おの: 2018年2月アーカイブ

シンガーラ経

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在家信者への教えがまとめられた『シンガーラ経(六方礼経/善生経)』を読解。シンガーラという在家の人が、東西南北上下の六方に礼拝しているのを、お釈迦様が東は父母、南は師匠、西は妻、北は友人、下方は召使、上方は修行者に対応させ、それぞれの奉仕の仕方を説いたお経です。

財を失うものとして説かれる「飲酒六失」はこの頃よくそう思います。酒はもともとあまり飲めないということもありますが、この頃はいろいろな〆切に追われていて、酒を飲んでいる時間がないのが実情です。知り合いで最近「酒をやめた」という方が何人かおり、原則として歩いて帰れる範囲内でしか飲まないことにしました。

酒類など怠惰の原因に熱中するならば、六つの過ちが生じる。すなわち、現に財を損失し、口論を増し、疾病の巣窟となり、悪い評判を生み、陰部をあらわし、智力を弱らせる。

四摂法は、友人への奉仕の仕方として説かれているのが面白いと思います。助けてくれる友、苦しいときも楽しいときも一緒の友、ためを思って話してくれる友、同情してくれる友に対しては、このような奉仕をするべきであるといいます。

施し与え(dāna)、親愛の言葉を語り(peyyavajja)、この世で人のために尽くし(atthacariyā)、あれこれの事柄について適切に協同すること(Samānattatā)が世の中における愛護である。

財産の使い方まで教えられています。考えてみると、うちのお寺の会計は総収入のうち給与が2割、経費が5割、貯蓄が3割で、偶然ですがだいたいこれに従っていました。

財を四等分すべし。四分の一は自ら享受し、四分の二で仕事を営み、残りの四分の一は窮乏の備えとして貯えるべし。

在家信者への教えがこれだけ響くということは、それだけ俗化しているということでもあります。

市のいじめ防止基本方針が改定になり、新しい項目が追加されました。

好意で行った行為でも、相手に苦痛を感じさせる場合も想定し、柔軟な対応ができるようにしていく。

大人の世界では「小さな親切、大きなお世話」「ありがた迷惑」「独りよがり」がなくはありませんが、子どもの社会にも「善意によるいじめ」も起こっているとすると複雑だと思います。具体的にこれはストーカー的なもの? あるいはクラスのためという大義名分や、先生の意向を忖度して規範を強要するようなもの?

正義感や善意も度を過ぎれば苦痛を生み出しますが、かといってできるだけ人と関わらないことを勧めたり、他人のわがままをそのまま肯定したりするのも変。自分も相手も心地よいくらいの適度な関わり方というのは、子どもだけでなく大人にとってもたいへん難しい問題です。

この世界は神が作った多人数参加型ゲーム『人生』という設定で、「寿命」というリソースから新スキルを獲得し、そのスキルをいかして「ジョブ」に就き、スキルと「お金」というリソースでイベントをクリアし、ゲームオーバーまでに幸福点をできるだけ多くすることを目指すという説明書と、その後プレイヤーたちが独自開発したマネーや老後などの攻略本という構成です。後半は人生戦略を組み立てるための現実の詳しいデータが掲載されており、結構本気です。

これまでの幸福点ハイスコアはお釈迦様という設定。しかしそれはプログラムバグを利用し、桁違いのスコアを荒稼ぎしたもので、運営チームの警告にも関わらず、バグ利用を他のプレイヤーにも蔓延させている「チート野郎」と神様から呼ばれています。

彼らは、皆さんの「幸福点スコアアタックをしたい!」という正当な気持ちを「煩悩」と呼び、まるで悪い事であるかのように喧伝しています。さらに、ゲームオーバー後にニューゲームをしないようにと呼びかけ、ゲームの放棄を「解脱」と呼んで称揚しています。彼らに関わると、あなたのタイプが「菩薩」に変更され、まともなゲームプレイができなくなる可能性があります。

しかし現実は神様の思惑を超えて人間の欲望が暴走し、格差が広がる社会が作られており、その中でお釈迦様のハイスコアを上回るプレイヤーが現れるかどうか分からない状況となっています。
面白かったので同じ著者の『完全教祖マニュアル』も今度読んでみたいと思います。

東京大学で博士論文の口頭試問が終了。2時間半、5人の先生方からガチにご質問とご意見を頂戴しました。結果、無事承認されて博士号を頂けることになりました。取らないと気になるけど、取っても何にもならない足の裏の米粒に喩えられる博士号ですが、それなりに満足感があります。

昔は3日やったらやめられないと言われた大学教授も、今は過労死するほどの忙しさ。お寺の住職になって、非常勤だけで来たから執筆できたのだと思います。出版は教授に勧められていますが、無料ウェブ公開のほうがいいと思っています(東大では5年前から出版しない限り自動公開)。

実は口頭試問の直前まで研究室で〆切が迫ったボードゲーム関係の翻訳作業をしていました。肩の荷がおりたのは事実ですが、ここでゴールとせずに、新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

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