申請大杉

宗務庁に提出した書類が、無事進達された。
もともとは、庫裡(住職と家族の住まい)の改築のときに出した「境内建物改築承認申請」。境内地に建っている以上、手を入れる際は包括宗教法人の曹洞宗から承認を得なくてはならない。そこでは宗教法人法の規定に従って公告を10日間行った上で、責任役員会議の議事録、設計図、工事見積書、収支予算書の添付が必要になる。
この収支予算書の収入の項目に、地元の信用金庫から借り入れがあった。そこで求められたのが「財産担保借財申請」。もし借金の返済ができなくなっても、宗門には一切迷惑をかけないことを誓約しなければならない。この場合も公告を行い、責任役員会議の議事録、保証人(総代さん)による承諾書、印鑑証明書、返済計画書、直近3ヵ年の決算書の添付が必要である。
本来ならば、この2つの承認を得てから借り入れや工事が可能となる。しかし、別の申請の必要が出たり、添付書類が足りなかったりしているうちに3年も過ぎ、借り入れも建築ももう終わっていた。そこで求められたのが「保証借財完了届」と「境内建物改築工事完了届」。金銭消費貸借契約書、収支決算書、工事請負契約書、領収書、写真を添付しなければならない。
これだけでも相当な文書量であるが、ほかにもあった。5年前に宗務庁が全国寺院に問い合わせた不動産異動の回答である。宗務庁が把握している古いデータと、現在のデータに違いがあるものについて、国土調査による修正だとか、道路や水路に提供したとか、誰かに売却したとか、そういう原因を調査して証明書と共に報告することになっていた。
異動があったのは20〜40年前。先代住職の時代で、責任役員の議事録はおろか、何も書類が残っていない。途方にくれて回答をしないできたが、とうとう上記の申請中に回答を求められた。腹をくくって土地家屋調査士の檀家さんに、調査と謄本の取り寄せをお願いする。合筆・分筆・除却ですでに存在しない地番もあり、素人ではとてもできない仕事であった。
その中で所有者が変わっているものについては「財産処分承認申請」をしなければならない。公告(今更だが)が必要で、責任役員会議の議事録、登記簿謄本、固定資産税課税台帳、公図、契約書、寄付受諾書を添付する必要がある。昔のことなので、現存しない書類があることと、責任役員会議は原因不明で承認されたということを記して提出した。
しかも調査中に、県道の一部がまだお寺の土地のままだったことが発覚。県の登記漏れが原因だったので県庁に連絡して、改めて寄付の手続きを行うことになる。これが4ヶ月もかかり、その間にほかの謄本は全部期限切れに。1枚500円なので、取り直すと相当な金額になる。そこで県に苦情を言って公用で取ってもらった。
各種届けや責任役員会議の議事録には、私だけでなく総代さんなど責任役員の実印と印鑑証明が必要。なので新しい申請が必要になるたび、集まったときにお願いしたり、それぞれのお宅にお願いに参上したりした。市役所、県庁、法務局に足を運んだ回数は数え切れない。
その申請がようやく完成し、このたび宗務庁に送られたのである。石の上にも3年、祝杯をあげたい気分だ。もしかしたらまた、不足書類があるといって返ってくるかもしれないが、ひとまずほっとしているところである。

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