2つの閉店

つくばで家から一番近かったスーパー「リブレ京成」が2月いっぱいで閉店することになった。雑貨・文房具全3割引セールをやっていて、いつもは静かな店内(だから閉店なのだ)がハイエナで埋め尽くされていた。私もそこにいたわけなのだが。
それでも29年間やっていたらしい。食料品の質はよかったが値も張るので、何かちょっと足りないときにしか使っていなかった。近所の人の話でも皆そういう使い方をしていたらしい。だから閉店になったのだろう。
でもいざ閉店というと寂しいもので、店長になったつもりで店内を見回し、感傷的な気分になってしまった。おそらくこの跡地に別の店が入ることはないだろう。日本のどこでも起こっていることだが、郊外に大きなショッピングモールができており、人の流れはそうやすやすと取り戻せない。
そして今度は山形。先代からずっと毎月雑誌を配達してくれている本屋さんが支店をたたみ、社員を全員解雇して家族だけで営むことにした。そのため配達はこれで最後ですと告げられた。その配達員のおじさんも解雇されることになっており、再就職のあてはないという。
街の本屋さんも大型店舗の開店やインターネット通販の普及で窮地に立たされている。こちらはまだ閉店というわけではないが、何か大切なものを失ったような寂しい気持ちに再び襲われた。
ひるがえってみれば私のお寺は大丈夫だろうかなどと不安になる。スーパーや本屋のように商売ではないからといって安心してはいられまい。戦後世代の宗教離れと葬祭業者の進出はお寺の存在感を薄れさせ、それに過疎化が拍車をかける。
50年後に生き残るお寺として曹洞宗の先鋒・南直哉老師は檀家数が現在1,000件以上あるところか、都市部で土地貸しなどの副収入があるところか、カリスマ住職がいるところしかないという。実際、何百年も続いてきたお寺でも自分の代で終わりだと思っている住職が結構見受けられる。
お寺とて危機感をもって時代についていく努力を怠れば、未来はない。そんなことを強く思わせられた、2つの店じまいだった。

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