『びっくり先進国ドイツ』

ドイツ(ミュンヘン)に長いこと住んでいるジャーナリストが、現地から最新のドイツ事情をお届けする。2004年に発行された本の文庫版。『ドイツ病に学べ』がとても面白かったので著者買いした。これだけの内容が、500円で読めるのは幸せである。
「ドイツ人ってどんな人たち?」「変わり行くドイツ社会」「ドイツ生活を楽しむには?」「ドイツ人と会社生活」の4章に分けられ、各章バラエティに富んだ15前後のトピックから構成されている。いずれも印象批評ではなくて、インタビューや数字を交えていて、読み応えがある。
・仕事上の手紙にはきちんと答えることが強迫観念。官庁に取材の手紙を送ってもちゃんと返ってくる。あわててドイツ人からのメールに返事した
・狩猟民族的な特徴。真冬で外がマイナス十度でも窓を開けて換気したり、夜は窓を開けたまま寝たり、照明が暗くても平気だが、晴天には弱い。寒がりの私には想像できない世界
・教会税は毎月所得税の8〜9%を税務署が天引き。独身サラリーマンで月1万円くらい納める。教会脱退者は増え続けており、20年前は94%いたキリスト教信者が64%に。日本の寺離れと似た現象が起こっている
・新生児の名前は性別が分かるものを付けなくてはならない。どっちでも使える名前では、もう1つ付けるよう求められる。日本よりも無茶な名前が少なそう
・ナチスの建物を保存し、掲示板を立てる。「自国の歴史を批判的にとらえればとらえるほど、他の国々との友好関係を深めることができる」とブラント元首相。自由主義史観とは対極にある考え方だ
・オクトーバーフェストで民族衣装を着る若者が増えている。将来への不透明感が伝統や保守主義に回帰させるのではないかと著者。ボードゲームもそうですね
・「あなたたち日本人は働くために生きているように見えますが、我々ドイツ人は休暇を楽しむために働いているのです」とあるドイツ人。6週間という休暇は個人主義の強いドイツ人が仕事で他人と衝突するストレスを解消するために必要なもの。ドイツ人も楽じゃない
「ドイツ生活を楽しむには?」はミュンヘンのローカルな話が多くてついていけなかったのと、「ドイツ人と会社生活」は新刊『ドイツ病に学べ』のほうがずっと詳しいが、1トピック3ページ半くらいで簡潔にまとめられており、好きなところから読んでもかまわない。ドイツ全般に関心のある方であれば楽しんで読めるだろう。
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