大般若箱の箱裏

妻がナツヤスミの自由研究として,明治30年の領収書(筆書き)の解読にチャレンジした。
この領収書は、大般若経が納められている箱の裏側にあったもので、全10箱のうち1箱目に貼ってある。

その解読結果が以下である(○○は読めなかった文字)。
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・百弐拾五圓也大般若経六百巻
 内参圓也 快代引
・四圓五十銭 右運賃 西京(?)払
・弐圓五拾銭 右茶代(?)

差引
金百弐拾九圓也
 外ニ仙臺より送賃
右之通御座候也

明治三十年ノ三月二十三日
八文字屋太右ヱ門 (印 山形 八文字屋 ○○○○)
高橋清兵衛様
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要するにどういうことかというと、

  • 大般若経の代金は125円,内金としてすでに3円は受取済み
  • 4.5円は運賃,2.5円は茶代.茶代は,今で言うチップみたいなものか
  • ということで
    129円を確かに受け取った,ということを言っている.
    (125-3+4.5+2.5=129 と計算も合う)

明治30年の物価は以下のページを見ると(http://homepage3.nifty.com/~sirakawa/Coin/J022.htm)、「米1升15銭」などとあってあまりピンとこないが,小学校の教員が月給10円程度だったことを考えると,この大般若経1セット125円というのは10数人分の月給程度で買うものであり,寺にとっては結構な財産だったことが分かる。

驚くのは、この取次をしたのが今も山形では有名な書店の「八文字屋」ということ。調べてみると八文字屋は、創業300年というからあながち間違いではないだろう(http://www.hachimonjiya.co.jp/p_shop/hi.html)。

そして、「高橋清兵衛」さんの子孫もご健在で、うちの寺の役員をされている。

大般若箱・箱裏

追記:米沢女子短期大学、原淳一郎先生のご指摘により修正。ありがとうございます。

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