不偸盗戒

「学道の人は先づすべからく貧なるべし。財多ければ必ずその志を失う(道元)」と戒められる僧侶も、一市民でもある現代においては無所有というわけにはいかない。ただ、都会の大寺院を除きほとんどの場合は収入は普通に就職するよりずっと少ない。
それなのに年間の経費が最低これくらいというのがあるので、やりくりに頭を悩ませなければならない。経費分は非課税だが、その分寄付のお願いがやたらと来る。先日地震で崩れた能登のお寺の復興では、15億円の寄付を集めるという。
そんなわけで1つのお寺で住職と副住職(多くの場合息子)が2人でやっていくのはかなり厳しい。1人いないと困るが、2人いてもまた困るというわけだ。そこで副住職は住職が元気なうちは一般職に就職していることが多い。私にはその経験がないが、なかなか難しい立場だと思う。
ほんとうは若い僧侶が活躍でき、かつ経済的にも安定できる立場がお寺の中にあればいいのだが。昔ならば訳経所、養護施設、保育園などがあったが、すでにお寺はそういう機能を担う力がない。檀家さんの将来を危ぶむ前に、将来を担う若い僧侶の志がきちんと育まれていくのかを考える必要がありそうだ。
法要先で腕時計盗んだ副住職を逮捕

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