『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』

常識を疑ってみるところから新しい真実が見つかるかもしれない―古今東西の資料を集めて発想術を説いた本。
転倒思考(常識の命題を逆にする)、逆因果思考(常識の因果関係の結果を逆にする)、因果反転思考(常識の因果関係を因果反対にする)という3つの類例を設定する。
ことわざや文豪の例でその3パターンを具体的に観察し、オイディプスの予言では逆説が与える心理的な効果を考察、さらに逆説は欠陥動物である人間に本質的なものであり、それゆえ人類の文明は週末が来ると広げていく。
「ロミオとジュリエット効果、カリギュラ効果(禁止されるとやりたくなる)」「ハンディキャップ進化論(人類は記憶力や体毛が退化したことで言語や火を発明した)」「エラー進化論(人類は失敗を成功の元にして発展してきた)」「エゴイズム的自殺(自由が空虚を生む)」「アノミー的自殺(規範がなくなって不安になる)」など、逆説的なトピックは勉強になったが、最初から最後まで引用ばかりで、筆者自身の見解となると印象が薄い。

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