Book: 2005年12月アーカイブ

能力主義の広がりによって、収入の差はどんどん広がっている。一億総中流時代が終焉し、ごく一部の上流、そして多数の下流が生み出されようとしている。この本では広範な社会調査から、下流に典型的な意識や行動を探り、階層が固定化しないように下流優遇で教育の機会を与えるなどの提言まで行う。

統計の母集団数がやけに少ない場合があることと、意識が低いから下流化するのか、下流化するから意識が低くなるのかといった因果関係が逆になっているような書き方が見受けられ、納得できないところが多かった。

多くの場合、お金がないことが意識低下の原因であろう。子どもに外国語を身に付けさせたい、留学させて国際的に活躍させたいなどという発想は、経済状態が安定していないとなかなか出てこない。

しかしその一方で、しつけに無頓着、夜遊び歩くといったポリシーのなさが下流化に結びつくという説も納得できる。毎日の生活にポリシーや社会人としての自覚があることは、下流化しないために必要なことだと思った。

男性の類型で「ロハス系」というのがある。Lifestyle of Health and Sustationabilityの略で、スローライフ志向を指す。階層は上中下いずれにもいる。これが私が趣味としているボードゲームの愛好者層とかなり一致している。「自分の趣味の時間を増やしたいと考えているが、とはいえ忙しいので、それほど趣味の時間が多く取れるわけではない。よって、雑誌、本などを見て代償する日々が続く」「やや古めかしいアナログ趣味の世界に浸るのも好き」「インターネットに自分のサイトを作って、会社以外に人脈を作るのにも熱心」「生活の中で大事にしていることは『創造性』が高い」など。

2005年増補新版。仏式の葬儀の中核をなす戒名について歴史的展開、社会的機能、宗教的意味を分析し、今後の展開と対策を考える本。

宗教学者が書いたものなので、戒名の宗教学的意味のところが一番大切だと思うのだが、祖先崇拝一般の話に終始してしまい、本題の戒名についてはほとんど触れられていないのは残念だった。もっとも、原始仏教には戒名がなかったのだから、意味なんてないのかもしれない。

一方、戒名の種類が家柄を反映することによって、社会秩序の維持に役立ってきたとする考察は納得。だからこそ戒名で死者を差別するのはよくないからと言って全部を同じ種類に統一するまでにはなかなか至らないのだ。

今後の展開と対策は、無宗教葬に触れている程度で具体性に乏しい。現実的な問題なので、現実的な改善策がもっと示されてもよかったと思う。

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