まごころに生きる

曹洞宗は今月初めに札幌で開かれた梅花流全国大会にて、新曲『まごころに生きる』を発表した。作詞作曲は南こうせつ。九州の曹洞宗寺院の三男坊なのだとか。
お坊さんでない人が作った曲はこれまで古賀政男の『彼岸御和讃』があったが、あれは唱歌のようでいまひとつ。今回はどうなるだろうと興味津々だったが、かなりいい曲だった。
これが一番の歌詞。ホロリと来た。解説では「諸行無常」「諸法実相」を説くという。
(一)そよ吹く風に小鳥啼き  川の流れもささやくよ
   季節の花はうつりゆき  愛しい人は今いずこ
   ほほえみひとつ涙ひとつ 出逢いも別れも抱きしめて
   生きてる今を愛して行こう
旋律の特色はファ音を基調とする四七抜き音階。つまりシとミがない。ド音を基調としない曲は涅槃御詠歌に続いて二曲目だが、長調は初めてである。
それ以上にこれまでにない大きな特徴が、拍速70。たいていの詠讃歌は38〜50だったので、異様な速さだ。この速さでは3,4拍目の鈴が振れないため、鳴鈴は3拍目だけとする。
さらに詠衆は詠頭が唱え始めたら撞木も鈴ももって準備する。いつも通り撞木だけをもっていたのでは、鳴鈴が間に合わない。
……こんな講習会が今日の9:00〜15:00。私は助講ということで講習の手伝いをしていた。昼に鴨そばが出たが、昨日の昼は八郷でしゃもそば、夜は宇都宮で天ぷらそばを食べていたことは内緒にしてある。
講習会が終わってから寺に戻り、16:00から寺役員会。決算・予算の承認など。日記でも以前にまとめたが清め塩、シダミ、六曜は迷信であることを強調し、生前戒名を全員に勧める。
今最も難航しているのが総代人事。総代長が体調不良で辞意を表明し、後任選びが難航している。
かつて総代はしかるべき家(いわゆる庄屋)の当主にのみ許されるポストであった。うちのお寺も基本はその路線だが、そのしかるべき家というのが5件しかなく、その中に後継者がいない家や親族関係にある家があって、総代の定数を確保できなくなった。
となると総代の次に来る地区役員の中から、長年の業績があった人物を繰り上げるしかない。地区役員経験のない人物では、お寺のしきたりを知らないまま総代になってはつらい。
しかも総代は最低10年は勤めてもらいたい役職。そうなるとあまり年配の人に頼むわけにもいかない。60代半ばが限度。長年の業績がある50〜60代というと2,3人ほどしかいなかった。つまり、代々地区役員をしている家で、父親が早くして亡くなり、交替して30代くらいからずっと役員をしているという方々だ。
その中で最も有力とされていた方が、他の業務と家庭の事情を理由に断られた。「気力がない」という言葉は勧誘をあきらめさせるのに十分だった。
そこでどうするかという相談。30ちょっとの住職では、やれと強く言うこともできない。ひとまず経過を関係者に伝えて、互選で決めてもらうか、無理だったら総代に一任してもらうようにしてはというアドバイス。こういう段取りは苦手なもので、たいへん勉強になった。
役員会終了22:30。長い一日だった。明日も朝から法事ですよ。

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