関係が逆になっているような書き方が見受けられ、納得できないところが多かった。
多くの場合、お金がないことが意識低下の原因であろう。子どもに外国語を身に付けさせたい、留学させて国際的に活躍させたいなどという発想は、経済状態が安定していないとなかなか出てこない。
しかしその一方で、しつけに無頓着、夜遊び歩くといったポリシーのなさが下流化に結びつくという説も納得できる。毎日の生活にポリシーや社会人としての自覚があることは、下流化しないために必要なことだと思った。
男性の類型で「ロハス系」というのがある。Lifestyle of Health and Sustationabilityの略で、スローライフ志向を指す。階層は上中下いずれにもいる。これが私が趣味としているボードゲームの愛好者層とかなり一致している。「自分の趣味の時間を増やしたいと考えているが、とはいえ忙しいので、それほど趣味の時間が多く取れるわけではない。よって、雑誌、本などを見て代償する日々が続く」「やや古めかしいアナログ趣味の世界に浸るのも好き」「インターネットに自分のサイトを作って、会社以外に人脈を作るのにも熱心」「生活の中で大事にしていることは『創造性』が高い」など。

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