『疑う技術―ウソを見破る9つの視点』

世の中に蔓延する当たり前が、疑ってみると結構怪しいことがたくさんある。これをセールス(ポイント制は本当にお得?)、数字(予備校・塾の合格率は本当?)、言葉(「××協会」って公的機関?)、「科学的」(梅干が血液をサラサラにする?)、安全(ネット情報の信憑性は?)、メディア(選挙結果予測の報道は正しい?)、通説(学校英語は悪者?)、組織(会議で一致した意見は正しい?)、自分(自分の意見はコンプレックスの裏返しではないか?)というように9つに分類し実例を並べ、注意を促す。
筆者がアンケートの項で述べている「量が少なく、分かりやすく、簡単に読める」本である。その分、掘り下げてはいない。
疑うというのは、真偽を不確定の状態にすることだ。その後、吟味して真か偽かをきちんと確かめなければならない。その吟味に必要なデータやエネルギーがなければ、単なる懐疑主義者でしかない。本書でも、ちょっと考えればウソと分かるような項目(これが殆どなのだが)を除くと、ただ疑っているだけでその先に進んでいないのがやや不満に感じた。
「宗教に入っても大丈夫?」の項目で、疑うポイントとして金銭の要求、無償労働の要求、肩書きの提供が挙げられ、このうちどれか1つでも該当すればカルト教団かもしれないというが、その要求の仕方を問わなければ、少なからずこの3つはカルト以外の宗教団体にも該当する。この3つがない宗教は、非社会的で極私的な「自分教」以外ありえないのではないか。
ネタ帳としてはよいが、項目が多すぎて、ひとつひとつの項目には考察が不十分という印象をもった。

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