おの: 2019年5月アーカイブ

『正見経』(中部経典9)を講読。十二支因縁(①無自覚(無明)②本能(行)③分別(識)④事物(名色)⑤感覚器官(六入)⑥対象との接触(触)⑦感受(受)⑧渇愛(愛)⑨執着(取)⑩輪廻(有)⑪誕生(生)⑫苦しみ(老死))の最終的な結果である老死の苦しみから、原因、原因の原因と遡るかたちで説かれている。

ことは誕生から始まる人生の苦しみという実存的な問題から始まり、感覚器官と対象の接触による感受・欲望・執着という認識論、さらに本能による分別で事物が作られるという存在論、そして最終的には真理の無自覚という宗教的なテーマへ。このように視点がどんどん変わっていくところが、十二支因縁の理解を難しくしている。

『正見経』ではさらに無明の原因として煩悩を設定し、無明の原因は煩悩、煩悩の原因は無明と循環させているところも考えさせられた。

無明の眠りの夢覚めて 尊き身をば今ぞ知る(御授戒御和讃)

人権擁護委員の研修でやまがた性暴力被害者サポートセンター(通称べにサポ)の職員さんのお話を伺う。何年、何十年も経ってから相談にいらっしゃる方がいるという話に、想像を絶する苦しみの深さを感じた。

仏教ではこの世の全ては苦しみで、その根本原因は無知や煩悩であると説くが、他人から与えられた苦しみには、その説明が当てはまらないように思う。「忍辱」「許す」という教えも、「そんなことを自分の家族が被害にあってもいえるのか」と言われればぐうの音も出ない。

周囲が寄り添い、時間をかけて苦しみを取り除いていく(抜苦)ことが必要となってくるはずだ。

骨髄バンク

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骨髄バンクの集いに提供者(ずっと前の話ですが)としてパネリストに呼ばれました。登録に高い志はいりません。提供も痛くないし、ひとりの命を救ったという満足感があります。現在の年齢制限は55歳まで。何となくでいいので、できるうちに登録しておきましょう。山形の窓口は山形駅前の献血ルームです。

従来の光陰はたとい空しく過ごすというとも、今生のいまだ過ぎざるあいだに急ぎて発願すべし(修証義)

梅花流の師匠逝く

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大町摂取院前住職・神尾(長岡)昭臣師の本葬に参列。

20代の頃、静岡・洞慶院にて丹羽廉芳師、安田博道師、大島賢龍師といった曹洞宗梅花流の創始者たちに真言宗密厳流のご詠歌(伝承曲)を教え、梅花流の創設に大きな役割を果たされた。お亡くなりになる2年前、梅花流研究プロジェクトの佐藤俊晃先生に同行して当時のお話をお伺いできたのは本当にありたがいことだったと思う。

伝えまし 受けつぎ来たり ありがたや

働き方改革

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市のPTA連合会に出席。今年度の事業計画方針に「教職員の働き方改革の趣旨を理解し、市PTAとしても支援・協力し、推進していく。」という項目が新たに追加された。

この「趣旨」に関して、PTA事業を見直して、先生方に子供に向き合う時間をもっと取ってもらうという説明をよく聞くが、私はさっさと家に帰って家庭や地域に貢献することが、教育者としても、一人の人間としても重要という意見である。

僧侶もそうだが、閉鎖的な空間から出ないでいると、常識と非常識の判断が鈍り、リアリティが失われ、どれだけ立派なことを言っても聞く人に響かなくなるだろう。

先月行われたご詠歌の発表会の記事が公開された。私のお役目は歌詞解説(後半)。

曹洞宗山形県第二宗務所:【梅花】梅花流第49回奉詠大会

教区長と宗務所役職員(多くが未経験者)によるお唱えは威神力を感じて特にありがたい。人を感動させるお唱えは技法ではないということに気付かされる。

合葬墓への懸念

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朝日新聞:安価な合葬墓、寺院は懸念「人生の価値考えるとひどい」

秋田市が1500体分、1体17000円の合葬墓を整備。これに対し「人生の価値考えるとひどい」という市内の寺院は、20万円から永代供養を受け付けているという。

間違ったことは言っていないとは思うが、この記事の書き方では、寺院のコメントが自分の利益を守ることが動機になっていると思われて説得力を削がれてしまう。このような論法は、人格攻撃の詭弁である。

厳密には、合葬墓の使用料と、永代供養料は異なる。永代供養には合葬墓の使用、位牌の預かり、お盆・彼岸・年回忌の供養の委託、寺院護持費の前払いなどが含まれる。洞松寺では、その家その家の状況に応じて話し合い、これらを組み合わせていくというやり方を取っている。例えば合葬墓に納骨しても、家族が元気なうちはと法事をその都度行い、護持会費も毎年納めるという方もいらっしゃる。

合葬墓に入れればそれで終わりというわけではないのだが、それで終わりにしてもかまわないと考えている方が増えているのも事実で、現に檀家さんでない方が合葬墓に納骨だけしていくという場合も時々ある。このようなケースはもっと増えていくだろう。

墓じまいの需要が増えている背景(家族観・死生観の変化、働き方の多様化、少子高齢化)に目を向ければ、そこに悩みや不安をもっている方々にどう向き合うか手腕が問われるところで、頬かむりをしてけしからんとか言っている暇はない。

曹洞宗で各寺院に配布された小冊子。最も直接的な問題は、トランスジェンダーの方の戒名を(家族がそれを認めていない場合に)信士にするか信女にするかだが、それ以外にも悩みを打ち明けられたときに適切な応対をするための知識や注意点が実例を交えて書かれてあり大変勉強になった。

例えば「オネエ」と呼ばれる人たちには女装を趣味・仕事とするゲイ(マツコ・デラックス)、トランスジェンダー女性(はるな愛)、女らしいとされる言葉遣いや振る舞いをする異性愛男性(りゅうちぇる)がいるように、性的指向と性自認は千差万別。それに気づかず一緒くたにしてしまうと深く傷つけることにもなりかねない。

「セクシュアルマイノリティについて理解があります」という人間にも、かわいそうな人扱いすることで相手を受容しており、逆に差別的でありうるという話は、セクシュアルマイノリティに限った話ではない。無意識の優越感で上から目線になっていないかよくよく反省する必要がある。

AERAdot:「友人に絶交されました...」 鴻上尚史が指摘する原因"無意識の優越感"とは

僧侶が「お葬式はきちんとやった方がいいよ」「親はきちんと弔ったほうがいいよ」ということは、保守的な家族のあり方を踏襲しなさいと強要することになりかねないという指摘も傾聴に値する意見。そういわなければいけない場面もあるのは事実が、それが生きづらさを抱えている人を追い詰めないように気をつけたいところである。

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