鳴鶴楼II

庫裡の建設は順調に進んでいる。小説『大聖堂』では12世紀のイギリスで大聖堂が完成するまで34年かかった。そんな大きな建物ではないにしても、今の大工さんは仕事が早い。電気工具だもんな。
日曜日に家の中に入ってみて、間取りを見る。屋根はもうトタンが葺かれ、窓もほとんど入っているので、完成状態がずいぶん想像できるようになってきた。
ふと、祖母の部屋とトイレ前廊下が壁になっていることに気づく。すぐトイレに行けるように戸をつけるのではなかったか。設計図を見返すと、あれ? 壁だ。
そこで至急、工務店さんを呼んで相談する。幸いまだ修正できる箇所だったので、早速壁の柱を取り外してもらった。ほっ。できあがってから気づいたのではもう遅いものなぁ。
家を新築した人が、できあがってから「ここはこうすればよかった」と後悔するのはよくある話。工事途中でこまめにチェックするのは大事なことだと思った。
2階の窓から外を眺めるとすごい景色。お寺は小高い山の上にある上に、2階が前よりも前に張り出したので盆地がより遠くまで一望できるのだ。稲穂が実り始めた田んぼは緑のじゅうたん。
ここのお寺は江戸時代、米沢から俳人が来て「眺望群れをはなれ、佳景神を得たり」と絶賛して以来、それを聞きつけた上杉のお殿様までがやってきたと伝えられる。お殿様から賜った「鳴鶴楼」の額は寺宝である。
洞松寺の記
お殿様がご覧になったのは庫裡の2階からだったという。今度の庫裡の2階は、さしずめ鳴鶴楼IIといったところか。
ちょうどこの話をまとめた檀家さんの冊子が届けられて、お寺の来し方に思いを巡らせた。
新しい二階からの眺め

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